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新学期
年も明けて随分あったかくなってきた。春の暖かい風が肌に心地よかった。
こさめは、四月に入ると痣が顔にまで広がったので、さすがに隠せない、と言って学校を休んでいる。
「はぁぁ」
自然とため息がこぼれる。こさめが隣にいないと体の半分を失ったようだった。
こさめは俺の半身で、片割れで、運命共同体だった。
「なつ?、、またこさめのこと考えてたでしょ?」「えっ?あっ?ごめん、、」
「まあ、なっちゃんとこさめちゃんは双子みたいなもんだからねぇ。」
「そう、、あいつは俺の片割れだ。」「今日、授業終わったらこさめん家行こうぜ」
「こさめちゃん、退屈にしてるだろうな~」「それな!こさめんち、げーむねぇし」
「こさめのお母さん、厳しかったもんね~」「おう!行く!」
みんな、本当にやさしい。みんなもつらいはずなのに。俺のことまで気にかけてくれる。
はやく、こさめに会いたいな。そう思いながら校門をくぐった。
~~~~
こさめの家に行くとこさめは窓辺で遠くを見つめていた。
「こーさーめっ!」「うわぁぁ!?いるまくん!?ってみんな!?」
「おいっす~!」「来ちゃった~」「こさめちゃん~!!」
こさめの体は痛々しかった。まるで花に命を喰われてるみたいだった。まあ、あながちまちがいじゃないけど。
とうの本人は最初は死を受け入れ、逆にうれしく思っているように見えた。
でも今は違う。死にたくないと、本気で思ってる。俺にはわかる。
そう思っているのがうれしいと同時に現実をたたきつけていてむなしかった。
結局その日はこさめん家に泊まることになった。
夜通し遊んだ。でも、十二時を過ぎるとみんな疲れ果てて寝てしまった。こさめの寝顔をみる。
なんともやすらかで、死んでいるようだった。慌てて心臓の音を確認するとちゃんと動いていた。
自分の行動に驚きバッと顔を離すとこさめが寝ぼけていたのかなんなのか
「こさめは、生きてるよ?」
そういった。俺はなかなか眠れなかった。
~~~~~
なかなか時間が合わず、結局近所の川まで行って夜桜を見ることになった。
「花見だぁぁぁ!!」「らんらんおっきい声出さないで!」「ほれ、団子」「やったぁ!」
「うまっ」「早速食ってるし」「はい、ジュース!」
男六人で花見なんて、しかも夜に。犬の散歩してる人には変な目で見られたけど、めちゃくちゃ楽しい。
「夜桜、きれいだね」「来年も見たかったなぁ」「、、そうだね」「あっ!ごめん、、」
「いいんだよ。みんないちいち反応すんなって。こさめが困んだろ?」「そやね。」「うん!」
「人生最後の花見なんだから、団子いっぱい食え。あと、桜、目に焼き付けとけよ」
「ふふっ、うん!なっちゃんのそれ、頂戴?」「ん」
あんなこと言ったけど俺が一番反応しちまってんだよな。本当は。
夜桜はとてもきれいだった。散ってく桜とこさめを見比べる。
こさめもこうやって散ってくのか。そう思うとやりきれなかった。
「なあに?」「いや、きれいだな~って」「なにそれ!(笑)」
「こさめはさ、死ぬこと後悔してる?」
こさめは面食らったような表情をした。そして考え込むようにしてから顔を上げて
今にも泣きそうな笑顔で言った。
「ううん、してないよ」
うそつき。こさめは嘘つくのが下手だ。なんで嘘つくんだよ。本当のこと言えよ。そんな気持ちはぐっとこらえた。
もう一度桜に向き直る。さっきのこさめの笑顔は夜桜よりきれいだった。
「ねえ、みんなで散歩しよう?」「いいね!」「せっかくだしな」
「手、つなご?」「男六人で?(笑)」「いいんじゃない?」「こさめちゃんのお願いだもんね!」
男六人で、ましてや高校生の男六人で手をつないだ。その手はあったかくて、心地よくて、切なかった。
俺はこさめが死ぬことが悲しいし後悔してる。唯一の片割れをなくしたくない。俺、こさめがいなくなったら生きていけないよ。そんな思いを胸にしまって六人で夜道を歩いた。
「おし!走ろうぜ!」「は?ちょ!?」「いいな!」「ふふっ」「みんな!速いよ!!」「らんらん~!(笑)」
こうしてる時間んが愛おしい。なくなりかけてやっと気づいた。泣きそうになった。
この時間が一分一秒でも続きますようになんて柄にもないことを考えてしまうくらいには。
本当に俺ってバカ。
後日
こさめの体はあと少しで花に飲み込まれそうだった。胡蝶蘭が新たに描かれていた。
追伸
本当にすみません。全然投稿していなくて。
今回のはちょっといまいちなんでした、、
読んでいただきありがとうございました!