テラーノベル
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チリン…チリン…と風鈴の音がする
陽が傾きかけた頃、屋敷の門の前に一人の刀鍛冶が立っていた。背中には布に包まれた一本の刀。
刀鍛冶「鍛冶師の鋼谷 鉄吾と申します。不死川殿の継子・〇〇殿にお渡しする刀を持参しました」
実弥「……やっとか」
静かに立ち上がり、縁側から出迎える。
🌸『あの…私の刀、ですか?』
鋼谷「はい。刃文、重ね、長さ、すべてあなた専用に鍛え上げたものです。さぁ手に取って見てくだされ 」
実弥「受け取れ。お前のもんだ」
🌸『…はい!』
刀を受け取る〇〇の手が少し震える。だが目は、しっかりと前を見据えていた。静かに鞘から刃を引き抜く――
シュッ…
陽光を受けて光る刀身。ほんのり色づくその刃は…
鋼谷「ほう…翡翠色、美しいですねぇ」
🌸『これが…私の刀……』
実弥「…いい色じゃねぇか。お前の瞳の色と同じとはなァ。 よく似合ってらァ」
一瞬、視線が柔らかくなる。
🌸『…ありがとうございます、実弥さん。絶対、この刀で…誰かを守れるようになります!』
実弥「ああ。俺が仕込んだんだ、守れねぇわけがねぇ」
にっと笑うその顔は、どこか誇らしげだった。
🌸『鉃部さん、ありがとうございます』
といい、深々と頭を下げる。
鋼谷「ご武運を…」
そういうと鋼谷は里へと戻って行った
バサバサとカラスが飛んでくる
鎹鴉「任務ゥ任務ゥ!!浅草デ鬼ノ情報アリィ!!現地ノ剣士ト合流シ調査セヨォ!小桜〇〇初メテノ任務ゥ!心シテカカレェ!」
🌸『はぁい、ありがとね風雅』
〇〇は自身の鎹鴉(風雅)を撫で木の実を食べさせる。
🌸『それでは、実弥さん任務に行ってまいります。』
実弥「おう。気ィつけてなァ」
浅草
🌸(集合はここだよね…)
モブ「待たせたな!この俺と合同任務だなんて君…運がいいね!さぁ行こうか!」
バチンッと音がしそうなほどわざとらしいウィンクを飛ばすモブ隊士…
🌸『あ、はい』
🌸(何だこの人…ナルシストか?)
モブ「君新入りだよね!?」
🌸『はい、そうです。先日選別に合格しました。』
モブ「だよねぇ!こんな綺麗な子1度見たら忘れないからね!」
モブ「俺はね剣士になって半年なんだ!今日は調査だけど、鬼が出ても俺が守ってあげるからね!!」
🌸『…いえ、自分の身は自分で守れと言われてますので』
モブ「照れてんの!?かっわいいなぁ〜!」
🌸『シッ…』
モブ「なになに!こんな物陰に連れ込んで!どうしたのぉ!!」
🌸(気色悪いなぁこの人…)
🌸『!!』
鬼の気配を察知しくねくねしながら何かを言い続けるモブ隊士を放って〇〇は飛び出す。
モブ「あ!君!」
モブ(足はやっ!!)
モブ「はぁ…はぁ…君、足速いね… 」
🌸『…下がっててください』
鬼「なんだぁ?鬼狩りかぁ?」
モブ「鬼!?まままま任せなさい!ここここの先輩である俺が…ままま守っ…」ガタガタ
鬼「ごちゃごちゃうるせぇなぁ!!」
そういうと鬼はモブ隊士を目掛けて襲いかかってくる。
🌸『風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹』ズバッ
鬼「ぎ、ぎゃぁあああああ!」
〇〇は瞬きする間もなく鬼を斬り地面に転がるモブ隊士の元へ行く。
モブ「き、君強いんだね…」
🌸『名乗ってませんでしたね。風柱 不死川実弥の継子小桜〇〇と申します。あなたは半年間一体何をしていたのでしょうか。』
モブ「か、風柱…の継子…!?」
🌸『任務に集中してください。私は聞き込みに行きますので、一刻後にあの店の前で情報共有しましょう。』
〇〇は静かに怒り、道行く人への聞き込みを始める。
一刻後
モブ「お〜い!〇〇ちゃーん!」
🌸『いかがですか。何か情報はありましたか?』
モブ「いいや、ないね!」ドヤッ
🌸『はぁ…まぁ、こちらも怪しい人物はいるが所在不明という感じですね。』
モブ「じゃあ!このまま俺とご飯でも行こう!さっきいい感じのお店見つけたんだ!」
🌸『…はぁ 申し訳ございませんが私はこれで』
〇〇はそう言い残すとカラスが導く方へと向かった。
🌸(なんなんだあの人!!生半可な気持ちで任務をしてるのか!?)
その晩浅草には一瞬爆風が通り過ぎたとか過ぎてないとか…
藤の花の家紋の家
トントントン
🌸『夜分遅くに申し訳ございません。一晩お世話になってもよろしいでしょうか…?』
婆「鬼狩り様でございますね。どうぞお入りください。」
🌸『ありがとうございます。お世話になります…』
婆「食事はお口にあいましたか? 」
🌸『はい!とても美味しかったです!ご馳走様でした!』
婆「ほほほ…それは何より。湯浴みの用意もできておりますよ」
🌸『ありがとうございます!あ、そうだ。手紙と報告書を書きたいので筆と墨をお借りしてもいいですか? 』
婆「お部屋にご用意いたしましょう」
🌸『よろしくお願いします^^』
湯浴み後
🌸『あれ、風雅どうしたの?』
鴉「クェッ!風柱カラ手紙ダヨ」
🌸『どうしたんだろう…』カサッ
🌸『ふふっ…実弥さんの字相変わらず角張ってる。力入れすぎだよ…返事書こ!』
🌸『はい、風雅。これ実弥さんにお願いね』
鴉「クェッ」
🌸『ふぁ…寝よう…』
風柱邸
鴉「クェッ 実弥サマ〇〇からダヨ」ポイッ
実弥「おー。ご苦労さん」カサカサッ
実弥「…剣 士の質が落ちてんなァ?」
実弥「人の継子を口説くたァいい度胸してんじゃねェか…」
鴉(コレハ嵐ノ予感ダネ)ヤレヤレ
実弥は怒りながらも〇〇からの手紙を大切そうに箱へ仕舞う。
実弥「ありがとなァ。もう行っていいぞ。」
鴉「クェッ!」バサバサ
藤の花の家紋の家 夜明け前
コンコンコンコンコン
🌸『ん…何…?』
鴉「カァ〜!!」
🌸『うわっ!ちょっ…静かに!皆さんまだ寝ていらっしゃるから!!』(小声)
鴉「カァ〜南南東 南南東…次ノ場所ハ 南南東〜!少シ離レテルカラ早メニ行ッタ方ガイーイヨッ」(小声)
🌸『ふふっ…わかったありがとう』
🌸『次のところに着いたら、実弥さんに帰るのはもう少し遅くなりそうって伝えてくれる?』
鴉「クェッ!」
🌸『さて、行きますか!!』
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