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10月26日 AM14:35
小杉を狙っていたスナイパーを射殺した五郎は、急いで六郎の元に戻っただが、地面に倒れている六郎を発見した。
「おい、六郎!!!しっかりしろ!!!」
五郎は慌てて六郎を抱き起こし、意識を取り戻させる為に呼び起こす。
「起きろってば、六郎!!!」
「う、るさいわね…。頭痛いんだから、揺らさないでよ」
「お、起きたな!?何があったんだ…って、爺さん殺されてるじゃねーか!!?」
「アンタが殺したスナイパー以外にも、爺さんを狙ってた人物が居たのよ」
六郎の言葉を聞いた五郎は、小杉が持ってた鞄が無くなっている事に気付く。
「おい、爺さんの鞄が無くなってるぞ!?薬が盗まれたって事か!!?マジかよ、最悪じゃねーか」
「アイツ、最初から約束なんか聞く気はなかったんだわ」
ブー、ブー、ブー。
タイミングよく六郎のスマホに着信が入り、画面を見てみると着信相手は神楽ヨウからだった。
六郎は怒りの感情に身を任せたまま、神楽ヨウからの着信に応じる。
「爺さんを殺したのは、アンタの仕業なんでしょ!?」
「おいおい、いきなり何?」
「惚けないで。爺さんを殺そうとしていたスナイパーは、五郎が確実に仕留めたのよ。アンタが人を送って、あたしの事を気絶させた。違う?」
「君がどう思うかは僕には関係ないけど、小杉さんを守れてないのは事実だよね?君はリンちゃんの為に、僕の要求を飲んだんじゃないの」
神楽ヨウの言葉を聞いた六郎は、唇を強く噛む事しか出来なかった。
「どんな状況でっも対応しないといけないだろ?君達の仕事は。薬は?」
「…、盗まれた」
「はぁ…、君達に頼んだのが間違いだったなぁ。まぁ、最初から期待はしていなかったから良いよ。リンちゃんの件は、了承しかねるね。僕が与えた仕事が出来なかったからね」
「最低…、あたしに何も言わせない状況を作り出したくせに」
拳を握り絞めながら、六郎は神楽ヨウの顔を思い出しながら睨み付ける。
「悪いが、君と長電話をするつもりはないんだ。それから、僕から君に電話をする事は今後ないから、宜しくね」
そう言って、神楽ヨウは一方的に通話を終わらせた。
「あの糞男!!!最初から、こうなるのが目的だったのよ!!!爺さんが殺されるのが、分かってたみたいな口振りをして」
「悪りぃ、俺が撃ち損ねたからだ」
「アンタの所為じゃないわよ。爺さんを殺したのは、神楽組の人間だって確証出来たわ。爺さんが死んでも、問題ないみたいな口振りしてたもの」
「俺が殺したのは椿会の奴で、撃ち損ねたのは神楽組の奴って事で…?薬を奪っていったのも、神楽組の奴って事で良いのか?」
五郎が頭を悩ませながら、六郎に尋ねる。
「合ってる、合ってる。リンちゃんの存在は実験台として、神楽ヨウには必要な存在なのは間違いない。アンタも、リンちゃんの事守りなさいよね」
「ん…?え、俺もか?」
「当たり前でしょ!?それぐらいの事しなさいよ!!!」
五郎の言葉を聞いて苛ついた六郎は、五郎の耳を掴んで大声を出す。
「分かったって!!!耳元で大声出すな!!!」
「アンタがふざけた事を言うかでしょ!?何、ボサっとしてんのよ」
「爺さんを撃ったスナイパーさ、どこかで見た事がああるような気がしてよ」
「無駄に目だけ良いもんね、五郎は。見たって、どこで」
六郎の問い掛けに答えずに、五郎は再び考え出した時だった。
ブー、ブー、ブー。
着信を知らせるバイブ音が鳴り、六郎のスマホが激しく振動する。
六郎は素早くスマホ画面を確認すると、七海からの着信だと分かり通話に応じた。
「もしもし、七海?どうしたの」
「早急にアジトに戻ってきてくれない?」
「え?そっちで何かあったの?」
「リンちゃんを連れて、行きたい場所があるんだ」
七海の言葉を聞いた六郎は、首を傾げながら口を開く。
「リンちゃんを連れて行きたい場所って…、それってどこなの?」
「兵頭拓也が経営してたバーだよ」
「何でまた、バーに…、あ」
六郎は喋りながらリンを保護した時に、一郎が言ってきた言葉を思い出した。
「この子のJewelry Wordsの能力だが、物に宿った記憶を見る事が出来るそうだ。以前、芦間啓成について調べさせた時に、発覚した」
「物に宿った記憶?誰かが触ったとか、そう言う感じの?」
「まぁ、そんな感じだ。モモちゃんのような攻撃的なものではないが、不思議な力には変わりない。椿がまた狙って来る可能性があると頭の片隅に入れておいてくれ」
そう一郎が言っていた事を思い出し、六郎は七海に尋ねる。
「リンちゃんのJewelry Wordsを使って、何か調べたい事があるのね?調べたい事って…、何?」
「兵頭拓也を殺した人物が、本当はだれなのか。ハッキリさせないといけないんだ」
「ちょっと、待って!?拓也さんを殺したのは椿でしょ?今更、調べる必要があるの?」
「やっぱり、みんながそう思ってるんだって確信が出来たよ。調べる必要はある事なんだ!!!」
七海の強い口調を聞いた六郎は、何かあるんだと理解した。
「分かったわよ、すぐに戻るわ」
「なるべく急いで、勘付かれる前に動きたいから」
ピッと、七海からの通話が切れ、六郎は五郎の方に視線を向ける。
「アジトに戻るわよ。七海と合流して、行く所が出来たわ」
「スマホから七海の声が漏れてから、大体の話しの流れは分かったぜ」
「七海が何で、そんな事を調べたいのか分からないけど…。リンちゃんが心配だから、急いで戻るわよ」
「お前、いつからリンに入れ込み始めたんだ?」
五郎の何気ない言葉だったが、六郎にとってはハッとさせられる言葉だった。
「え?あたし、リンちゃんに入れ込んでた…?」
「自覚なかったのか?六郎。一郎に懐いてるのは、見れば分かるけど」
「モモちゃんと同じヨウに接してたつもりなんだけど…。JewelryPupilni に魅了されるって事…よね」
そう言いながら、六郎は殺される前の小杉の様子を思い出していた。
***
10月26日 同時刻 高速道路
三郎がワンボックスの車体に飛び移る少し前、助手席に座る佐助に声をかけていた。
「アンタ、車の運転出来る?」
「椿様に免許を取れって言われてたから、運転は出来るけど」
「じゃあ、運転変わって」
「は?今?」
佐助の問い掛けを無視して、後部座席に座っているモモの方に視線を向ける。
「四郎の事を取り戻してくれるんだよね?三郎」
「うん、最初からそのつもりだよ」
「四郎に会いたいね、三郎」
「迎えに行ってくるよ」
三郎はそう言って、佐助の手を取ってハンドルを握らせた。
「ちょ、本気で変わるつもり!?アンタ、この子が乗ってるのに…」
「大丈夫、あと1秒後に前の車達の動きが5秒間止まる」
「何言って…、アンタのJewelry Wordsの能力で、何か見えたのね」
「弱ってる今の君ならさ、簡単にモモちゃんに殺されちゃうからね。死にたくなかった等、大人しくしてた方が良いよ」
そう言いがら、三郎が全開に開けた窓から乗り出すと、三郎の予言通りに、前方を走っていた車達の動きが止まる。
その瞬間に三郎はルーフに移動し、佐助は運転席に急いで移動した。
ルーフに装備されている鉄パイプを手に取ると、止まっていた車達が再び走り出す。
佐助は手慣れたハンドル捌きで、次々と前の車を追い抜かし、八代和樹達が乗っている車も追い越して行く。
白雪達が乗っているワンボックスの隣まで、距離を詰めると、三郎はあ腰を上げた。
ドンッ!!!
三郎がワンボックスの車体に飛び移り、持って来ていた鉄パイプをフロントガラスに叩きつけた。
バキバキバキッ!!!
叩きつけられたフロントガラスに大きなヒビが入り、三郎はヒビを何度も踏み付ける。
カチャッ!!!
パアァン!!!
白雪は三郎に銃口を向け、そのまま三郎の足の裏に向かって引き金を引く。
ブシャ!!!
放たれた銃弾は三郎の足の裏を貫通し、血が噴き出したのだが三郎は表情を変えずにフロントガラスを踏み付けた。
ガシャーンッ!!!
踏み続けたれたフロントガラスは、粉々にいなりながら割れて行く。
「初めまして?モモちゃんのお母さん。いきなり足を撃つなんてさ、酷くない?」
「そっちこそ、私達の邪魔をしてほしくないんだけど」
「邪魔するに決まってんでしょ?四郎に何かしただろ」
そう言って、三郎は運転席に座っている四郎に視線を向けた。
CASE 三郎
髪がシルバーカラになった四郎は、全く俺の事を見ようとしない。
唇に真っ赤口紅を塗ったみたいに赤く、血の匂いが車内に充満しているのが分かる。
「何かって?」
「惚ける気?君、そう言う性格なんだ」
「ふふふ、取り戻しに来たって遅いのに。あのね、坊や?この人はね、私のモノになったの。貴方達の事なんて、頭にないのよ」
俺の事を嘲笑いながら、白雪は言葉を吐く。
人から聞いた時の印象と自分の目で見た印象は、全く違って見えた。
か弱く見えるのは体だけで、態度はかなり大きいし、性格もかなり悪いだろう。
どうやって四郎を連れだそうか、この女から離れさせようかと考えているけど…。
白雪を一時的に意識を失わせようとすると、四郎が必ず身を丁して守りに来る未来しか見えない。
モモちゃんの母親だから?
傷付けさせないように?
ただ、それだけの理由で守ろうとするか??四郎が。
「ふふ、君の頭の中で私は何回殺されたのかな?」
俺のJewelr Wordsの能力でも、分かってるような口振りだな。
実際に分かっているのか、俺の事を挑発しているだけなのかの2択だろう。
「マジで、四郎に何したの」
「何って…、ねぇ?私のモノにしただけ。キスして…、それから…。ふふ、この意味、分かる?」
白雪は俺の事を馬鹿にするような言い方をして、四郎の腕に縋り付く。
その光景は見ていて気分の良いものじゃないし、なんなら殺意が込み上げてくる。
「人のモノに手を出すなんて、行儀が良くないねぇ。やっぱり、闇市場に売られると性格も悪くなんの?」
「…、それ私に向かって言ってるの」
「はぁ?君しかいなくない?耳悪いの?それとも地頭が悪いの?」
闇市場と言うワードは、どうやら白雪の地雷らしい。
目付きが変わり、俺に対しての苛立ちが見て分かる。
白雪を刺すビジョンを脳内で繰り返していたけど、四郎が怪我を負うのは避けられない。
「ごめん、四郎」
ブンッ!!!
ブシャッ!!!
四郎に謝った後、素早く白雪にナイフを突き刺そうとナイフを振り翳したが、見た未来通りの行動を四郎は取った。
白雪の前に左手を伸ばして、ナイフが刺さらないように握って動きを止める。
ナイフの刃が四郎の手のひらに食い込み、血がボタボタと流れ出して行く。
ドカッ!!!
俺は四郎の左手を蹴り上げ、白雪の前から退かし、車内に入り込む。
ギシッ!!!
カチャッ!!!
白雪の体に馬乗りになり、俺はCz75の銃口を白雪の額に向け、いつでも引き金が引ける体勢を取る。
だが、白雪も俺の脇腹に銃口を突き立ていた。
お互いにお互いの命を、いつでも奪える状況に俺と白雪になっていたのだ。
四郎はハンドルを握ってる手は離せないし、左手はナイフが刺さったまま。
「押し倒すのが趣味なの?銃口なんて、向けちゃって」
「君、お母さんなのに下品な事しか言えないの?見た目は若いけど、歳でしょ?おばさん」
「あら?こんなんでも男に人気なのよ?私。天使みたいなんですって、私。昔からそう、男は皆んな…、この見た目に惹かれる」
「何、惹かれるって?客の事?アルビノが裏社会でも、オカルト世界でも、変態共の世界でも人気なの。買った後なら、君達アルビノをどう扱おうが関係ないからね」
俺の言葉を聞いた白雪は、大きな声を出して笑い出す。
「あははは!!!私達にはそれだけの価値があるのよ?髪の毛1本から血液、胴体の1つ1つまでね。私の子供も、闇市場に売られてたんでしょ?」
「自分の子供が売られてたのに、よく平然としていられるね。心配とかしないんだ」
「この男も同じ事を私に言ってきたわ。私、別に子供なんてほしくなかったもの」
「は?ほしくないなら、アンタが避妊したら良かったじゃん」
白雪は俺の予想外の言葉を次々と吐きながら、引き金を引こうと指を動かした時。
カチャッ!!!
「三郎!!!」
パアァンッ!!!
ブシャッ!!!
モモちゃんの叫び声が聞こえたお思ったら、白雪の右手首が無くなっていて、傷口から血が噴き出していた。
白雪が銃を持っていた手が、モモちゃんがJewelry Wordsの能力で吹き飛ばしたのか。
チラッと右車線を視線だけ向けると、佐助が俺達が乗っているワンボックスに、車体を近付けさせているのが見える。
脳内にモモちゃんが飛び移って来る未来が見えた。
「は!?ちょ、まっ!!!」
「三郎っ、受け止めてよねっ」
助手席の窓から身を乗り出し、モモちゃんがそのままワンボックスの車体に飛び移って来たのだ。
ガシャーンッ!!!
モモちゃんが落ちないように、片方でモモちゃんの体をキャッチし、自分の体に強く引き寄せる。
「落ちたらどうすんの!?いきなり飛び移って来るなんてさ!?」
「三郎だったら、受け止めてくれると思ったから…。四郎っ、四郎っ!!!私だよ、モモだよ!!!」
そう言って、モモちゃんは目に涙を溜めながら、四郎の事を見ながら叫んだ。
四郎はモモちゃんの呼び掛けにも、何も反応しない。
「迎えに来たんだよっ、四郎の事っ。寝てないといけないのにっ、無理しちゃいけないのにっ」
モモちゃんは泣きながら、運転している四郎の頬に優しく触れる。
「…、モモ?」
「っ!!!そうだよ?モモだよっ?三郎も一緒だよ」
「三郎、モモっ、何でここに居んだっ」
頭を手で押さえながら、モモちゃんの呼び掛けに答えた。
四郎は何かと戦っているような、苦しみを押し殺しているような様子に見える。
白雪のJewelry Wordsの能力が強大なのか…。
「痛いじゃないの、モモ」
「…、お母さんなんだよね?私の」
「お腹を痛めて産んであげたママよ?本当、私と瓜二つじゃない」
そう言って、白雪は右手首の傷口を見せながら、モモちゃんに声をかけた。
肉に埋もれた断裂されている骨が、丸見えの状態になっている。
「夢に出て来たお母さんじゃない。本当に、私のお母さん?」
「貴方がどんな夢を見たのかは知らないけど、私がお母さんなのよ。背中に天使の羽みたいなアザがあるでしょ?貴方の裸を見た人しか知らないもの。私あ最初に見たんだから、知っていて当然よね」
「夢でのお母さんは、すごく優しくて…。私の事を大事に思ってくれているのが分かった。だけど、それは私の想像だっったんだね?お母さん」
「子供と話してる感じがしないわね。環境がそうさせたのかしら?まぁ、ガキと話すよりは良いけど」
白雪の話を聞いているだけで、モモちゃんの事を愛していない事がすぐに分かる。
ブシャッ!!!
四郎が荒々しく手のひらに刺さったナイフを抜き、白雪に向かってトカレフTT-33の銃口を突き付けていた。
「これ以上、モモに対して言葉を吐いたら殺すぞ」
「…っ、四郎っ」
四郎の言葉を聞いたモモちゃんは、嬉しさのあまり再び泣き出してしまう。
だが、白雪だけは四郎とモモちゃんに対して、冷たい眼差しを送っていた。
「はぁ、はぁ…っ、クソが、俺に妙な事しやがって…っ。馬鹿みてーに、頭がいてぇ」
「へぇ、私の力に対抗するのね」
「この糞女、俺に何をしやがった」
「私はただ、貴方の事をモノにしただけよ。私はそれを出来る力があるの、自分の能力を熟知しているわ。今だって、銃を向けているだけでも、辛いでしょ?頭の中で邪魔して来るでしょ?もどかしいでしょ?私の事が殺せな…」
パシュンッ!!!
ブシャッ!!!
白雪の言葉を遮るように、銃弾が放たれたような音が響き渡り、白雪の右頬が切られたような傷が出来ている。
モモちゃんが白雪の方に手を伸ばしていてのを見て、モモちゃんが白雪の傷をつけた事が分かった。
「四郎は私が見つけた王子様なの、お母さんに渡さない。四郎は私のモノなんだから」
「子供が生意気な事言ってんじゃないわよ。この人は私のモノよ!!!」
「四郎はお母さんの事、選ばないよ。四郎は私の事を選んでくれたから」
「うるさい、うるさい!!!渡さない、この男の事は渡さないわよ」
カチャッ!!!
白雪は叫びながら左手で銃を持ち、指を引き金にかける。
まさか、自殺する気か!?
「私は望んだモノを必ず、手に入れる女よ」
「ちょっと、まっ…!!!」
パアァンッ!!!
ブシャッ!!!
俺の言葉を聞かずに白雪は引き金を引き、生暖かい血が顔に思いっきりかかり、白雪は目を見開いたまま動かなくなった。
「し、死んだ…?自殺したのか…?」
ジジジッ!!!
その瞬間、視界がボヤけてノイズ音が聞こえ、目の前の光景がいきなり変わる。
***
バッ!!!
俺の視界に映ったのは、兵頭会本家の玄関前に広がる景色が広がっていた。
どうして、俺は今…、ここに居るんだ?
それは間違いない、だって俺の目の前で…。
何で、俺は全身黒で揃えたスーツを着てるんだ?
「まさか、神楽組の組長の息子が生きていたなんてな」
「本当だよ、予定を早めた就任式をやるくらいだぜ?組長からしたら、嬉しい筈だろ。息子が生きていたんだからよ」
近くにた神楽組の組員達の話が聞こえ、慌ててスマホを取り出した。
「11月1日の午後13時…?は?」
スマホ画面に映った日付と時間を見て、ますます状況が理解出来なかった。
今日は10月26日だったのに、11月1日に変わったって事?
いきなり日付けが飛ぶって…、どう言う事だよ。
ありえないでしょ、普通は…。
四郎は?
四郎はどこにいるんだ?
「マジで、どうなってんだよ」
状況と頭の中での理解が追い付かない。
「三郎!!!」
背後から呼び掛けられて降り向くと、黒いワンピースを着たモモちゃんが走って来るのが見えた。
「こっちに来て!!!」
「え、どこに行くつもり?」
モモちゃんに手を掴まれ、連れて行かれた場所は見慣れた兵頭会本家の敷地内にある庭だった。
「どうして、私達ここにいるの?お母さんと四郎が乗っていた車にいたよね?」
「俺だって。この状況が飲み込めてないんだ。いきなり11月になっていて、神楽ヨウの若頭就任式に来ていて…。訳が分からない」
「もしかして、お母さんが何かしたんじゃないかな」
「白雪が?」
確かに、白雪がJewelry Wordsを使った可能性は高い。
高いけど…、1つだけ引っ掛かる所がある。
「白雪は俺達の目の前で、頭を自分で撃っただろ?自殺してまで、する事だったって事…か?」
「だって、お母さんは四郎の事を欲しがってた。だから、何かしたんじゃないかって…、思ったんだけど…」
モモちゃんと話していると、美雨ちゃんを連れた辰巳さんに声をかけられた。
「おい、三郎。今回の若頭就任式は荒れるぞ、なんせ椿会も来るんだからな」
「…」
「お前が黙るなんて、珍しいな。何かあったのか?」
辰巳さんに尋ねられたが、どう答えて良いのか答えに迷う。
俺の足元で、モモちゃんと美雨ちゃんは楽しそうに話をしている。
本当にどうなってるんだ…。
「辰巳さんっ、神楽組と椿会の連中が…っ、同時に到着しました!!!」
九条組の組員の男に呼ばれ、辰巳さんは申し訳なさそうな表情を俺に浮かべた。
「分かった、俺が出迎える。三郎、悪いが…」
「分かりました、2人の事を見ておきます」
「悪いな。すみません、お嬢…。すぐに戻りますから」
辰巳さんは美雨ちゃんの頭を撫ででから、組員達と共に玄関に向かって行った。