僕と真白は、手を繋いで水族館を出た。話すことなどなく、ただひたすらに沈黙だけが続いていた。僕は真白になんと声を掛ければいいのかいいのかわからず、ただうつむくことしかできなかった。大通りに出て、周りが「見て、あの子達。手を繋いでる!」などと言っているが、そんなの気にする余裕などなかった。僕達は俯き、歩いた。ある大きな花屋の前を通るとき、沈黙は破られた。
「あ…お花だ」
真白が花を見て悲しそうに笑っている。そういえば、真白は花屋に行きたがっていた。僕は「お店、入る?」ときき、真白はコクリと頷いた。
「いらっしゃいませ」
優しそうな店員さんの挨拶で迎えられ、僕らは花屋へ入った。
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