なんで呼ばれてしまったんだろう、そんな事を考えながら呼び出された生徒相談室に向かう。
生徒相談室のドアに手をかけると鍵がかかってる。先生が来るのを待ちながら自分が呼ばれた理由や心当たりを探るが、何も出てこない。
唯一あるとすれば家の事。シングルマザー。さほど珍しいことではない。でも、子供が別れた訳を知らないことは珍しいのではないだろうか。私には、そこら辺の珍しさ意識がない。
色々なことをネチネチネチネチ考えていると
ガタッ「ヤベ」
と大きな物を落としたような音がなったと同時に微かにやばいっていったような声が聞こえた。伊達に優等生やってない!と思いながら近寄り声を掛ける。
「大丈夫ですか?」ニコ
「何が、大丈夫ですか?だよ」(重要人物よ!)
「えっ?」
「ニコニコしてればいい人だと思ってるから親も別れるし〇〇なんだよ!」
「はっ?」
「あんたは忘れてるかも知んないけどな、俺は一生忘れてないからな」
「ハッ、グッすみません、失礼します!」
どこか見覚えのある顔に苛立ちが隠せず、あんたは私の何を知ってるんだよ!そう思いながらも急いでその場から立ち去った。
走ったからかさっきの言われたことが心に刺さったのかは分からない。あり得ないくらい息が荒い。息がしづらい。
「ハッ、ハッコホッ」
パニックになっているのか、息の仕方がわからなくなる。こんなことになったのは初めてだ。誰にも助けを求めることができない自分が嫌になる。
「ハッコホコホヒュカヒュハーヒュはーはー」
息が落ち着いた。でも、自分の気持ちはそう簡単にコントロールできるものではない。
自分の気持ちはコントロールしようとすればするほど、色んな場所に散らばっていく。
そんな、ポエムのようなことを考え気持ちを落ち着かせようとしていると桜田先生が来た。
「如月さん、どうかしました?」
「ッなんでもありません。なんの御用でしょう」
「あー、そうそう 」
「とりあえず、相談室の鍵開けときましたから入っておいてもらっていいですか?プリントと鉛筆を机の上においてあるのでそれに回答しておいてください。」
「はい?わかりました。私何かしましたでしょうか?」
「それも含めてお話させていただきます」
「?はい 」
生徒相談室に入り、プリントにざっと目を通す。それはプライベートなことばかりで、本当に答える必要のあるものなのか目を疑うほどだった。私は答えたくないものを飛ばし飛ばし答え、先生が来るのを待つ。
「おまたせしました。遅くなってごめんなさいね」
内心ほんとだよ、と思いながらも優等生になりながら笑顔で答えなくてはならない
「いえ、お時間いただきありがとうございます」
「それでアンケート、答えてもらえた?」
「あまり、答えたくないことでしたり、答える必要のないとみなしたものには回答を控えさせていただきました。」
「、そう」
「では、本題に入らせてもらうわね」
「はい」
どんな言葉を言われるかは本当に想像がつかない。だからこそ、恐怖心が大きい。
「えっと、菜々香さん最近長くお休みしてたでしょ?」
「はい、私達は体調不良と伺っております」
「それが、いわゆる登校しぶりってやつかしら?学校に行きたくないって聞かないらしいの。そこで、菜々香さんと仲の良い如月さんだったらどうにかしてくれるんじゃないかって」
私は担任から発されているとは思えない無責任な言葉に絶句した。話している内容から、菜々香が話してくれなかったこともショックだけど、担任が生徒にここまで責任の重いことを頼もうとしている神経を疑う。
「ッ!先生、お言葉ですが失礼します!詳しくはまだ聞いていないので分かりませんが、そのことを私に話すことは菜々香は許可していますか?あと、菜々香本人が行きたくないって言ってるならいいじゃないですか? 」
「でも、学校はこなくてはいけない場所よ?」
「義務教育は小中と終了しています。高校に来るかこないかは菜々香個人の選択です。そこまで深くかかわらなくてよいかと存じます。」
「ッ、、、でも!」
なん何だこいつ、何の考えも持たず他人に責任を押し付け、人にばかり頼る。イライラしながらも私は最後の一言を放つ
「考えがまとまり次第、またお話をお願いします。ほかに用件はございませんでしょうか?」
「、そうね、家庭のことですけど、親がr」
「っよ、うじを思い出しました。今日は失礼させていただきます。」
先生と生徒という関係でここまで深く話す必要はあるのか?と考えながら相談室を出ようとすると目の前には菜々香。
「菜々香!一緒帰る?」
「紗奈はさ、私が学校に来ようと来ないとどうでもいいと思ってるんだ、」
「え?菜々香?」
「ごめん、聞いてたんだ。紗奈の言ってることは一切変わりがない。嘘偽りのない言葉だよ?」
「っうん!そうだよ!菜々香が来たくなければこなくても、」
「そうだよね、誰も私を必要としてないんだ」
「違う!そうじゃなくて!」
菜々香、言葉の受け方が、いつもと違う。何か勘違いしてる!泣きそうになりながらも一生懸命説得しようとしたが、それはすべて水の泡になる。
「ごめんッ紗奈ポロポロ今日は一人で帰るわ」
「待って、!」
タッタッタッタ
私にはその後ろ姿を見ていることしかできなかった
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