テラーノベル
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玄関のドアが勢いよく開く音がして、咲はびくりと肩を揺らした。
「ただいまー! お、咲、まだ片づけしてんのか」
亮の大きな声がリビングに響く。
「……もうすぐ終わるよ」
慌てて水を止めて茶碗を流しに置いた咲は、心臓の速さを悟られないように平静を装う。
「ほら悠真、アイス買ってきた。どっち食う?」
袋をガサガサさせながら亮がリビングに入っていく。
悠真の「ありがと」という声が聞こえ、さっきまでの静けさが嘘のように賑やかさが戻る。
(……ほんの少し、二人きりだっただけなのに)
胸に残った熱を持て余しながら、咲はタオルで手を拭き、リビングへ戻っていった。
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