テラーノベル
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「あー、洗濯しなきゃ···よーし、頑張ろ!りょうちゃんのも一緒に洗うよ」
元貴の家から一旦若井と帰ってきて溜まった洗濯と掃除をする。しよ
若井は綺麗好きでなんでもテキパキと家事をこなすから本日に助かっている。
「ありがとう、じゃあ僕ゴミ捨ててくるね」
外に出て思わずため息が出た。
昨日の元貴の言った言葉がずっと胸の奥に残っている。
俺のものになって、なんて。
どういう意味だったんだろう。
綾華も高野も居なくなってしかも活動休止して元貴が不安定になるのも仕方がない。
僕と若井もそうだから。
でも、あの言葉は少し意味が違う気がして何にも返事が出来なかった。
「ゴミ捨ててきたよー、あとは何しようか?」
「···こっち座って」
言われるままにソファに座ると、コーヒーを手渡してくれる。
そして自分も隣に座った。
「···えっと?」
「ひとやすみしよ。りょうちゃんも辛くなったら俺、困るよ」
「若井···」
ちゃんと僕が好きな甘さの砂糖とミルクが入ったカフェオレは温かくてほっとする。
彼のこういうところが好きだと思ったのは一緒に暮らし始めてわりとすぐだった気がする。
それまではライバル視されていたようなところもあった気がしたけど一緒に過ごすようになってどんどん距離は縮まって、笑顔もたくさん見せてくれてそのさり気ない気遣いにどれほど救われたかわからない。
僕の弱さやダメなところを責めることなんてなくて、いつもしっかりしてるけど意外と怖がりなところがあったり涙もろいところがあってそこを愛おしいと思った。
「若井が辛いのも僕は困るよ···いっつも、若井は優しくて笑ってて···本当に···」
思ったより、気を張り詰めていたのかもしれない。僕なんかよりもっと若井は元貴のことを思って辛いはずなのに、だめな僕は泣いてしまいそうになって顔を両手で押さえた。
「強くなりたいのに···若井も元貴も守れるくらい···年上だからしっかりしなくちゃいけないのに」
「年上みたいでしっかりもののりょうちゃんなんか想像つかないよ。今のままのりょうちゃんでいてくれたらそれでいいし」
「またそういう嬉しくなること···泣いちゃったらどうするの」
「胸でも貸そうか?」
「ばかっ···」
深呼吸して、涙を堪えて誤魔化すようにコーヒーを飲んだ。
しっかり出来なくても年上らしく出来なくても若井が泣きたい時には僕が胸を貸してあげたい、そう思っていても実際は頼ってばかりの僕だけど···。
そっとバレないようにその横顔を見つめる。
···かっこいいな。
鼓動が早くなる。
元貴の言葉に返事出来なかった理由がここにあるような気がした。
僕は若井のことを恋として好きになりかけているんだと気づいた。
コメント
4件
う、わぁ⋯綺麗にすれ違ってるな。