私とキミは、年齢が4つも離れている。
そして、私の方が4つも年上。
推しに選んでいいのだろうか、彼は私のことを迷惑と思わないか・・・
キミからしたら相当なおばさんだよね。
現実味のない恋・・・のはずだった。
彼が中学生の頃、私は高校生の頃に彼と出会った。
好きなアイドルのうしろで一生懸命なキミが、とてつもなく美しく輝いていた。
「誰?あの子」
彼のダンスのレベルは今までにない。
どことなく引き込まれていく、生まれて初めての感覚だった。
彼のことを自然と追いかけるようになってしまったのは、この頃からだった。
キミは春から都内の名門大学に入学、私は春から都内のIT企業に入社し、社会人になった。
大学の在学期間もすれ違うし、縁がないよね。
所詮、彼には届かない存在。
私は彼に会うために、頑張って仕事をするのに精一杯だった。
「弊社は、夏がいちばんの繁忙期だからね!」
頑張っていた仕事も、彼に会える時間を邪魔してくる。有給もまだ使えない。
夏のライブなんか、行けるわけがなかった。
なんのために働いて、なんのために生きてるんだろうな。
自分の全てを犠牲にして、やりたいことも全部捨てて社会に出たはずなのに辛かった。
彼にはもう会えないんだ。
そう思うしかなかった。