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コメント
2件
いい作品!次の作品期待してるよがんば!
私は何故、この世に生まれてきてしまったのだろう。
あらゆる同年代の生徒が青春を謳歌している間、私はと言うと親に虐待を受けてばかりだった。
いつも誰かと比較してばかりの自分。
だが虐待は耐え難く、体にはもう限界が来ていた。
心も体も必死に嘆いている。
そんな私の唯一の娯楽は、狭い空き部屋の隅で寝ることだけだった。
寝ている間は、全てを忘れることができたから―――…
「累〜、朝ご飯食べましょうねぇ〜!!」
「今日はサンドイッチよ〜」
「やったぁ!! ママがつくるサンドイッチはせかいいち!」
「ふふ、喜んでくれたならよかった」
「さ、二人で食べましょうね♪」
私が座る席の向かいにいるのは、私の実の母親。
だが、そうとは思えないほど 私を赤の他人として扱っているのがあからさまだった。
その母親の隣には義弟の累がいて、
普段から本物の親子のように、仲睦まじく生活している。
私は母親が離婚する前の実の娘。
そして離婚した後に再婚した相手との子供が、累。
昔から私は嫌悪されていたが
累が我が家にやって来てから、私の生活は明らかに一変した。
当たり前のように無視され
与えてもらえるご飯はいつも累の半分以下だった。
累の方が幼く小さいというのに。
お金なら有り余っているはずなのに………
「(……なんで娘の私だけ、こんなに扱いが違うの?)」
一度でも親から愛されたかった。
一度でも好きと言われたかった。
母親はいつも『養ってあげてるんだから、感謝の気持ちぐらい持て』と言う。
だが望んでこの家に生まれてきたわけではない。
もしも親を選べるガチャが存在するのなら、絶対にこんな家、生まれてこなかったのに。
「……………お母さん」
私が小声で呼ぶと、母はこちらを振り向いた。
その瞳に映る私は、まるで自分ではないみたいだった。
いや、自分とは信じたくなかった。
「どうせ飯でしょ、棚のおにぎり取って食べれば?」
母は冷然と言葉を突き放した。
まるで鋭い矢のように感じた。
私の胸に突き刺さって、離れない。
「…………もうやめてっ」
「は?」
「なんか言った?」
「―――いえ、何も」
「あんた邪魔なのよ。そこどけ」
「とっとと外出なさいよ!! しつこいわね!」
「あたしは累のお世話で忙しいの」
「あんたに構ってる暇なんかないのよ!!」
母は突然 峻烈な口調でそう言い放った。
「……ごめんなさい」
「あ、外出るならついでに酒とタバコ買ってきて」
「……でも、私未成年…」
「売ってもらえないよ―――」
「うるさい!!!!!!」
「買ってこいって言ってんの!!!!!!!!!!」
「!!」
「早く行ってこい」
「…わかりました、ごめんなさい」
そう言葉を残してから、私は玄関を出た。
本当は、酒やタバコを買うつもりなどとうになかった。
とにかく逃げ出したかった。
こんなにも無慈悲な現実から逃避したかった。
外に出ると、街は学生や社会人でごった返していた。
今頃私のような中学生は、仲の良い友達とでも登校しているのだろうか。
「―――嫌い」
思わずそんな言葉が飛び出した。
「―――自分が大嫌い」
ぐるるる……
「___あ」
腹と胃腸までが不調を嘆き出した。
「……………お腹、空いたな」
「ご飯、食べたいな」
段々意識が朦朧としてきた。
もうダメかも知れない。
いっそ、このまま死んでしまった方が楽だろうか。
来世に賭けてみるとか……
ふふふ…………
なんだか不思議と、今は幸せ。
暖かいわ……
来世でまた―――……
彼に、出会えますように。