テラーノベル
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(場所:休日、どちらかの家のリビング)
fkr「愛してるよ、trsk。本当に、君とこうして過ごす時間が世界で一番好きだ。大好きだよ」
福良さんは、ソファーの端に座ったまま、真っ直ぐに僕を見てそう言った。 嘘偽りのない、心からの言葉だということはよくわかる。でも、福良さんは愛の言葉を贈ることに一生懸命で、自分の体をどこに置けばいいのか、いつも迷っているように見える。
trsk『……うん、僕も。……でもさ、福良さん。言葉はもうたっぷりもらったから、次はこれ、試してみない?』
僕は自分の膝の上を、ぽんぽん、と軽く叩いた。
fkr『……膝? ああ、そこに座る……のは、物理的に無理があるよね』
trsk『あはは、そうじゃなくて。……福良さんって、言葉で伝えるのはすごく上手だけど、自分からくっつくの、本当は苦手でしょ?』
図星だったのか、福良さんは「……苦手、というか。どう動くのが自然なのか、よくわからないんだよね」と、少しだけ視線を泳がせた。
頭で考えすぎてしまう彼にとって、「ただ甘える」という感覚的な動作は、どんなパズルよりも難しいらしい。
trsk『いいんだよ、難しく考えなくて。……はい、おいで』
僕は福良さんの手を取って、ゆっくり自分の方へ引き寄せた。 福良さんは一瞬、おっと、とバランスを崩したけれど、そのまま僕の腕の中に収まると、借りてきた猫のようにじっと固まった。
fkr『……これで、合ってる? trsk、苦しくない?』
trsk『合ってるよ。全然苦しくない。……むしろ、もっと体重預けてほしいくらい』
僕は福良さんの背中に腕を回して、優しくトントン、とリズムを刻んだ。 福良さんは、まだ少し緊張しているみたいに背筋を伸ばしていたけれど、僕の体温が伝わるにつれて、ようやく「……ふぅ」と小さく息を吐いた。
fkr『……言葉で「大好き」って言うのは簡単なんだけど。……こうして、誰かの熱に触れるのは……どうしていいか、わからなくなる』
trsk『言葉もいいけどさ。……こうしてる方が福良さんの「大好き」が、心臓の音と一緒に伝わってきて、僕は嬉しいよ』
僕は福良さんの頭を、自分の肩にそっと乗せた。 福良さんは、戸惑いながらも僕の服の裾をぎゅっと握りしめて、そのまま顔を埋める。言葉での告白よりも、ずっと素直で、ずっと雄弁な甘え方。
fkr『…………。……練習、しなきゃな。もっと、自然にこうできるようになりたい』
trsk『あはは。いいよ、僕が何度でも付き合ってあげる。……ほら、もっと力抜いて。次は僕が福良さんを抱っこする練習、してみる?』
fkr『……っ、それは、いいよ! ……もう、trskはすぐそうやって……』
少し赤くなって僕を小突く福良さん。 でも、その手は僕の服を掴んだまま離れようとしなくて。 言葉を介さない「甘え」の心地よさを、福良さんが少しずつ見つけていくのを、僕は隣でゆっくり見守っていたいと思った。
(おわり)