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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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吐き気のするような朝だ。腫れの広がってきた顔に湿布を貼る。

せめて事務所だけは綺麗に保とうと隅々まで掃除をした。床も窓もぴかぴかに磨き上げる。クリーナーでデスクをごしごし擦っていると気分が少し落ち着いた。

わずかに腹が減った。そういえば、昨日アイスがあるとからさんが言っていた。冷凍庫を探ると、氷の裏の裏の方に、本当にアイスが隠してあって思わず微笑む。いつもの棒アイスでない、高級なものだ。それを口に運ぶ。甘くて美味しい。今日会ったらお礼を言わなくては。

半分ほど食べ、ふう、と深呼吸をした。窓の外からきれいな朝焼けが差し込んでくる。何もかもまぼろしに思えた。

昨夜のことなど悪い夢だ。山本くんは僕に何もしていない。僕はなにもされていない。彼はけして暴力的な人間ではなく、僕は本当に優しい心根を持っている。そうであってくれたらいいのに。


ドアホンの音で一気に緊張が走った。あいつだ。

おはようございまーっす! と楽しげな声と共にドアが開いた。今世界で一番会いたくない相手。

彼は僕を見るなり「よう、ビッチ」と呟き、顔の半分だけで笑った。

つかつかと僕に近寄ってきたので思わず立ち上がり、男と距離を取った。

しかし無遠慮に距離を詰めてくるこの男は「わあ、男前が台無しっすねえ」と顔の湿布をじろじろ見ている。

「ねえ、昨日の続きしません?」

「……馬鹿なこと言わないでくれ」

「今度は優しくしますって。ゴムとかローションとか今日はちゃんと持ってきたんでー」

「そういう問題じゃ……」

「まさか、俺の言ったこと忘れたわけじゃないっすよね」

耳元で囁かれゾッとする。奥歯を噛み締めた。

「……後にしてくれないか。先輩も出勤してくる」

「ふぅん」

残念そうに肩を竦めた彼と離れたくて背を向けたのが間違いだった。腕を取られ、気付くと床に落とされていた。歯を見せて笑う彼に、さらに鳩尾を突かれ息が出来なくなる。流れるような動きだった。

「システマって知ってます? ロシアの格闘技」

腕を掴まれ床を引き摺られる。彼は寝室のドアを開け、僕をベッドに放り投げた。ガチャ、と鍵をかけられたのが分かった。

「あれすごいんすよ。一発で相手を落とせる上に、こっちは何か食らっても全然痛いと思わないんすわ」

彼は昨日と同じく勝手に僕に跨り、服を乱し始める。大きく脚を開かされたかと思うと、持ってきたらしいローションをアナルに塗りこまれた。ひやっとするローションがじんわり熱くなってくる感覚を、僕は知っている。

「つまり、山岡さんが必死で抵抗しても無駄なんで、せっかくだし楽しみましょうよってことです」

指を挿入される。僕は歯を食いしばって耐えた。どこかなー、なんて独り言を言いながら指を動かす彼の表情は、宝探しでもしている子どもそのもので恐ろしくなった。やがて探し当てられ、身体が勝手に震えた。

男はニッと笑う。彼の左手が僕の陰茎を掴み扱き始めた。

「昨日は俺が一方的だったんでー、今日は山岡さんを気持ちよくしてあげますねー」

死ね。

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