テラーノベル
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「ありがとう」
「ううん、怖かったなぁ〜」と、ずっと手を握ってくれていた。
「どうしよう…」
「ん?どうした?」
「怖くて、もう運転出来ないかもしれない。」
「そっか…じゃあ、もうしなくてもイイよ。」
「これからは、自分で何でもしないと…って思ったのに…亮にばっかり頼らないようにしようと思ったのに…」
「どうしてだよ!舞、頼って欲しいなぁ〜」
「だって、仕事の邪魔しちゃったし…」
「邪魔じゃないよ、一大事なのに…」
「ママになったし、頑張らないと!って思ったのに…」と、また涙が流れた。
「舞〜1人で、頑張り過ぎないでって言ったでしょう?」
「そうだけど、運転はずっとしてたから、大丈夫だと思ったから…」
「うん、そうだね。だから、ちゃんと運転して、瞬を健診に連れて行ってくれたじゃない?事故は、舞のせいじゃないよ。」
「うん、そうだけど…私、なんかおかしいね…産後でホルモンバランスがおかしくなっちゃってるのかなあ?すぐに涙が出るし…」
「まあ、睡眠不足はあるだろうね。授乳はやっぱり大変だもんな。子育てってホント大変だから…だから、もっと頼ってよ。」
「うん…でも、そしたら、亮、いっぱい休まなきゃいけなくなるよ。」
「毎日、健診があるわけじゃないし…たまになら大丈夫だよ。」
「今日だって急に、こうして…」
「今日は、近くの商店街のイベントの打ち合わせだったから、ずっと携帯電話を持ってたし…」
「あ、だから、すぐに既読になったんだ。」
「そうだよ。平日の方が、そういう日もあるから…
これからは、休日に少しイベントに顔を出して…とか増えてくるかもしれないな。
今までは、自粛ムードだったけどな。
だから、舞に負担をかけてしまうかもしれないから、出来る時には、何でもする。だから、言って!」
「うん、分かった。ありがとう。」
「ううん、家族なんだから…夫婦なんだから…
もっと遠慮なく何でも言い合おうよ。ツライ時は、ツライって言う!その代わり、嬉しい時は、嬉しいって言う。」
「うん。」
「やっと笑った」
「ふふ」
「もうすぐ着くよ。」
手を強くぎゅーっと握る舞
「あー舞〜痛い〜」
「ふふ」
「また、Sが出てるよ!」
「ふふ」
「はい、到着!」と車を停めると、同時に舞を抱きしめて、キスをする亮
舞に間髪入れさせないように…
濃厚なキスを送る
「ふふ」すっかり、女の顔になってる舞
もう一度、軽く唇に触れた
「とりあえず、家まで帰ろうか…」
「ありがとう、もう大丈夫だから、亮、戻って!」
「それが、もう今日は、直帰にしちゃったんだよね。打ち合わせ、もっと長引くと思ったから…
それに、そんな顔されて、置いていけるわけないよ。」と、また唇を塞いだ。
「ん〜亮!駐車場だよ。」
「じゃあ、上がりますか…大丈夫?」
「うん。」
「じゃあ、瞬を抱っこするよ。」と、瞬を抱いて、
部屋へ。
鍵を開けて中へ
瞬をベッドに寝かせる亮。
リビングのソファーでボーっとしてる舞
もう一度、ぎゅっと抱きしめる亮
「大丈夫か?」
「うん」
そう言いながら…
顔を見ると、ポロポロ涙を流している舞
また、黙って抱きしめる亮
頭を撫でながら、しばらく抱きしめる
「怖かったなぁ〜」
「うん…」
余計に涙が溢れる
「もう、1人で頑張り過ぎるなよ」
「うん」
「タクシーだって使って良いし…」
「あ!亮、だったら、自転車買って!」
「ん?あ、そうだよな、そう言えば、便利な場所に住んでるから自転車がなかったなぁ、うん、買おう!
電動自転車を買おう!」
「え?電動でもイイの?」
「そのうち瞬を乗せて走るなら、電動の方がラクだろう?」
「うん、助かる。しばらく、車…怖いかも…」
「うん、怖いなら運転しなくてイイよ。」
「うん。」
ようやく、舞は、亮から離れて
「座ろう」
「うん」
「健診どうだった?」
「うん、あ!瞬くんの足のアザ、やっぱり消えないんだって…」
「そっかー、でも、大丈夫だろ?男だし…俺もあるよ。ここに…」
「あ、ホントだ!」
「こんなの気にならないよ。」
「うん、良性だから大丈夫だって。」
「なら、良かった。ちゃんと、聞いて来てくれてありがとうな。」
「うん。」
『昔、バリバリ働いていた頃の舞とは違って、
1つ1つ慎重に学びながら母になっていってる舞に
亮は、一生懸命さと可愛さを見ている』
「舞〜」
また、ぎゅっとする
「可愛い〜」
「ん?」
「可愛いくて、ぎゅっとしたくなるんだよ。」
「ふふ」
ジーっと見つめて…
キスをした
「すると思った」
「バレてたか…じゃあ、もう1回」
優しく優しく、唇を重ねる
しばらく、舞は、車の運転を控えた。
『もしかしたら、このまま もう運転出来なくなってしまうかもしれない』とも思ったが、それも仕方ないかも…と。
とりあえず、まだ瞬くんが小さいうちは、抱っこ紐を使ったり、ベビーカーを使ったり出来る。
亮が電動自転車を買ってくれると言うし、大丈夫だ。
しばらくは、おんぶして乗ることができるし、座れるようになれば、座席に座らせることも出来る。
ただ、雨の日や大きな物や重い物を購入する時、
遠くまで出かける時は、やはり車が便利だと思っていた。
でも、1人で無理をするのはやめよう!と思った。
これからは、亮がお休みの日に一緒に出かけて、頼ろうと思った。
ただ…
これから、亮は休日にもイベント等があれば、顔を出さないといけない、と言っていた。
だから舞は、頼ってばかりいないで、1人でなんでも出来るようにならなきゃ!と思っていたのだ。
議員さんになる!と聞いて、
『まさか!亮が?』と思ったけど、
しっかり、勝ち取り、今は頑張っているから、
舞が思っていた、昔の亮とは、全く違うと思っているから…
心配性の亮は、昼休みになると、
『舞〜今日は、何してるの?』
『どこか買い物、行くの?』と、メールをくれるようになった。
でも、まだ知らない土地に来て、瞬くんの友達も居なくて、心細かったから、亮からの連絡は嬉しかったし、楽しみになっていた。
毎日、同じことの繰り返し…
亮の帰りを待っている。
『私…亮に依存してる』
舞は、そう思った。
舞は、毎日同じことの繰り返しで、
ゆっくり自分の時間を楽しむ余裕なんてない。
このままなら、ずっと亮に依存してしまう。
いや、もう、すでに依存している。
毎日、亮からの連絡を待ち、帰ってくるのを待ってしまっている。
久しぶりに友達の美樹に連絡してみよう。
美樹なら《《ママ》》の先輩だし…
『久しぶり〜美樹、元気?』
『舞〜久しぶり!元気だよ。もう生まれた?』
『うん、12月12日に男の子が生まれたよ。』
『そうなんだ〜おめでとう〜!ん?今はどこ?実家?』
『ううん、昨日、自宅に帰って来たの』と、
出産からのことを美樹に報告した。
『旦那さんの実家でお世話になるって大変だよね。舞、頑張ったね。』と…
『私もそう思ってたけど、お義母さん、すごく気さくな人だから、気を使わなくて済んだの。』
『へ〜舞、良かったね〜お姑さんに恵まれて…ウチは無理だわ』と美樹。
『そうなんだ…』
そして、事故を目撃したことや、それからというもの、亮に依存しているように思う!と、美樹に全てを話した。
『亮さんが優しいから…イイと思うよ。だって、もともと自立して働こう!と思ってたわけじゃないんだよね?議員さんになるから、支えて欲しい!って言われて仕事も辞めちゃったんだよね?』
『うん、そうだね。』
『なら、それは、依存と言うより、夫を支えていて、更に育児が加わったということだから、家族の為に頑張ってるし、亮さんも舞のために出来ることは、してくれてるから…お互いが支え合ってて、夫婦として素敵だと思うよ。私からしたら、羨ましいけどね〜』と…
『そっか…じゃあ、このままでいいのかなぁ?』
『うん、大丈夫だよ。どうしても、子どもが小さいうちは、子育てと家事の両立で必死だから、自分の時間なんてなかなか取れないし…』
『やっぱり、美樹もそうだったんだ。』
『うちなんて、更に旦那が土日休みじゃないから、子ども達は、寂しそうだなぁ〜と思う事もあるし、私だって…』
『そっかあ〜美樹、偉いね〜』
『偉くはないよ。その分、お休みの平日は、いっぱい頼ってるところがあるし…それぞれの形があってイイと思うの。子ども達が大きくなれば、どうなるのか?私にもまだ分からないけどね』
『そうだね。美樹と話せてラクになった。ありがとう。』
『時間に余裕が出来たら、一緒に出かけたり、子ども達を一緒に遊ばせたりしようよ』
『うん、嬉しいありがとうね。』
『舞の家庭は、そのままで大丈夫!亮さん、素敵だし…何かあったらいつでも連絡して』
『ありがとう』
すごく嬉しかった。
美樹と話せて良かった。自分1人なら、勝手にどんどん落ち込んでいたかもしれない。
少しずつ、親も子どもと一緒に成長していくんだね。
今日は、いつもと違った、明るい気持ちで、《《旦那様》》の帰りを待てるような気がする。
瞬くんが大きくなったら、一緒に出来ることを考えよう!もっと大きくなって、1人時間が出来たら、やってみたいことを見つけよう!
1人じゃない!そう思うと嬉しかった。
コメント
2件
子どもが小さいんだから無理しなくて良いんだよ✨子育ても家の事をする事も大事な事だもの❣️