テラーノベル
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雨は本降りになっていた。
「今、どこにいる?」
元貴から届いたメッセージ。
ただの一文なのに、全身の力が抜けそうになった。
(……行っていいのか?)
頭では理性が制止していた。
でも、身体が勝手に動いていた。
⸻
雨が髪と服を重くする。
車のヘッドライトが視界を白く照らす中、若井はただ足を動かした。
(彼女も、音楽も、今の俺には繋ぎ止められなかった)
(でも……元貴だけは、俺を拒まない)
そんな考えが、歩みを速めるたびに頭の中で強くなっていく。
元貴のマンションの前に着いた頃には、全身が雨に打たれてずぶ濡れになっていた。
震える手でインターホンを押すと、すぐにドアが開いた。
「……若井」
ドアの向こうで立っていた元貴は、落ち着いた声で言った。
「……どうした? ずぶ濡れじゃん」
「……彼女と、別れた」
若井の声は掠れていた。
「……そうか」
元貴は驚きもせず、ただ若井を抱き寄せた。
冷え切った身体が元貴の胸に触れた瞬間、若井の心の糸が切れた。
「……っ」
元貴の腕の中で嗚咽を漏らしながら、若井は崩れ落ちていた。
冷たい雨で濡れた体は震えているのに、元貴の手の温もりだけが熱くて離れたくなかった。
若井の背中を、ゆっくり撫でながら元貴が囁く。
「いいよ。……おいで」
その言葉に導かれるように、若井は元貴の部屋に足を踏み入れた。
湿った衣服のままベッドに押し倒される。
「元貴……」
見上げる若井の瞳が潤んで揺れる。
「俺、もう……頭ん中ぐちゃぐちゃで……」
「うん、わかるよ…お前だから、わかる」
元貴は若井の頬を両手で包み込み、そのまま唇を重ねた。
舌が触れた瞬間、若井の身体がビクリと震える。
「……っ、元貴……」
「大丈夫。俺がいる」
その一言が、若井の心を支配していく。
キスはすぐに深くなっていく。
元貴の舌が若井の唇を割り、口の奥へ侵入する。
元貴の指が濡れたシャツのボタンを外していく。
雨で冷え切った肌に触れられるたび、若井の喉から小さな吐息が漏れた。
「……っ、元貴……離れないで……」
「離れない。絶対に」
元貴はその言葉を噛みしめるように首筋に口づけを落とす。
跡が残るほど強く吸い上げられ、若井が声を押し殺した。
「や……声、出ちゃ……っ」
「いいんだよ、出して。俺の名前呼んで」
ズボンのファスナーを下ろされ、太腿に指が這う。
「っ……やば、元貴……っ」
若井が身体をのけぞらせた瞬間、元貴が深く囁いた。
「お前の一番奥まで、俺で満たしてやるよ」
その言葉が若井の理性を溶かした。
「……欲しい、……全部……っ」
濡れた衣服を脱ぎ捨て、二人の身体が直接重なった。
熱が混ざり合い、若井が喉を震わせる。
「……っ、んん……元貴、あ……そこ……っ!」
「ここがいいんだろ? お前、ここが一番弱いよな」
腰を深く打ちつけられるたび、若井は背中を反らせて声を漏らす。
「は、ぁ……だめ、っ……もう、壊れそう……っ」
「壊れていい。…俺だけで壊れて」
元貴は若井の耳元で囁き続けた。
「俺が必要なんだろ?……もっと、俺だけを見て……お前が欲しい……っ」
「……あっ、んっ……っ、俺、も…元貴が、欲しい…………っ」
限界が近い若井の声が震える。
元貴は彼の頬を撫でながら、さらに深く腰を沈めた。
「……若井、もう……一緒に……っ」
「い……っ、元貴と……っ、一緒に……!」
「……っ、んああああっ……!」
二人の声が重なり、全てが一気に溢れ出した。
若井の身体が大きく震え、元貴の名を呼びながら果てていく。
元貴も彼の中で深く達し、若井の肩を強く抱き寄せた。
⸻
若井はシーツの上で静かに息を整えながら、元貴の腕に抱かれていた。
身体中がまだ熱いのに、不思議と心は静かだった。
「……元貴」
「ん?」
「……俺、全部失ったかもしれない」
そう言うと、元貴は若井の顎を掴み、視線を合わせた。
「いいんだよ。お前には、俺がいるだろ?」
その瞳には、底知れない光が宿っていた。
⸻
若井は気づかない。
週刊誌に情報を流したのが、他ならぬこの腕の中の男だったことを。
自分を手元に戻すためなら、どんな手も選ばない。
依存しているのは若井ではない。
——元貴の方だ。
⸻
「……おかえり、若井」
元貴は抱きしめたまま、寝息を立て始めた若井の耳元に小さく囁いた。
「……お前は、全部俺のものだよ。誰にも渡さない」
雨音が窓を叩く音が、その言葉を覆い隠した。
END
コメント
2件
全体的に若井の方かなと思ったけど違かった...次の物語は何かな(´-`).。oO