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初音ライダー剣

第16話

“非戦”

BOARDの宿舎の前に、民族風の衣装を着た1人の男が現れた。

男「ここか。」

男は「BOARD」の看板を見るなり、そのまま宿舎の中に入っていった。

男「失礼。」

男はBOARDの宿舎に入ると、迎えに出たミクとウタを見て、まずは軽く挨拶をする。

ミク「あの、どなたですか?」

嶋「私は嶋昇。キヨテル支部長に呼ばれてここに来たんだ。支部長はどこかな?」

ミクは怪訝そうな感じで民族風の男・嶋を見る。嶋はキヨテルに呼ばれたと言って、話を進める。

ウタ「チーフでしたら、奥にいます。」

ウタも嶋について勘繰るが、キヨテルに呼ばれたというので、とりあえずはキヨテルに会わせてみようとする。その直後に、キヨテルが奥から出てきた。

キヨテル「どうかしましたか?」

嶋「おお、キヨテル君!」

嶋はキヨテルを見て、笑顔で声をかけ、彼の前に行く。

キヨテル「ああ、嶋さんですか!」

嶋「久しぶり。元気そうで何よりだよ。」

2人は手を取り合って握手を交わした。

ミク「チーフ。誰ですか、この人。」

ミクとウタはキヨテルに嶋のことを問う。

キヨテル「彼は嶋昇。私がここの支部長になる以前、世話になった方ですよ。」

嶋「そういうことだ。確か、君がブレイドだったね。初音未来君。」

嶋は軽く挨拶した後、ミクを見遣り、彼女にブレイドであることを問う。

ミク「え!?し、知ってるんですか?」

嶋「キヨテル支部長から聞いてるよ。そんなに慌てることはないだろう?」

ミクは少し動揺するが、嶋は優しく諭して、ミクの緊張を少し和らげる。

嶋「今日からここで厄介になるが、よろしく頼むよ。」

ミク「はい。よろしくお願いします。初音未来です。」

嶋はミクとも握手を交わした。その後にウタとも挨拶と握手を交わす。その後、MEIKOとリンがトレーニングを終えて、BOARDの宿舎に戻ってきた。

MEIKO「ただいま。」 リン「ただいま。」

嶋「お、帰ってきたか。」

嶋はMEIKOとリンにも声をかける。

MEIKO「へ?誰?」

キヨテル「私の恩人の嶋さんです。」

MEIKO「恩人?」

嶋「そういうことだ。よろしく頼むよ、咲音鳴子君。」

MEIKO「あ、はい。」

キヨテルは嶋について簡潔に説明すると、嶋はMEIKOとも握手を交わす。その様子をリンはしかめっ面で見ていた。

リン「…」

嶋「ん?」

嶋はリンの視線に気づくと、彼女に近づく。

嶋「はじめまして、だな。鏡音鈴君。君のことも聞いてるよ。」

リン「へ?」

嶋「新人で年少ながら、ライダーとして頑張ってるそうじゃないか。大したもんだ。」

リン「…」

嶋の言葉を聞いて、リンは少し気持ちが緩和された感じがした。

翌日、嶋は宿舎の外にミク、MEIKO、リンの3人を呼び、話を持ち掛ける。その隣にウタとモモも座っている。

嶋「さて、君たちを呼んだのは他でもない。これまでの戦いを通して、今後の戦いについて、思っていることを聞かせてもらいたいんだ。」

MEIKO「…思ってること、ですか?」

嶋「例えば、君たちが戦う理由についてだ。考えたことはないかな?」

嶋は彼女らに戦いについて思っていることを問う。

ミク「それが使命だからです。ライダーに選ばれた私たちの。」

ミクは迷いなく答える。だが、嶋はその答えに少し微妙な気分になった。

嶋「…MEIKO君とリン君もそうなのかな?」

MEIKO「はい。」

リン「…同じく。」

MEIKOとリンもミクと同じ答えを出す。嶋はそれを聞いて、微妙を通り越して呆れたような感じがした。

嶋「…本当にそれでいいのかな?」

ミク「へ?」

嶋「もっと考えたことはないか?君たちの考える使命感はどこから来るのか、その使命感でどこまでやれるのか、それで強くなれるのか、とかね。」

嶋はミク、MEIKO、リンに使命感について問う。彼女らは戦う理由や使命感について、あまり深く考えたことはなかった。そのため、ここにきて3人は改めて、戦う理由を自分たちでそれぞれ思案し出した。そんな3人の後ろから、1人の視線を感じた。巡音ルカだ。

ルカ「…妙なヤツと一緒にいるな。」

嶋「ん?」

ルカは嶋を「妙なヤツ」と言う。嶋はルカの視線に気付き、席を立つ。

ルカ「どういうつもりだ?カテゴリーK(キング)。」

ミク「へ?」

MEIKO「カテゴリーK?」

嶋「ああ、君が巡音流歌君か。」

ルカは嶋を「カテゴリーK」と呼ぶ。ミクたちは驚くが、嶋は平常心を保ち、ルカに近寄る。

嶋「見ての通り、彼女らと話をしていたところだ。君も混じるか?」

ルカ「…くだらん。」

嶋はルカを自分たちのコミュニティに誘う。だが、ルカはそれを一蹴し、♥Aのカードを取り出す。

ルカ「変身!」

「CHANGE」

ルカは♥Aのカードをカリスラウザーにラウズし、カリスへと変身する。そして、カリスアローを振るい、嶋に襲いかかろうとする。

嶋「やれやれ…」

嶋は呆れた様子で正体・タランチュラアンデッドへと変身し、襲いかかってくるカリス目掛けて左腕から蜘蛛の糸を出す。

ルカ「ッ!?」

タランチュラアンデッドは蜘蛛の糸でカリスを絡め捕り、そのまま近くの川に投げ落としてしまう。その後、人間態に戻った嶋だが、周囲の敵意剥き出しの視線に気付いた。

嶋「どうしたのかな、皆?」

リン「どうもこうもないっしょ!」

ミク「…あなた、アンデッドだったんだ!」

嶋「よそう。私は戦うのは好きじゃないんだ。」

ミク、リン、MEIKOはバックルを取り出して応戦体制を取る。その後ろでウタとモモが握り拳を作って身構えている。だが、嶋は戦いに乗り気でない。

MEIKO「何が目的なの?親切面して近づいてきて…」

嶋「何もないさ。君たちを騙すつもりも、戦うつもりも、ね。」

嶋はあくまで戦わないことを訴える。そんな中、ミクたちの背後からキヨテルが来た。

キヨテル「どうかしましたか?」

MEIKO「チーフ、知ってたんですか?この人がアンデッドだって…」

MEIKOはキヨテルに嶋がアンデッドであることについて問う。

キヨテル「当然、知っていますよ。」

ウタ「え…?」

キヨテル「大丈夫ですよ。彼は信用できる人物です。私の恩人というのも嘘ではありません。」

キヨテルは嶋の正体を知っている。その上で、彼の滞在を許可した。そして、ミクたちライダーとも引き合わせた。

キヨテル「それより、サーチャーに反応がありました。場所は郊外のスタジアムです。3人とも出撃してください。」

キヨテルはライダーたちに出撃を促す。

リン「OK!」 MEIKO「了解!」

リンとMEIKOは勇んでバイクに跨り、出撃する。ミクも出撃しようとブルースペイダーの方へ向かうが、その前に嶋に呼び止められる。

嶋「ミク君。」

ミク「何ですか?」

嶋「よく考えてみたまえ。使命や義務という考えで強くなれるのかどうか。自分を駆り立てるものは何か。」

嶋は戦いを「使命」だと考えるミクに忠告する。

ミク「…」

ミクは無言で頷いた後、ブルースペイダーに跨り、ヘルメットを被って走り出す。

リンとMEIKOはミクより先にバイクに乗り、アンデッドが出現したというスタジアムの方へ向かった。

MEIKO「リン、飛ばし過ぎよ!」

リン「ふん!」

MEIKOは猛スピードでグリンクローバーを飛ばすリンに注意する。だが、リンはそれを聞くどころか、さらに走行速度を上げて突っ走る。

リン「あのアンデッド、今度こそ封印してやる!」

リンは以前逃げられたエレファントアンデッドの打倒に執念を燃やしながら懐からレンゲルバックルを取り出し、腰に装着する。

リン「変身!」

「OPEN UP」

リンはグリンクローバーごとスピリチアエレメントを潜ってレンゲルへと変身する。そして、MEIKOを引き離して先に戦場へ急行する。その直後、ミクがMEIKOに合流した。

ミク「リンちゃん、どうしたの?」

MEIKO「またカテゴリーAの邪気が浸透してきたのかもね。行くわよ!」

MEIKOはミクに声をかけ、ギャレンバックルを取り出す。ミクもまた、ブレイバックルを取り出して腰に装着した。

MEIKO「変身!」 ミク「変身!」

「TURN UP」 「TURN UP」

2人はバイクに乗ったまま叫び、バックルを回転させる。MEIKOはギャレンに、ミクはブレイドに変身し、リン/レンゲルの後を追って現場へ急行する。

スタジアムの客席ではエレファントアンデッドが無計画に暴れていた。本来、面倒臭がりなエレファントアンデッドだが、今回はアンデッド本来の闘争本能からか、やたらと気が立っていた。そのため、所かまわず暴れたくなっていた。エレファントアンデッドは手に持った金槌を振り回したり、鉄球を投げたりして周囲を破壊し、スタジアムにいた人々を脅かしていた。その最中、急行してきたレンゲルがグリンクローバーごとスタジアムの客席に入り、エレファントアンデッドに突っ込んでいった。エレファントアンデッドはこれを軽く体を反らして回避する。

リン「お前…今度は逃がさないからな!」

大地「ふん、いつぞやの雑魚か。」

レンゲルはグリンクローバーから降りてレンゲルラウザーを構え、エレファントアンデッドに挑みかかる。エレファントアンデッドはレンゲルの一撃を金槌で受け止める。レンゲルは怯まずにレンゲルラウザーを振るってエレファントアンデッドを攻撃する。エレファントアンデッドはこれを軽く受け流していき、レンゲルの攻撃の合間を縫ってレンゲルの懐に金槌で一撃を入れる。

リン「く…」

MEIKO「リン!」

レンゲルは急所に一撃をくらって怯む。その直後、ギャレンとブレイドが駆け付け、それぞれがレンゲルの左右についた。

ミク「リンちゃん、無理しちゃダメだよ。」

リン「うるさい!」

ブレイドは血気に逸るレンゲルに忠告する。しかし、レンゲルは聞き入れずに再び立ち上がってエレファントアンデッドに挑みかかる。しかし、エレファントアンデッドは金槌でレンゲルを軽く一蹴し退ける。

大地「生憎、今日は機嫌が悪い…まとめて打ちのめしてやる!」

エレファントアンデッドは鉄球と金槌を携えてブレイドとギャレンに襲いかかる。エレファントアンデッドはまず左腕で金槌を振るってブレイドを攻撃する。ブレイドはこれをブレイラウザーで受け止めようとするが、エレファントアンデッドのパワーに押されてしまう。エレファントアンデッドはそうやってパワーで押したブレイドの腹に左足で蹴りを入れる。

ミク「かッ!」

ブレイドは鳩尾に蹴りを喰らってよろける。その後はギャレンが単独でエレファントアンデッドに挑む。ギャレンはエレファントアンデッドに接近戦を仕掛けてパンチを繰り出しつつ、至近距離でギャレンラウザーを連射すべく隙を伺っていた。しかし、エレファントアンデッドは金槌でギャレンに一撃を入れる。よろけたギャレンはギャレンラウザーを取り、エレファントアンデッドを撃つが、エレファントアンデッドは鉄球を振り回して銃撃を防ぐ。そして、エレファントアンデッドはギャレン目掛けて鉄球を投げる。

MEIKO「ぐっ!」

ギャレンは鉄球を正面から受けて膝をつく。エレファントアンデッドはそこからギャレンを追撃するが、体制を立て直したレンゲルがレンゲルラウザーをかざして割って入る。

ミク「…」

ブレイドは膝をついて思案していた。ブレイド=ミクの頭の中からは嶋の言葉が離れなかった。「使命や義務で人は強くなれるか」、その言葉について考えていた。

ミク(使命…義務…それじゃダメだって言うの…?)

ブレイドは戦う理由は使命や義務ではダメなのか、と考えた。そんな中、ブレイドの後ろから子供の泣き声が聞こえた。ブレイドはすぐに泣き声がした方へ急行する。スタジアムの影では、逃げ遅れた小さな子供が隠れて泣いていた。

ミク「大丈夫?こっちが出口だから逃げて。」

子供「う…うん…」

ブレイドは子供を非常口から逃がすと、エレファントアンデッドの方へ向き直った。その時、ブレイド=ミクの頭の中にあることが浮かんだ。先の子供を助けたことだ。そうだ。人を守りたい。人を助けたい。その気持ちだ。それが自分を動かしている。だから戦える。たとえどんな強敵が相手でも、人を守るためなら戦える。

ミク「…そうだ!私が戦う理由…人を守りたいから!人が好きだから!」

ミク/ブレイドは確信した。人を守りたいという明確な「想い」。その気持ちが自分にあることが分かった。そのことが分かったブレイドは再びブレイラウザーを手に取り、エレファントアンデッドに斬りかかる。

ミク「でやああッ!」

ブレイドはエレファントアンデッドを正面から斬りつける。エレファントアンデッドはギャレンとレンゲルを退け、金槌をかざしてブレイドの一撃を防ごうとするが、強い「想い」のこもった一撃はエレファントアンデッドの防御を打ち破り、強烈な一撃を叩き込んだ。

大地「ぐッ…」

エレファントアンデッドは大きくよろけ、金槌と鉄球を手放してしまう。

ミク「リンちゃん、合わせて!」

リン「…!」

これを好機とみたブレイドとレンゲルはそれぞれ5と6のカードを取り出し、それぞれのラウザーでラウズする。

「KICK」 「BITE」

「THUNDER」 「BLIZZARD」

「LIGHTNING BLAST」 「BLIZZARD CRUSH」

ブレイドとレンゲルにカードの絵柄がオーバーラップされる。

ミク「だあああああッ!」 リン「でええええいッ!」

2人は高く跳び上がり、ブレイドは電撃のエネルギーを右足に纏ってライダーキックを、レンゲルは冷気のエネルギーを足に纏ってクロスキックを繰り出す。

大地「ぐあああッ!」

エレファントアンデッドは2人のライダーのキックを同時に受けて大ダメージを負い、蹴り飛ばされてその場に倒れ伏し、アンデッドクレストを開いた。レンゲルはそこにブランクのラウズカードを投げ入れ、エレファントアンデッドを封印する。

BOARDの宿舎に戻った3人を最初に出迎えたのは嶋だった。

嶋「何か、掴んだみたいだな。」

嶋はミクの顔を見て嬉しそうに微笑した。

ミク「はい、ありがとうございます。」

ミクは嶋に礼を言う。その瞳は今までより澄んだ感じがした。その様子を横から見ていたリンの脳裏にもう1人の人格・レンの声がよぎる。

リン「ケッ!調子付きやがって!」

MEIKO「ん?」

リン「っ!?」

リンは思わずその言葉を口に出した。周囲の視線がリンに集まる。リンは慌てて口を塞ぐ。

嶋「…」

その様子にいち早く気付いた嶋はリンを見遣った。


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