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ワトリーは、足早に走りながらジョセフの後を追っていた。彼の心臓はドキドキと鳴り、
頭の中で不安が大きく膨れ上がっていく。エイミーに何かあったのではないかという思いが、
ワトリーの胸を締め付けていた。
一方先に楽屋へ案内されたジョセフとポテトは
その場で立ち尽くし、視界が一瞬ぼやけた。それは、
ジョセフが推しに推していたアイドルのシオンが、無残にも倒れている姿だった。
「シ、シオンちゃん…」ジョセフは愕然とした表情を隠せなかった。
ポテトも同じく、目の前の光景に呆然としながら言葉を絞り出す。
「シオンちゃんが、死んでいる??」
しかし、ジョセフはすぐに拳を握りしめ、力強い決意に変わった。
「シオンちゃん…こ、殺されたのか?」
現場の状況から見て自殺ではなさそうだった。ジョセフは殺猫事件の
可能性があると判断した。
「シオンちゃん俺が必ず犯猫を捕まえてやるからな」
その言葉を聞いて、ポテトも慌てて背筋を伸ばし、
「その通りです!先輩に解決できない事件なんてありませんから!」と力強く返す。
ジョセフは力強く頷き、「よし、フェリックスを呼ぶんだ」と、即座に行動を起こそうとした。
ポテトは眉をひそめながら、「またフェリックスさんですか?」と疑問を投げかける。
「おれの相棒、いや、助手みたいなもんだからな」と、ジョセフは自信満々に答えた。
「まあ、呼ばなくても、ワトリーが近くにいるから
すぐ駆けつけてくれるかと思いますけどね」とポテトはやや気軽な調子で言った。
ジョセフはその言葉に少し笑みを浮かべながら、「そうだな…」と納得した。
そして、彼はシオンの冷たい身体のそばにひざまずき、彼女のために手を合わせた。
「シオン…安心してくれ。この優秀な警察官ジョセフが、必ず真相を明らかにしてやるからな…」
その誓いは、深い哀しみと揺るぎない決意に満ちていた。
ワトリーはジョセフを追いかけ楽屋に向かった。廊下では、騒然とした空気が広がっていた。
多くの猫たちが周りで口々に騒いでおり、状況を把握しようとする者、
ただ狼狽する者とでごった返していた。
ワトリーは近くにいた清掃員に声をかけた「何があったのだ?」
清掃員「誰かが殺されたらしいんだよ」と割られた花瓶をほうきで掃いていた。
その言葉を聞き、ワトリーはその猫たちをかき分け、奥へと進んでいく。
楽屋の中央には、ひときわ異様な光景が広がっていた。そこには、血まみれで倒れている1匹のメス猫がいた。
無惨にもお腹を鋭利な刃物で刺され、動かない彼女の姿は、恐ろしいまでの静けさを漂わせていた。
ワトリーの体が瞬時に固まる。恐る恐るそのメス猫の顔を確認すると、
エイミーではなかったことがわかり、ほっとしたような安堵感が一瞬だけ広がった。
しかし、すぐに冷たい現実が戻ってきた。
その場の異様な空気に包まれたまま、ポテトが口を開いた。
「先輩、これ…自殺ではなさそうですね。」
ジョセフは静かにうなずいた。「ああ、現場を見ればわかる。周りが荒らされているし、
犯猫と被害者は抵抗しあった形跡がある。これは正面から刺されたんだ。」
ワトリーは、その言葉に耳を傾けながら、楽屋内の状況を目で追った。
確かに、倒れた猫の周囲には、弁当が散乱していた。被害者が必死に抵抗したのだろう。
そして荒らされたシオンのバック。窃盗の目的だったのか?
ワトリーはふと机の下を確認した。「床が濡れてるのだ」
机の上には蓋が閉まってある飲み物、水はどこにもないこれはいったい?
楽屋で殺害されたのはアイドルのシオン、しかし先ほどからエイミーの姿がみえない。
その疑問がワトリーの胸に重くのしかかった。
エイミーのことを考えるたびに、不安が増していく。ジョセフの冷静な分析を聞きながら、
ワトリーの心の中では、エイミーに何が起きたのかという答えを求める焦燥感が、ますます強くなっていた。
ワトリーは、エイミーへの不安を抱えつつも、目の前に横たわる無残な姿のメス猫を見て胸が痛んだ。
ジョセフが言った通り、犯猫は正面からこの猫を刺していた。
だが、ワトリーの頭の中にひとつの疑問が浮かんだ。もし正面から襲われたのなら、
悲鳴や声が上がり、誰かがすぐに駆けつけるはずではないか?
疑念を抱いたまま、ワトリーは周囲をじっくりと観察した。壁、鏡、そして床にも血が飛び散っている。
かなりの力で刺されたのだろうか。被害者は鋭利な刃物で右胸を一突きされていた。
しかし、ワトリーはそこでさらに異変に気づく。被害者の口元が切れており、血がにじんでいるのだ。
「ワトリー、あまり現場を荒らすなよ」とジョセフが注意を促す。
「分かったのだ…」と、ワトリーは答えたが、その頭の中はますます疑問でいっぱいだった。
鏡の前にはクラシックミニカーが置かれていた。シオンの物なのか。
その時、マネージャーのアレクが楽屋に入ってきて、緊張した声で言った。
「ジョセフ、防犯カメラの映像を確認してほしい。」
ジョセフとポテトはすぐに警備室に向かう。
ワトリーもついて行こうとしたが、アレクが遮った。「ワトリー、今回はだめだ。すぐに帰ってくれ。」
「なぜなのだ? ボクも手伝うのだ!」ワトリーは抗議した。
ジョセフが軽く笑い、
「まあまあ、フェリックスたちは俺の助手みたいなもんさ。安心して任せてくれ」と言いい
ワトリーもついて行き警備室のドアの前につくと
アレクは不穏な顔をし、「ワトリー今回は…」と言いかけた
「防犯カメラの映像があれば、すぐに犯人がわかりますよ。」ポテトはそう言って画像を見始めた。
モニターに映し出されたのは、被害者シオンの楽屋前の廊下だった。
ワトリーは画面に目を凝らした。最初に映っていたのは、
お弁当を持ったスタッフ。次にメイクさん。続いて同じアイドルグループのサリー。
しばらくして、シオンの楽屋のドアが開き、シオンが廊下の窓を見た
窓を閉めてもう一度楽屋に戻った。
ワトリー「廊下の窓を閉めたのだ」
ポテト「雨が降ってるからね」
ジョセフが口を開いた。「この三匹が楽屋に出入りしたのか?」
アレクは頷きながら、「いや、もう一匹…」と言って映像を早送りした。
そこに映し出されたのは、エイミーだった。
「エイミー!」ワトリーは思わず声を上げた。
映像の中のエイミーは、楽屋に入り、しばらくして慌てた様子で勢いよく楽屋から出ていった。
「ワトリー、これ見て」とポテトが言いながら、エイミーが走り去る瞬間の映像を一時停止した。
「何か持っているのだ?」
「これ、携帯電話かもしれない。」映像には、エイミーが携帯のようなものを持って走っている様子が映っていた。
そしてそのまま、裏口から外に出ていく姿が映し出された。
「エイミーが…いったい何があったのだ?」ワトリーはその場で呆然と立ち尽くし、
頭の中は混乱していた。
ネコ探偵シリーズの猫たち紹介
今回はフェリックスの相棒、ワトリーが主人公です。