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読んだよ〜〜!🥺💦💦 第10話、もうね冒頭から涙腺崩壊したんだけど!「人ってね、もともと二人で一つだったんだって」って涼ちゃんの台詞、エモすぎて心臓ぎゅってなった…。記憶抜いてたのも、全部元貴を守るためだったんだね。涼ちゃんの「おやすみ、元貴」が切なすぎて何度も読み返したよ😭✨ 大切なもの、見つかってよかったね…! かめちょんさんの紡ぐ優しい世界、大好きです🌸💕 次話も楽しみにしてる!
アトランティスは海に沈み、淡い蒼緑のゆらゆらと揺れる光を受けながら、言葉もなく、ただ佇んでいた。傍に涼ちゃんが立っている。
そっか…。涼ちゃん、あなたももう死んでいたんだね。人を恨んで死してなお、魂となってここに縛られて、永遠とも呼べるような長い時間を過ごしてきたんだ…
海の音が聞こえる。砂浜を撫でる、優しい音がする。
涼ちゃんが歩き出した。海が朱く染まっていって、夕日が見えた。
しばらく歩くと海面が見えはじめ、涼ちゃんは海から顔を出し砂浜に座った。そのまま、穏やかな表情で地平線を見つめる。
ただ、いつもと同じ夕日。冷たい海の底とは違う、温かい光。どうか、この光があなたの心をゆっくりと包み込んでくれないだろうか。
じゃなきゃいつも僕に温かさをくれたあなたは、きっと凍えて壊れてしまう。それがなにより、怖くて、悲しくて、堪らなかった。
ふと、涼ちゃんが右のほうに顔を動かした。そこには幼い少年が一人、座っている。
まさか…
涼ちゃんがゆっくりと近づいていく。近づくほどに鮮明になる横顔は、見飽きたほどに見覚えのある顔だった。
ーー僕だ。
まさか、これはあの時の記憶なのか?やっぱりあれは涼ちゃんだったんだ。
…この時に、あの言葉をあなたは言うんだね。あの男の残した言葉を。
涼ちゃんがそっと幼い僕の隣に座った。
『…久しぶりだね、元貴。』
…え?
『あ、涼ちゃん。』
『また家抜け出してきたの?』
『だってまた母さんが誰か連れてきてるから。兄さんも友達と遊びに行っちゃったし。』
これは、いつの記憶だ?涼ちゃんと会ったのはあの日が初めてじゃなかったんだ。それも何度も会ってるみたい。でも…全くもって記憶にない。小さいころの記憶なんてそんなもんなのか?
『涼ちゃんの家は?涼ちゃんの家はどこにあんの?』
『んー…ずうっと遠く。元貴の目には見えないとこ。』
『えー?お空とか?』
『んふふ、そうだね。』
そう言って微笑む涼ちゃんの顔が夕日のライトに照らされる。きれい、。ほんとに綺麗だね、涼ちゃん。
てか僕昔っから涼ちゃんって呼んでんのね。ちょっと変わってなさ過ぎて嫌かも。
『元貴、もうすぐ暗くなっちゃうよ。帰らないと。』
『…やだ、帰りたくない。涼ちゃん、笛吹いてよ。聞きたい。』
『もう遅いからまた今度、ね。』
『…やだ。』
『…怖い?』
『もうすぐ暗くなっちゃうじゃん。』
『そしたら途中まで手つないで帰ってあげる。それなら帰れる?』
…おいなんだそれ。ずるいぞお前。僕だって手つなぎたいんだけど。
『…元貴の手冷たいねえ。』
『何言ってんの、涼ちゃんのが冷たいじゃん。』
『僕のはね…仕方ないんだよ。』
…それはもう死んじゃってるから?ずっと海の底にいたから?
『ふうん、何それ。ねえ涼ちゃん、いつ帰っちゃうの?このまま一緒にいようよ。』
『駄目だよ元貴。ほらもう家見えてきたよ。お別れ、ね。』
『やだやだ!まだいる!』
ふっと涼ちゃんが小さい僕の頭に手をかざした。その瞬間ぼうっとした光とともに、涼ちゃんの手に縋りついていくように、小さな泡がぷくぷくと頭から出てきていた。それは漂いながら涼ちゃんに吸い込まれていった。
なんだ、今の…
『ん、あれ…?』
そうこぼす僕は、去っていく涼ちゃんの背中をもう呼び止めなかった。ただ不思議そうな顔で見つめながら、家の中に入っていった。
まさか…あの泡は記憶、か?
僕がアトランティスでそれに触れた時も昔の記憶を見たし、今もこうして見続けている。今俺は、涼ちゃんの記憶を見てるんじゃないか。あの泡に触れた瞬間、この世界に飛ばされたわけだから。
だから僕は涼ちゃんのこと、覚えてなかったんだ。こうして毎回海岸で会って別れるたびに、涼ちゃんが記憶を抜いてたから。
じゃあ、僕にあの言葉を言ったのはいつなんだ?もっと昔だったのかな…
とぷん、という音とともに、またアトランティスへと帰ってきた。涼ちゃんがあの水の渦が巻いている最奥の神殿の前に立っていた。
そういえば…王が最後に座っていたのも、こんな神殿じゃなかっただろうか。大分波に削られて、欠けた、深海の色をしているけど。
涼ちゃんが少しずつ渦のほうへと近づいていく。静かな深海に、足音だけが寂しく響いていた。
涼ちゃんが歩みを止める、突如、宮殿に重苦しい、低い声が響いた。
『…リョウカ。』
『どうされましたか、父上。』
姿は見えない。でも、淡く濁った影だけが、薄く見えるような気がした。
涼ちゃんも、涼ちゃんのお父さんも、こうして沈んだアトランティスで、魂のような存在になりながら、生きてたんだ…。
『お前は、もうあの子に会うのをやめなさい。』
『…知ってたんですね…。』
『ああ、…お前の気持ちも分かる。だが仕方がない。記憶を抜いて、遠ざけなさい。』
『なぜですか、』
『“人間”だからだ。』
心臓を、ぎゅっと握られたみたいだった。
涼ちゃんの顔がわずかに揺れる。涼ちゃんの瞳が、そっと下を向いた。その表情を見た瞬間、胸の奥に、どうしようもない無力感が押し寄せた。
「人間」という言葉が呪いのように響く。どうにもできないのに、痛いほどに分かってしまうその線が、冷たい刃のように突き刺さっていた。
『我らは海の血を引く者。人間と関われば、いずれまたお前は苦しむことになる。あの子もまた、苦しむ。
アトランティスは、人間をもう二度と許しはしない。…私は、再びお前を失いたくない。
会ってはならんのだ。そしてもう地上に行ってはならん。…分かってくれ…。』
『…はい。』
小さなその声が震えていたような気がして、視界が滲み、涙がこぼれた。
さらさらと景色が溶けていく。小さな影が二つ、砂浜に差し込んでいた。
涼ちゃんが幼い僕の頭に手をかざしたまま、夕日の光を受けて静かに微笑んでいる。その横顔は、海の底で見たどの光よりも優しくて、どこか切なかった。
『…元貴、ひとつだけ、覚えていてくれる?』
幼い僕はきょとんとしたまま、涼ちゃんの瞳を見上げる。
『人ってね、もともと二人で一つだったんだって。その運命の人を見つけるために、人は恋をするんだよ。
…とっても、素敵だよね。』
夕日が二人の影を長く伸ばし、波が静かに寄せては返す。
『元貴は、きっといつか…大切な人に出会うよ。その人はね、元貴の心をあたためてくれる。暗闇が怖くなくなるくらいに。』
幼い僕は、少し照れたように笑った。
『涼ちゃんみたいな人?』
涼ちゃんは一瞬だけ目を伏せ、困ったように笑った。涼ちゃんがそっと僕の頬に触れる。まるで、今まさに触れているみたいに、懐かしく冷たい体温が頬を撫でた。
『ごめんね。…少し、忘れるだけだから。』
涼ちゃんの手から、ふわりと光が溢れた。泡のような光が僕の頭から抜けていき、夕日に照らされながら漂う。
『大丈夫。またいつか、会えるよ。その時は…もう少し大きくなった元貴に会いたいな。』
幼い僕の瞳がとろんと揺れ、ゆっくりと閉じていく。
『…おやすみ、元貴。』
涼ちゃんは小さく呟き、光の泡を胸に抱きしめた。そして、夕日の中へと静かに消えていった。
意識が戻ると、深海の青が視界いっぱいに広がっていた。胸が苦しいほどに締めつけられ、息が乱れる。
あたりを見渡すと、泡に触れた渦の前に倒れていたようだった。やっと、記憶を見終わったらしい。
「…涼ちゃん…。」
その名を呼ぶと、すぐ近くで水が揺れた。そこに、涼ちゃんが立っていた。
あの日と同じ姿で、けれどどこか影を落とした瞳で。
「元貴…全部、見たんだね。」
「…うん。」
「…見なくて、よかったのに。」
涼ちゃんは微笑んだ。けれど、その笑みはどこか壊れそうだった。
涼ちゃん…僕全部、全部見たよ。涼ちゃんがどんな世界で生きて、どんなふうに沈んでいったのか。…僕の記憶も、あなたが守ってくれてたんだね。
「涼ちゃん、僕、大切なものが見つかった。」
声が震える。ようやく理解した、この痛みの正体を。
涼ちゃんの瞳は、深海の青よりも深く、揺れていた。
「涼ちゃん、僕、涼ちゃんが何より大切。ここにきてからやっと大切なものができた、いや、思い出したんだよ。」
空には光の雨が降り注いでいた。
あと5人でフォロワー様がなんと!100人になるんですー!!🎊😭
ほんとにありがたい、嬉しい限り
コメントも、毎日見返してニヤニヤするくらいに喜んでます
是非是非リクエストでもなんでも下さい!お願いしまっす!🙇
(作者が失礼しました…)