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夜の探偵社。窓からは綺麗な月が見えていた。
「……ん、そろそろ帰ろうかな」
敦が椅子から立ち上がった瞬間、ふわりと後ろから腕が伸びてきた。
「おやおや、敦くん、私を置いて帰るつもり?」
「だ、太宰さん……?」
太宰は敦の肩に顎を乗せ、まるで子どものように甘える。
「ねぇ、敦くん、もっと私に構ってよ」
「えぇ……仕事中はずっと一緒にいたじゃないですか」
「それとこれとは別問題」
太宰は敦の頬にそっと手を添えて、まっすぐに覗き込んだ。
「ねぇ、敦くん。私はずっと、君が可愛くて仕方ないんだよ?」
「か、可愛いって……!?」
耳まで真っ赤になった敦が視線を逸らすと、太宰はその反応を見てさらに満足そうに微笑む。
「君はね、私にとって特別なの」
「……特別、ですか?」
「そう。私の世界で、敦くん以上に大切な存在はいないんだから」
太宰の言葉は、からかいの色を含んでいるようで、どこか本気にも聞こえた。
「……もう、ずるいです……」
「敦くんが可愛いのが悪いんだよ?」
太宰はくすくすと笑いながら、敦の髪を優しく撫でる。
「さ、もう少しだけ、私のわがままに付き合ってくれる?」
「……わかりましたよ、もう……」
敦は小さくため息をつきながらも、そっと太宰の腕の中に収まるのだった。