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こないだカフェに行った時と同じホテル内にある、鉄板焼きのレストランに連れて来てもらって、
「こんな高級そうなお店、申し訳なくて……」
恐縮するしかない私に、
「前にも言ったと思うが、絵のお礼だ。もちろん報酬もちゃんと支払うが、私の気持ちなんで、君は気にしなくていいから」
思いやりのある優しい言葉をかけてくれた。
──目の前の鉄板でジュージューと焼かれるステーキ肉に、香ばしい匂いが鼻先に漂う。
「少しワインでも飲まないか?」
「お車の運転がありますから」
「車は置いて行ってもいいし、無理に乗って帰らなくてもいいから。少し付き合ってくれないか? 美味い肉には、やっぱりワインが合うだろう?」
程良く焦げ目の付いたステーキ肉が鉄板で切り分けられて、お皿に盛られると、確かにワインとの相性は抜群に良さそうで、思わずごくっと唾液を呑み込んだ。
「はい、じゃあ少しなら……」
「よし、ではとっておきの赤ワインを頼もう」
蓮水さんが口にして、鉄板カウンター越しに立つシェフに、「ステーキ肉と彼女に合うワインを見つくろってほしい」と、ボトルワインをオーダーした。