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なにわ男子 道枝×高橋 BL ※短編 非エロ
start
┈
(道枝side)
大橋の家、もう何回目か分からん飲み会。
笑い声と空き缶の音が混ざる中で、俺はずっと——
恭平の様子ばっか見てた。
「みっち〜……」
ソファの端で、
俺の袖を指先でつまんでくる。
……もう呂律、回ってない。
「なに、恭平」
「ねぇ……かえろぉ……」
上目遣い。
目、うるうる。
(……あかん)
「もうちょいしたらな」
そう言ったのに、
恭平は納得せぇへん。
「やだぁ……」
「みっちーの家……いくの……」
声、甘ったるい。
しかも、指で俺の手の甲をなぞってくる。
(……誘ってるやろ)
「恭平」
小さく名前呼んだら、
にへっと笑って。
「ん〜?」
「今、それ」
「分かってやってる?」
首、こてん。
「……しらなぁい」
……最悪や。
結局、
俺が根負けした。
外に出た瞬間、
夜風で少しだけ恭平が目を細める。
「さむぅ……」
「ほら」
上着、かけると、
ぎゅっと袖掴まれる。
「みっちー……やさしぃ……」
(……全部、計算に見える)
タクシーの中、
肩に寄りかかってくる恭平。
首筋に、
吐息が当たる。
(耐えろ)
(家まで)
玄関。
鍵閉めた瞬間、
背中に、重み。
「……え?」
恭平が、
後ろから抱きついてきてた。
「みっちー……」
耳元。
「……すき」
呂律、
完全に溶けてる。
「恭平」
振り返ったら、
すぐ距離詰めてくる。
指が、
俺のシャツの裾をなぞる。
「……なぁ」
低く言う。
「それ以上は」
「ほんまに我慢できん」
「……ん〜」
分かってない顔で、
首筋に指。
なぞる。
「ここ……あったかぁい……」
(……限界)
壁に、
軽く手をついて。
「……恭平」
名前呼んだだけで、
にやって笑うの、ずるい。
「なぁに……?」
顎、そっと持ち上げる。
見つめ合う距離。
「……誘ってんの?」
囁いた瞬間、
恭平の目、少しだけ揺れる。
「……みっちー……」
返事になってない声。
唇、
触れる寸前で止める。
(我慢)
(……するって決めたのに)
恭平の指が、
俺の首元に絡んだ瞬間。
——ちゅ。
一回。
短く。
離れたのに、
恭平が追ってくる。
「……ん」
二回目。
今度は、
逃げられん。
腰、
引き寄せて。
「……もう」
額、くっつけて。
「ここまで来たら」
「止まらんって」
恭平、
小さく笑って。
「……じゃあ……」
耳元。
「いっしょ……」
——その先は、
言わせへん。
唇、重ねて。
世界、
静かになる。
┈
……その夜が、
長かったかどうかは。
玄関の灯りを消したあとで、
想像に任せる。
┈
finish
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