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「……なぜそんな顔をしているんだ?」


凹んだ雰囲気を察した彼から、そう声をかけられて、


「……なんか、私って、ダメだなって。男の人と二人っきりになるのって、あんまり慣れてないっていうか……。さっきから何をしても、裏目裏目に出てる見たいで……」


少し前にも慰められたばかりなのに、またこんな話をしたら、旅行うんぬんの話じゃないけど、もう本当に嫌われちゃうのかもしれないとも感じる。


「……ごめんなさい……。私……」


「謝らなくていいと、言っただろう?」


「でも、こんなんじゃ私と一緒にいても、ちっとも楽しくないですよね……」


気持ちを切り替えなきゃいけないとは思うのに、一度ネガティブになった気持ちは、裏腹にどんどん沈んでいってしまう。


「楽しくないはずが、ないだろう?」


彼の優しさによけいに泣きそうになる。


「……僕は、君のそういう素直なところが好きなんだ。何も飾らない素顔を君が見せてくれることが、嬉しいから。だから君は、僕の前では素でいてくれたらいい」


溢れ出した涙を彼の指が掬い取ると、


「君が、好きだよ。他の誰でもない、君が、好きなんだ。だから、笑っていてくれないか」


伝えられた言葉が胸にじんと温かく沁み入るようで、私は「はい」と頷くと、今度こそにっこりととびっきりの笑みを彼へ返した──。


クールな上司の秘密の顔は、甘々溺愛彼氏⁉

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