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同性愛表現が入ってますがご本人様方は全くそのような事ございません.
hmtk.ne.の奥さんとして“こと”という人物が出てきますがご本人様には関係御座いません.
また,そういった表現が苦手な方は御遠慮ください.
ネタが思い付かない中で書いたものなので文章に不備があるかもしれません.ありましたら教えてください.
[呼び名一覧]
itu.↪イトウ
pin.↪ペイン
hmtk.↪フミツキ
ne.↪ナエ
rdo.↪ラダオ
pin.side.
ある程度事件対応が落ち着いて本署に帰ろうとしたら道路に女性がいた。
道路のド真ん中でキョロキョロとしている女性の格好は着物で、いかにも江戸に居そうな美の化身の様な人。
警察としても放っておく訳にはいかないと声を掛けた。
「あのー、大丈夫ですか?」
「……、?えぇっと…。」
「ぁー、っと…。俺はitu.といいます、良ければ貴女の名前を聞いても?」
「…私…、私は、hmtk.ことと申します、。」
hmtk.。
見た時から何となくそうかもと思ってたけど、一番嫌な可能性に当たってしまった。
着物、女性、hmtk.。
この街でhmtk.といえばne.しか居ない。
きっとこの人は江戸から来たne.の奥さんなんだ。
そう考えて目の前が一瞬暗くなる。
駄目だ。
俺はただのバディで警察、俺が出来るのはne.に会わせてあげること。
我に返りことさんに手を伸ばす。
「……貴女の、旦那さんの場所を知っています、…俺が連れて行きますよ!」
「まぁ…っ!ならお頼みします。」
「、はい!」
驚いたというように目を開き口元に手を当てそのまま微笑む。
やっぱり作法も綺麗だと思いつつも、ne.の所に案内しなければ…。
なんて思ってしまう自分を封じ込めて車へ誘導する。
本署に着くまでの間、なにを話していたのか全く覚えていない。
気付いたら本署で同期や先輩が話していた。
車を降りて周囲を確認する。
そこにne.の姿はなく、このまま引き返せば…。
そんな事を思って再度バイクに乗ろうとした時、今一番聞きたくなかった声が聞こえた。
こっちに来るかと思ったら、kyp.達と話してるみたいで気付いてはなかった。
どうしようかと迷っていたらことさんがne.に気付いて走って行ってしまった。
「旦那様っ…!」
「?!、どうしてここに…。」
「あちらの殿方、itu.と名乗る方が案内してくださったのです。」
「…pin.か。」
「旦那様、帰りましょう?私、ここが_現世@うつしよ_ではないの分かっております。」
「……。」
このままじゃne.が帰っちゃう。
分かってても止めることは出来なくてただ立ち尽くす。
周りの皆も察したのか、喋るのをやめて二人を見ている。
本当は止めたい。
でもne.は江戸に帰らなきゃいけない。
そもそもあの人をここに連れて来なければ。
あの時、居なかったことにしておけば…。
よく分からない感情が胸の奥で渦巻いて錯乱する。
気付いたら泣いていて、落ち着かせるために離れようとバイクに乗るところだった。
「pin.!!」
ne.が呼ぶ。
驚いて声の方を見るとことさんを置いてこっちに走ってくるne.が居た。
「ne.、?」
「何処に行くんじゃ?」
「…ぃや、ちょっとホットドッグでも買いに行こうかなって。」
「……お主、その面取れ。」
「、なんで?」
「泣いておるじゃろ。」
あぁ、バレちゃった。
でも肯定しちゃったらどうなる?
「……そんな事ないよ!ほら、ことさんが困ってるよ?早く行ってあげなよ!!」
それだけ言って俺はバイクに乗ってエンジンをかけ走り出す。
「pin.ッ!!!」
早く離れたくて強くアクセルを踏む。
ne.が呼ぶ声が聞こえる。
やめて、呼ばないで。
離れないといけないから。
ne.がどんな顔してるのか見たくない。
ことさんがどんな感情で俺らのことを見てるのか考えたくない。
この、よく分かんない感情を知りたくない。
戻れなくなるから。
ただひたすら逃げてて、気付いた時には海にいた。
バイクを放りいつも着けてる面を取って涙を誤魔化すように海に入る。
日が暮れてるからか少し肌寒い海水を見つめ風に揺られる。
静かな海音にこのまま眠ってしまおうかと思って目を閉じた。
この日を無かったことに出来れば…。
そんな事を思いながら意識を魂に戻そうとした。
「…ここにおったか、pin.。」
「……ne.、?」
今一番聞きたくて、一番聞きたくなかった声。
反射的に目を開けて声の方を見てしまう。
いつの間にかいたne.に驚いてしまった。
「な、んでここに…。」
「シグナルを追ったんじゃ。rdo.がヘリに乗せてくれてな。」
上を見ると1台の警察ヘリが飛んでてrdo.のだと確信する。
そういえばシグナル切り忘れてたな…。
「でも、ことさんは、?」
「あやつならもう江戸に帰った。市長に頼んだのじゃ。」
「ぇ、じゃあne.は…?」
「わしは帰らん。pin.がいるからな!」
そう言ってne.は俺を抱き寄せる。
少し戸惑いながらも抱き返すとne.が口を開いた。
「…なぁpin.。わし、多分…いや、絶対お主のことが好きじゃ。」
いきなりそんな事を言われてさっきより強く抱きしめられる。
俺も多分好き、そう言おうと思ったけど辞めた。
ne.にはもう家族がいるし。
「……、駄目だよ。」
「なんでじゃ?pin.はわしのこと好きじゃないのか?」
「…好き、だよ…。でも駄目なんだ。」
少女漫画の世界だったら上手くいってたのかも。
でもここは少女漫画の世界じゃない。
確かに好きだよ。
両思いだからって少女漫画みたいになりはしない。
いや、本当はただ俺が逃げたいだけなんだろうな。
でもね、やっぱり駄目だよ。
俺はきっとすぐ冷めちゃうから。
ずっとそうだったから。
嫌なんだよ、ne.のこと好きでいたい。
俺は軽くne.を遠ざけて目を見て言った。
「……ずっと、大好きだったよ。」
それだけ言って強制的に意識を魂に戻す。
そういえばバイクと仮面置いて来ちゃったな。
次起きた時に持って帰ろう。
次起きるのはいつだろ。
いや、もう起きたくないかもな。