テラーノベル
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徐々に3人だけの新しい生活にも慣れてきた頃、
瞬くんの1ヶ月健診の日。
「舞、気をつけて行って来てね。」
「うん。」
「大丈夫?俺も一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫だよ。すぐ近くなんだし、それに、亮は、今、忙しい時期なんだから…」
「う〜ん、終わったら連絡してね。」
「はい、はい。」
「なんか、面倒くさそう…」
「違うよ、亮が過保護にするからだよ。」
「だって舞、運転するの久しぶりだから、ちょっと心配で…」
「でも慣れないと、これからは、平日は、ずっと1人で瞬くんを連れて、どこへでも行けるようにならないと…」
「分かった」
「ありがとう!心配してくれて…大丈夫だから、いってらっしゃい。」
「うん、じゃあ、行ってきます!瞬、バイバイ〜」
「いってらっしゃ〜い」
瞬くんの手を持って、亮に振る。
ホントは、舞も久しぶりの車の運転で、少し不安だった。ましてや、今度は、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せるわけだから、より慎重に運転しないと…
一応、出産前は、ずっと運転していたし、乗ればカラダが覚えているだろう、と思っていた。
そして、準備をして、舞の軽自動車に瞬を乗せて出発。
やはり、最初は怖かったが、予想通り、何年も運転していたから、久しぶりでもカラダが覚えているようだ。
道路も空いていたので、スムーズに到着。
1ヶ月健診も、スムーズに進み、
「うん、順調ですね〜大丈夫ですよ〜何か聞いておきたいことはありますか?」
「足のココにアザがあるようなのですが、これは、消えますか?」
「う〜ん、お尻の青いのは、消えるんだけど、この茶色いのは、消えないですね。でも、良性のものだから心配はいりませんよ。」
「そうですか…分かりました。」
「他には無いですか〜?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、次は、3〜4ヶ月健診ですね。それまでに何か不安なことがありましたら、いつでも、相談窓口へお電話くださいね。」
「はい、ありがとうございました。」
「はい、じゃあまたね〜」と瞬くんに手を振る女医さん。
『終わったよ。順調だって〜』
『了解〜気をつけてね』
『は〜い』
「あれ?なんで、すぐに携帯電話、見れたんだろう?トイレにでも行ってたのかなあ?じゃあ、帰りましょうか〜」
そして、クリニックを出て自宅マンションへ
しかし、帰る途中、舞は悲惨な事故を目撃してしまうことに…
舞が運転する車は、交差点の信号待ちで停車した。
後部座席で眠っている瞬くんの方を見た。
すると…
ドーーーン‼︎
という、凄い音がした。
何か爆発したのか?と、驚きながら、
音がした方を見ると…
交差点でぶつかったと見られる車が、
反対車線の歩道へと突っ込んでようやく止まった。
歩行者は、居なかったようだ。
もう1台は、バイクだった。
舞の車の前方の歩道まで飛ばされている。
バイクの運転手も飛ばされて倒れている。
周りは、騒然となった。
舞は、怖くなって手が震えた。
歩行者や自転車も多く、
歩行者の人が携帯電話を片手に、電話している。
救急車やパトカーを呼んでいるのだろう。
倒れている人にも何人かの人が駆け寄っている。
舞の数メートル前ということもあり、
非常点滅を点けて、そのまま停まっていた。
と、いうか…ショックが大きすぎて、手が震えて、
怖くて動けずにいた。
急ぐ車は、右側車線から追い抜いて走っていく。
『どうしよう〜怖くて運転出来ない。』
思わず亮に電話をかけてしまった。
当然、忙しいのだから、出られるはずもない。
やはり、さっき、すぐに既読になったのは、
たまたま、だったのだろう。
怖くて、誰かと話したくて、
仕事かもしれないが、母に電話をかけようとしたら、
電話が鳴った。
『亮だ!』
「もしもし、舞、どうした?」
「亮〜〜〜」
怖くて涙が出て、言葉にならない…
「舞!どうした?」
「今、目の前で事故が起こって…」
「え!舞と瞬は、大丈夫なの?」
「うん、私の車は大丈夫なの。目の前で車とバイクがぶつかって、車が歩道へ飛んで、私の車の前にバイクの人が飛ばされてて…手が震えて運転出来なくて…」
「舞、今どこか分かる?」
「うん、△△交差点」
「分かった、すぐに行くから、そのまま待ってて。
絶対、外に出ちゃダメだよ。」
「うん、分かった。でも、亮、仕事は?」
「大丈夫だから…待ってて!」
「うん。」
そう言って、電話は切れた。
瞬くんの方を見たら、スヤスヤと眠っていた。
『良かった、泣かれたら、どうしていいか分からない。』
しばらくして、また亮から電話がかかって来た。
「舞、大丈夫?」
「うん」
「今、タクシーに乗ったから、すぐに着くからね。
パトカーは来た?」
「あ、今、ちょうど来た。救急車も来た。」
『大惨事だなぁ』と亮は、思った。
「もうすぐ着くからね。」
「この先じゃないですかね?」と、タクシー運転手さん。
「あ、分かりました。じゃあココで大丈夫です。ありがとうございました。」と、タクシーを降りた。
「舞、今タクシーを降りたから、もうすぐ着くよ。
すごく渋滞してるから…舞は、どっち側かなぁ?
横に何が見える?」
「コンビニ」
「そっか、分かった。」亮の位置からコンビニが見えた。
「あ、舞の車、見えたよ。後ろ!」
そう言われて、後ろを向いた。
走って来てくれる亮が見えた。
涙が流れた。
窓を開けた。
「亮〜」運転席側に回って来てくれた。
「舞〜怖かったなぁ、大丈夫か?」と、頭をぎゅっとして、トントンしてくれた。
車に気をつけながら、
「降りられる?」
「腰が抜けてるかも…」
「あ、じゃあ、そのまま助手席に座れる?」
「うん」そう言って、足を上げて、助手席にずれた。
運転席に亮が乗り込んだ。
「亮〜〜〜」
「怖かったなぁ、大丈夫か?」
ぎゅーと抱きしめた。
すると、警察官が来て、
「あ、すみません、事故を目撃されましたか?」と…
「ぶつかった瞬間は、見てないですが、ドンという音で気づいて…
車があっちの歩道へ飛んで行って、バイクとバイクの方がこちらへ飛んで来たのが見えて怖くて…」
「そうですか〜分かりました。ありがとうございました。運転手さんは?」
「あ、ショックで、運転出来ないようだったので、僕は今タクシーで来たばかりなので…」
「あ、そうでしたか…」
「すぐ車、出しますので…」
「あ、ご協力ありがとうございました。」
「じゃあ、行こうか」
「うん。」
そう言って、家まで運転してくれる亮。
コメント
2件
自分がもう少し早く通過してたら😨と思うと本当に怖かったですよね😢 電話して直ぐにかけつけてくれて嬉しかったね良かったね🥺