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……ご、ぽ……っ
……ごぽ、っ
……水の中にいるみたいな感覚。
息苦しくて閉じている目を開ける。
そこには、ボロボロになったオールマイト。
………………っ。
オールマイトが、俺に向かって指を、指す。
「君の、せいだ」
その瞬間、見知った顔が周りに一人、二人……と出てくる。
「お前が居たから。」
「お前が、捕まったから。」
「さっさと消えろよ。」
「こんな無能、いらない。」
・ ・ ・
「……………………っっっ!!!」
ベッドから飛び起きる。
夢、だったみたいだ。
夢だったとしても、内容ははっきりと覚えている。
「……っ、ごめ、なさい……っごめん、なさい……」
謝ることしか出来なかった。
謝って、何かが変わる訳でもない。
オールマイトの怪我が、治る訳でもない。
それでも、謝ることは辞められなかった。
ずっとずっと、謝ることだけは、辞められなかった。
「バクゴー、!一緒に帰ろうぜ!」
「あ゛?今日はひとりで帰れ」
クソ髪が話しかけてくる。
でもなんとなく嫌で、断った。いつもなら、あまり気にしていなかったのに。
「なんか用事があるのか?わかった!」
今日は特に用事なんてない。でも、断ったからには何か時間を潰すしか無かった。
……勉強、するか…………
シャッシャッシャッ……
静かな教室にペンの音だけが響く。
勉強している時は、何も考えなくて済む。
ピリッ
「…………っ?」
少しの痛み。なんだと思って見ると、親指の爪の横の皮が剥がれ、血が少し垂れていた。
小さい頃からの、悪い癖。
あんまり気にすることも無いだろうと、勉強を再開した。
どのぐらい勉強しているか、とか。
今何時か、とか。
気にすることなくただただペンを走らせる。
「…………っ」
駄目だ。余計なことを考えるな。
何も、できなくなる。
がり、がり、っ……
無意識に皮を剥く手が早まっていく。
「爆豪。駄目だよ。」
左手が、ぱっと包まれる。
ハッとして左手の方を見ると、血だらけの手を包む誰かの手があった。
「!あぃざわ、せんせ……」
「とりあえず消毒するから。ちょっと来い。」
「……っ、は、い……」
自分のこの状態を見て、先生は何を思うのだろう。
失望、されるだろうか。
夢のように、お前のせいでと。もういらないと。突き放されるのだろうか。
そんなことをぐるぐる考えていると、俺の手を引いている先生にノイズが走った。
ザザ、ッ
くるっ、と先生が振り返る。
その目には、怒り、失望、諦め、悲しみ……ありとあらゆる負の感情が込められているように見えて。
先生が、口を開く。
「お前のせいだ」
「お前さえいなければ」
「お前の為に頭なんか下げなければよかった」
「助けたことを後悔しているよ」
「もうお前は、いらない。」
「…………っ、!!!」
ドンッ、
思わず先生を突き飛ばす。
「っ、やだ……!来な、い、で……っ!!」
顔を見るのが怖くて、俯く。
がくん、と体から力が抜けて、その場に崩れ落ちる。
もう、何も聞きたくなくて耳を塞ぐ。
先生が近づいてくる。怖い、怖い、怖、い……っ
「……っは、っひゅー、」
「ゲホ、ッか、ひゅっ……くる、し……っ」
息が上手く吸えなくなる。駄目、だ……
トンッ、
「あ、ぇ……っ?」
首に少しの衝撃を感じる。意識が暗転していく。
………………………………
相澤side👀🥽
もうとっくに下校の時間は過ぎていた。
でも一応見回りをして、自分の受け持ちのクラスの中を見た時、見慣れた生徒がいた。
爆豪は勉強をしているみたいだったから、そっと近づく。
顔を覗き込脳として少し、ドキッとした。
ただ勉強をしているだけだと思っていたが、その顔があまりにも苦しそうで。
それに、爪の横の皮をガリガリと剥いていて血が垂れていた。
(これは、まずいな……)
そっと手を包み、話しかける。
「爆豪、駄目だよ。」
爆豪は今になってようやく俺に気がついたみたいだった。
「!あぃざわ、せんせ……」
「とりあえず消毒するから。ちょっと来い。」
「……っ、は、い……」
また、やってしまうかもしれないからと手を包んだまま歩き出す。
そして、少し歩いた時そっと爆豪の方を見た。
その時爆豪は俯いていて、冷や汗が顎から垂れていた。
1度話しかけようと爆豪の方に体を向ける。
そして口を開こうとすると
ドンッ、
爆豪に、突き飛ばされた。
急な拒絶に、少し驚きながらも爆豪の方を見る。
「っ、やだ……!来な、い、で……っ!!」
足元から崩れ落ちる。
いつもキラキラと輝いているルビーの目はくすんで、ぽろぽろと涙を零していた。
驚きと、どうしたらいいのか、という思うから固まってしまう。
「……っは、っひゅー、」
「ゲホ、ッか、ひゅっ……くる、し……っ」
過呼吸になっている。
こうなったら今更声をかけても何も聞こえないだろう。
「……ごめんな、」
トン、と首に手刀を落とす。
「あ、ぇ……っ?」
そのまま、爆豪は意識を失った。
少し安心して、力が抜ける。
「早く、保健室……っ」
急がなければと爆豪を運んだ。
爆豪side💥💣
……ごぽ……っ
嗚呼、まただ。
水の中みたいな、息苦しい感じ。
目を開ける。
そこには、相澤先生がいた。
あの、意識を失う前に見た、先生。
負の感情を俺に向けてきて、嫌な言葉を投げかける。
「……っ!…………!!!」
必死に耳を塞いでも止まることはない。
(逃げないと、今、逃げないと、っ壊、れる……っ!)
(駄目になる、っ)
走っても、走っても、走っても、走っても。
ずっといなくなってくれなくて。
近づいてきた先生に、首を絞められる。
「…………っ!、う、゛〜、!」
「……はな、して……!!っ」
じたばたもがいてもずっと苦しいまま
先生のてはゆるまない
……ぁ、…………っ、
もうダメだ、そう思った時。
──────う!
─────ば────う!!
「………………!!」
何処からか声が聞こえる。
俺を呼ぶ、声。
……………
はっ、と目を覚ます。
「!っは、は、!っは…………っ」
「ここ、は………」
「爆豪、起きたか。」
先生が、傍にいる。
怖い、怖、い、…………っ
「爆豪?」
怖くて、自分の体をぎゅっと抱きしめる。
先生は俺の怖いっていう感情に気がついたのかそっと頭を撫でて、抱きしめる。
「爆豪、大丈夫だ。」
「此処にはお前を否定するものも、何もいない。」
「だから安心して、大丈夫だ。」
とくんとくん、って先生の心臓の音が聞こえる。
そこでようやく、俺は安心できる場所を見つけた。
怖くて怖くてどうしようもなかったし
俺には何も出来なかったけれど
これからは大丈夫だ、そう思えた。
「先生いくらでも話を聞くから。」
「一人で抱え込まないで良い。」
「俺は爆豪の味方だから。」
「だから」
「だから、今は」
「ゆっくりおやすみ。」