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雨の匂いが、つーんと鼻につく六月。アタシはあいつと契りを交わした。
「2人で逃避行をしよう。」
そう、指切りげんまんをした。
そして七月。アタシは全て準備した、金も、服も。
夏休みに入る前日、朝。
アタシは五月蝿いアラームの音と、セミの鳴き声で起こされる。
簡単なご飯を食べ、制服に着替え、学校へ、、、それがいつのもルーティンだ。
だが今回は違う。アタシは駅のホームへと歩いた。セミが、五月蝿い。わしゃわしゃと鳴いている。
あいつが立っていた。
「もー遅いよ。ちゅうや、あとすこしで電車がくるっていうのに。」
そう太宰は、涼しげな顔でいい、アタシの手を引く。
「うわぅ」
アタシは太宰にされるがまま、電車に乗った。行き先なんて、決めてないのに。
まぁ、別にいいか、いつも決められた道ばっか歩いてたからな。
忘れてた。アタシは、逃避行の他に、もうひとつ契りを交わしていた。
「逃避行をしよう。そして、一緒に死のうよ、ちゅうや。」
これはアタシと、太宰の、どろどろとした、最後の夏休みの話。