テラーノベル
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〈nakamu side〉
スマイルがいなくなってからしばらくが過ぎた
いつも通りに集まって作戦を立てたり、噂を正すための道を互いに提案する。
そんな日常は当たり前のように進んで、クラスに彼の姿がなくても誰も違和感を覚えることはなかった。
まるでそれを受け入れるのが当然かのように、同調圧力が俺を縛ろうとする。
スマイルがいなくなってから、どことなく俺たちは離れていっていた。
いつも一緒にいるのは変わらない。でも心はどこかで薄い膜が張られてその膜越しに互いを見ているようだった。
nk 「次の噂だけど、これはあまり大きな被害は出てなくて」
nk 「しかも噂自体も悪いものじゃないんだけど、様子見する?俺は別に祓ってもいいと思ってるんだけど」
sh 「祓えるのはきりやんだけだから任せるよ?どうすんの」
kr 「、うん」
まただ。いつも話しかけては最初の返事は空返事ばかり。最近の彼に対しては二度同じことを繰り返さないと理解してくれない。、
nk 「聞いてる?きりやん。」
kr 「聞いてるよ。で、どうしよっか」
nk 「だーかーらっ!、、、はぁ。」
nk 「もういい。お前ちょっとこっち来い。」
br 「なかむっ、!」
nk 「ちょっと話するだけだから。
みんな、今日はもう先に帰ってていいよ」
…………………………………………………*
〈kiriyan side〉
バチンッ
kr 「、、いってぇよ。何急に。」
強引に別教室に連れてこられては、左の頬がジリジリとする感触を味わう。
俺は自分が何をしてそんな仕打ちを受けたのかを考えることなく、彼を睨んだ。
nk 「お前何考えてんの?」
kr 「何ってどういうこと」
nk 「ずっと上の空じゃん。そんなにスマイルがいなきゃダメ?」
nk 「、、、ごめん今の言い方に語弊がある」
nk 「スマイルを助けたいのはみんな同じ。でもそこに辿り着くには今やるべきことがあるだろって話。」
kr 「どうやって、?」
nk 「は?」
kr 「怪異を祓い続けて、本当にスマイルの元に行けるのかなんて確証はない。」
スマイルのいない生活なんて、、、、
まるで本当にスマイルが死んでしまったみたいで、俺の手からこぼれていきそうで。
kr 「もし現実みたいに眠って、俺の方を向いてくれなくなったら、、、」
nk 「きりやんはスマイルのこと好き?」
nk 「前に言ってた想い人はスマイルでしょ」
kr 「、、、そうだよ。」
nk 「違う。」
kr 「違うって何だよ、なかむには俺の本当の気持ちわかんないでしょ」
nk 「今のきりやんはスマイルの魂に執着してるだけだよ。」
nk 「そんなものの見方してたら、見えるもん見えないで終わるぞ。」
電流が走ったみたいだった。
俺は、スマイルにしがみついてるだけだったのか、、、?
kr 「、、、、。」
短くため息が聞こえて、窓の外を見つめる彼の姿にもう俺は写っていなくて、ただ真っ直ぐ、先を見据えていたように見えた。
nk 「俺、怪異の世界の仕組みとかよくわかんないけどさ、必ずしも祓わなきゃ行けないものなの?」
kr 「そりゃそうだろ。」
nk 「じゃあ、もしスマイルが怪異になったらきりやんは祓うことができる?」
答えられなかった。だってそれは自分の手で彼を殺めることになるから、、、
nk 「前から気になってたんだ。スマイルがお前の力に引き寄せられるように、スマイルがあっちの世界に勝手に足が動くみたいなことが割とあったから」
nk 「もしかしたら、スマイルは彼岸に行こうとしてるんじゃないかって、」
nk 「スマイルの本当の居場所はここじゃなくて、あっちなn」
kr 「やめろよ!!」
自分でも驚くほどの声が出た。
でもそんな、もう彼は助からないんじゃないかみたいな言い方すんなよ。
nk 「ごめん。でもそういうことも向き合った上で判断しないと」
そうやって冷静に謝る彼が一体どんな気持ちで俺にその言葉を放ったのかわからない。でも、きっと正しいことを言ってるんだ。
いつまでもスマイルが生きてる世界で惚気てはいけないんだ。
…………………………………………………*
〈shake side〉
ザアアアアアアッ
今日はやけに寒い。湿気の感じることのない冷たい雨だった。 真夏の雨のくせして、一体どうなってるんだよ。
風邪ひくっての
nk 「うわっ、びっくりした。」
やっときた。
nk 「え、何待ってたの?」
sh 「また泣いてんじゃないかって心配しただけだし。悪いかよ」
nk 「もう泣かねぇよ笑」
あ、多分これ本当だな。
目と仕草を見てわかる。彼が今嘘をついているのかいないのかなんて。
嘘をつく時は決まって眉毛がぴくりと動くし、本当の時は鼻を触る癖がある。
nk 「なんか今日寒くね?」
sh 「いつもの湿った雨じゃないよな」
雨に反射した青白い腕。細いけれど筋肉質な腕が少し震えている。
nk 「ねぇ、今日しゃけの家行っていい?」
sh 「は?なんでだよ帰れよ笑」
nk 「甘いもん食べよーぜ」
sh 「いや無理無理、俺の家今日親いないから。」
nk 「え、そうなの?じゃあ泊まろうかな 」
え、いやそうはならなくね?
親のいない家、2人きり、前に告白してきたやつの家。
どう考えても条件が揃い過ぎてるだろ。何考えてんだマジで。
sh 「いや尚更ダメでしょ」
nk 「なんでよ」
sh 「いや、えー、、。んー、」
sh 「俺知らないからね?」
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