「おまたせ。帰ろ、璃音。」
「ん。」
どうしよう。会話がない。今まで璃音といて会話が途切れたことなんて一度も無かったのに。
「え、えへへ。振られちゃった。これで2回目だな~」
「辛くないの?」
「そりゃあ辛いよ。でも私人前で泣かないって決めてるし。」
「ふーん」
「結局璃音は最後までついてきてくれるよね。ここの公園突っ切ったらもうすぐだよ」
「…」
さっきからなんだか璃音の元気がない。私なんかしちゃったかな?と思ったその時。
「お、田中〜」
「ヒューヒュー」
「やめろよw」
いつもの他クラスの男子だ。しかも本人までいる。
いつもだったらこんなの無視してやり過ごすのに。
力が入らない。
私の足は止まってしまった。
「月?」
「ほら、手でも繋いで帰れよ〜」
嫌だ。苦しい。
「いい加減にしろよ!」
急に隣から大きな声がした。
びっくりして顔を上げると、璃音が真剣な目で男子たちを見ていた。
「お前ら誰かに告白したことあんのかよ。告白する側がどれだけ勇気出して頑張ったか分かんのかよ!ていうか月は振られてんだぞ?月は新しい生活に切り替えたいのにお前らのせいで忘れられねぇんだよ。これ以上月を傷つけるなら許さない。」
「…」
こんなにかっこいい璃音初めて見た。
その圧に押されたのか、男子たちは
「わ、悪かったよ。」
そう言って逃げるように去っていった。
ダメだ。こんなの。泣いちゃうよ。
「う、うぅ~…」
「!?」
人前で泣くのなんていつぶりだろうか。でもそんなこと気にしてる余裕なんて無いくらい璃音があったかくて。
「頑張ったな、月。」
璃音は私が泣き止むまで背中をさすってくれていた。
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