テラーノベル
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うっすら見えたのは、霧が吹き飛ばされる度に、ガンガン霧を噴き出す赤スライムの必死な姿だった。
魔族魔術師が暴風を起こせば、赤スライムが霧を噴き出す。不毛な戦いが続く。
「グ…グリード…!もう止めて…!」
「気持ち悪…!」
挑戦者達は、暴風に煽られて転がり周り、すっかり体力を消耗しているらしい。転がりつつも、霧を噴射し続けた赤スライム、偉い!!
そこに、濃霧の中でも分かる閃光が。
バリバリバリバリッッ!!!
激しい稲光が走った。
「うわぁぁぁ!!」
「ぐあぁぁぁ!!」
阿鼻叫喚の叫び声は聞こえるが、なんせ濃霧で状況が見えない。やっと霧がはれてきたと思ったら、そこには、ズタボロ状態で倒れている、挑戦者達の姿があった。
「何と言う事でしょうか~!?霧で全く状況が見えない中、すでに決着がついてしまった模様です!」
キーツも驚いているが、まさしく誰もが同じ状態だろう。
驚きの、あっけない幕切れ。
ステータスを見てみると、少しだけ理由が分かってきた。
戦士:女:レベル29 マヒ
戦士:男:レベル27 瀕死
盗賊:男:レベル27 瀕死
魔術師:男:レベル31 マヒ
女戦士と魔族魔術師という、パーティーの柱が二人ともマヒっている。
倒れた挑戦者達は、濃い霧を何度も受けたせいか濡れそぼり、床さえも薄い水の膜が張っていた。
この水を伝って、黄色スライムが放った落雷が、パーティー全員を襲ったんだろう。
唯一の回復魔法を持つ魔族魔術師がマヒり、しかも暴風と落雷で満身創痍の弟戦士と盗賊くんだけでは、この濃霧の中勝てる筈がない。
カフェからはあまりにも不完全燃焼な幕切れに、盛大なブーイングが巻き起こっている。
「えーっ!?ちょっとぉ、これでおしまい!?もっと根性見せなさいよ!!」
「決着の瞬間が見えないって、あり!?」
モニタールームでもブーイングだ。
ルリもゼロもさすがに呆れている。
「えっ!今日スラっち、戦えないの?」
「面白いカードだと楽しみだったんですがね」
ユキとグレイも何気に酷い。
勝利に喜びのジャンプを繰り返す、赤スライムと黄色スライムが、なんだか哀れに思える。頑張ったのにな…。
俺達は今日、また一つ重要な教訓を得た。
右左一奥
587
決着は、華々しく、衆人環視の中でつけるべし。
だな。
それにしても、スラレンジャーには悪いけど、スラっちと魔族魔術師の世紀の戦い 、見たかったな…。
コメント
1件
あらら、決着の瞬間が見えないまま終わっちゃったか~!でも赤スライムが霧を噴き続ける健気さと、水膜伝っての黄色スライムの落雷コンボ、めっちゃ沁みたわ。スラっちVS魔族魔術師の世紀の一戦、俺も見たかったけど、これはこれでスライムの底力を見せてもらった感じがする🔥