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美食ギルド ガストロノミーありとあらゆる方面から美食を追及するギルド料理界でこの名を知らない者はいない。
キュイ視点
オスカーさんからまだ食べたことのない食材を使った料理が食べたいとまた無茶な注文が入る。
オスカーさんの食への欲求はすごいものがある。
国を変えるほどの天才的な味覚を持つ美食師であるオスカーさんは1日10食はざら。信念に忠実で、歯に衣を着せない物言いのため敵も多いが、ギルドメンバーは彼を敬愛している。
もちろん、僕もその一人だ。
しかし、そんなオスカーさんの食べたことのない食材を探すのは至難の業だ。
ギルドメンバーであり、オスカーの毒見役兼、毒草師ということもあってまだ誰も食材として食べたことのないものを1番知っていそうなヴァルターにお願いしてオスカーさんがまだ食べたことのない食材を探して欲しいと頼んだのが1週間くらい前のこと。
頼んでいたものが今日の夕刻には厨房に食材が届けられていた。
ヴァルターいわく、食材はシャボングレープというらしい。毒がありそのままでは食べられないが毒を丁寧に抜くことで美味しく食べられるみたいだ。毒抜きの方法を教えてもらい、時間の合間を見つけながら新しい料理を考えることにする。
最近、ヴァルターは毒の有無に関係なく珍しい食材を採取してくる。オスカーさんの指示もあるんだろうとは思うが、オスカーさんが食べたことのない食材をみつけるだけでも苦労するというのに、珍しい食材を調理ができる量を採取してくるのだからそれは相当の苦労がいる。
ヴァルターにいつもありがとうと声をかけ、作り置きしていた香草のクッキーを手渡した。
「半分はもらっておく。」
「半分?もう半分は?」
「世話になってる奴がいるからそいつに。」
「そっか。口に合うといいな。」
もしかしたら、クッキーを渡しに行く世話になっている奴はヴァルターと食材採取をしてくれてる人なのかもしれないな。確かに最近は、ヴァルターが持ってくる食材の量が以前よりも増えたなとふと思った。
その人物がキュイの日常をさらに目まぐるしく色鮮やかに変えてしまうことをこの時はまだ知らない。