デート編です❗❗
最後までお付き合いください。よろしくお願いします🙇⤵
捏造、キャラ崩壊がひどいです。文脈もひどいです。大丈夫な方はお進みください
それでは、どうぞ
「小峠の兄貴ぃ……………ごめんなさいッッ」
この速水の一言で、反省会が始まった。速水は、男四人でミスドという地獄を生み出した
張本人であるがそこについては触れないでやろう。今大切なのは「小林の兄貴賭け事事件」
についてだからだ。緊張の糸が切れたからか、他二人も次々に口を開いた。
「お前はもう、二度と小林の兄貴と勝負すんなよ、絶対だ」
そう凄みをきかせて物言う青髪の男は北岡。不運にも「そこに居たから」という理由でその事件
に巻き込まれた俺の舎弟である。まだ怒りが治まらないのだろう、飲み物にぶっ刺さった
ストローが、彼の八重歯に耐えられず原型を留めていない。
「おいおい。小峠の兄貴の前に俺達に謝れよ」
次にやや悲鳴に近い声で話始めた、一昔前のヤンキーのような風貌をしているのは飯豊。
こちらは、集金で疲れたところを拉致されただけあって怒りの度合いが違う。
「あ、ああ。北岡の兄貴、飯豊君、すみません」
速水は、はっとした表情ですぐさま謝罪するが、それだけでは二人は止まらない。今にも
胸ぐらをつかみ殴りそうだ。……………さて、一通り観察が終わったし本題に入るか。
「ちょっといいか、」
次の瞬間、水を打ったような静けさが広がる。真剣な顔を取り繕いたいのだが三人が同じ場所に
包帯を巻いていることがあまりに滑稽で、つい吹き出しそうになる。なんとか我慢する。
「反省会は責め立てるためのものではない。北岡、飯豊、お前らはドーナツ食ってろ」
「「……………うす」」
何か言いたげだったが、兄貴の命令は絶対。北岡達には悪いが濫用させてもらう。
俺に今必要なのは“情報”だからな。
「速水、まずは賭け事に至った経緯を教えてくれ」
今でも昨日のことのように、鮮明に覚えている。
「俺とデートしてくれよ」
あのあと、デートについて調べたが、検索結果に出てくるのは
「男女が日時を決めて出会うこと」とだけであった。俺達は男女ではない。
日時もどこで出会うかも決めていない。それに、デートは…こ、恋人同士行くものだ。
もし“その”デートだとしても破綻している。絶対違うに決まってる。
兄貴のことだし、どうせ皆で遊ぼうみたいな意味合いだろう。まったく。
兄貴の考えていることはこんなにも長い間一緒にいるはずなのに、何一つ分からない。
「こ、小峠の兄貴?聞いてますか」
「ああ、悪い」
速水がおっかなびっくり訪ねてくる。申し訳ないことをしてしまった。
「もう一度いいか?」
「もちろん良いですよ!」
これで、小林の兄貴の“デート”の意味がはっきりと分かるだろう。
「えっとですね。俺がガーッッてしたら、小林の兄貴がババッとなってドンッってなりました!」
「……………………………………………………」
「……………ん?」
「だからですね、小林の兄貴がグ……………
「いや、もういい。大丈夫だ」
どうしたいいのだろうか?貴重な情報源が語彙力0だった場合は。誰か教えてくれ。
黙々とドーナツ食ってる舎弟を視線を向け…、おい、どこ見てんだ?
北岡、あからさまに目を逸らすな。飯豊にいたってはトイレに逃げ込もうとすんじゃない。
……………………………………………………盲点であった。
北岡、飯豊は今正常な会話が出来ない状態にあるからと、軽い気持ちで選んでしまった。
「……………………………………………………」
「……………………………………………………」
「北岡。頼む」
俺の圧に、北岡は根負けして返事をした。
「……………はい」
「俺が止めなかったのも悪かったんすけど、元凶は速水のあの言葉っすかね」
「俺、小林の兄貴に勝ちたい」
頭蓋骨に文字刻まれ過ぎて壊れたかと思った。
「速水が小林の兄貴に勝つ」?なんて「和中の兄貴を大爆笑させる」のと同じような
難易度だ。限りなく不可能に近い。
「やめとけ、死ぬぞ」
俺は冷静に速水を諭した。だが、速水は余裕ぶった顔で話始めた。
「それは小林の兄貴に力勝負を挑む時だけですよ、もっと俺に有利な勝負なら勝てるかも
知れないっすよ」
「賭け事とか……………」
速水がモゴモゴと口を動かして悪どい笑みを浮かべる。
「まぁ、好きにしろ。とにかく俺を巻き込むなよ」
そう言って俺はその場を後にした。それから数分後、事務作業を行っている中、
激しく扉が開いた。
「速水が俺と遊びたいらしいから、お前も混ざれ~」
眩しい笑顔の小林の兄貴がズンズンと進みどっしりソファに座る。兄貴の後ろからひょっこり
現れた速水も、兄貴のと対になるソファに座る。誘われた俺は断れずに、速水の横に座った。
「小林の兄貴、コイントスで遊びましょう!ルールは……………
「普通のコイントスでいーの?何か賭けようよ、血とか2リットル」
ウキウキした小林の兄貴がとんでもないことをいい始めた。速水の余裕な顔が紙のように
白くなっていく。二人がかりで「それはやめてほしい」と頼むが、兄貴は折れない。
最終的には、「今持ち合わせている全財産」となった。
結果は、全敗。途中から混ざった飯豊も小林の兄貴は蹴散らした。
「ちょっと待て……………」
「どうしましたか?」
「お前らは言われなかったのか、デ…日時を決めて会おう……………とか」
「ないですけど?」
「……………………………………………………」
「デートってなんだろう」
「でーと?えっ、哲学ですか!?」
まだ口をつけていないホットコーヒーをすする。
デートか…。極道に人生を捧げた俺には無縁のものだ。まさか小林の兄貴の気まぐれで
初めて体験するとは……………。
いや、嬉しくないぞ。そもそもそのデートと決まった訳じゃないし。違う。全然嬉しくないからな。
「小峠の兄貴、ご馳走さまです」
「あぁ」
「兄貴も車乗ってきますか?」
「いや。まだやる事があるから先に帰ってくれ」
「はい!」
北岡は一礼すると小走りに去っていった。飯豊は、車に乗った後もずっと手をふっていた。
速水は……運転するのでいっぱいいっぱいなのか、大汗をかき感謝と謝罪を交互に述べて
ぱっと消えていった。可愛いげのある奴らだ。ずっと一緒に仕事が出来たら楽しいのだろうな。
不意に頭に小林の兄貴の顔がよぎる。
「俺とデートしてくれよ」
デート。小林の兄貴とのデート。デートとはどんなものだろう。水族館や動物園などに
行くなのだろうか。アイスクリームとかを食べるのだろうか。楽しいだろうか。
そんなことを考えていると、突然、肩を叩かれた。北岡か?忘れ物でもしたのか?
振り返ると、そこには、青髪の男でも、ヤンキーでも、小さなピンク頭でもなく、
ぴっちりとした服を着こなした、顔の整った男が立っていた。
「小林の兄貴……………むッッ」
俺が話すと同時に、兄貴が片手で俺の頬を鷲掴みにする。もう一方の手では人差し指を立て
「しー」と静寂を求めるサインを示す。
「約束。今からデートしに行こ?」
急な誘いに驚くも、ここは素直に頷く。すると兄貴の手が離れ、俺の手と絡まり、引っ張られる。
そのままされるがまま兄貴に着いていった。兄貴の手はとても暖かかった。
「とーちゃーく」
小林の兄貴の前には、小さな箱の中のような公園がたたずんでいた。木に囲まれた典型的な
公園である。遊具はブランコしかなく、あとはベンチ2つがちょこんと座っているだけだ。
そのせいか子供が誰一人いない。
「静かなところですね」
「……………………………………………………」
兄貴は無言で歩きだす。俺も後を追いかける。草を踏みしめる度にしゃくしゃくと音が鳴り、
青々しい葉っぱの新鮮な匂いがする。
「カブト。こっち」
兄貴が手招きをする。そこへ向かうと、古ぼけたベンチがあった。木製のそれは、マーブル柄で
暖かい色をしていた。兄貴は、「座って」と柔らかい声で話す。ベンチはギシ…と小さく音を
立てて俺を支えた。兄貴も俺の隣に座る。そして、兄貴は俺の太ももに寝転んだ。
「こ、小林の兄貴……………ッッ」
「おやすみ」
兄貴は、重たそうな睫毛を閉じてしまった。静かな中、兄貴の寝息だけが聞こえる。
すやすやと聞こえるか聞こえないか程度の寝息だ。
「兄貴……………?」
呼び掛けるが返事はない。男同士の膝枕だが、嫌悪感はしない。むしろ心地よく感じる。
兄貴の頭を少し撫でてみる。ワックスで、がちがちに固められた髪は、さらりとして
変な感触がした。唇を触ってみた。ぷるぷるしていた。
「カブトのえっち」
「えっ、あ、すみません……………」
起きていたのか……………小林の兄貴が目をつむったまま細々と話し始める。
「俺さ、カブトとずっとこうしてみたかったんだよね。」
「カブトのこと好きなのかな?」
「……………え」
「なぁ、カブト。俺のこと好き?」
「……………………………………………………」
「あー、無理に応えなくていいーよ」
今、俺の顔を何かに例えるとしたら、真っ赤なゆでダコだろう。兄貴が俺を好き?
言い表せない感情によって腹の中がくすぐったくなる。
「ふふ。カブトはかわいーな」
兄貴は硬直状態の俺の服を引っ張ると、軽いキスをしてきた。チュッと鮮やかなリップ音
がはっきりと聞こえた。
「仕返し」
兄貴は、満足げに笑った。俺は笑えなかった。
それからしばらくして、また静かな公園に寝息が響いた。
俺の小林の兄貴に向ける感情は多種多様だ。敬愛、畏怖、尊敬……………
だが、最近は分からなくなってしまった。この感情は何と呼べばいいのだろうか。
分かったときは、伝えたい。形にして、贈りたい。
とりあえず、「賭けをする華太君の話」はこれでおしまいです。
読んでいただき本当にありがとうございました❗❗❗
コメント
13件
素敵🌟💕😍
これだけは言える…この人の作品は神レベルだということを
最高泣‼️ まじで好き