テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
仕事に疲れた26歳リーマン・大石大悟がバー『マガレガー』で出会ったのは、バニー服を着た生意気な中学生・万丈戦兎(好物はポテト、欲しいものはラビッチ2)。
ジーニアスなあざとさに翻弄される大悟だったが、最後の一本のポテトを巡る争いの最中、戦兎に口移しでポテト(と唇)を奪われてしまう!
「貧弱貧弱ゥ!」と笑うウサギに大人の理性をビルドアップされた大悟は、動揺しつつもまた来週バーに行くことを誓うのだった。
「あぁ、今日もやっぱり疲れた、行くか…」
もちろんマガレガーだ、本当は週1ぐらいで通ってたんだが…今日はたまたま酒が飲みたいんだ
「ヘイマスター、席ある?」
「あ!大悟!やっほー!」
「…ねぇ戦兎ちゃん、あのおじさん誰?」
そうか、昨日言ってた、あの…
「すまなかったな戦兎、取り込み中だったか」
「いや、ちが」
「ねぇねぇ戦兎ちゃん!もっと話そうよ!」
…戦兎は、お金を出してくれる客のほうが好きでしょ
「…マスター、今日はやめとくよ」
「違う、大悟、行かないで!」
「…え?」
戦兎が、俺を、呼んだ?
「大悟が居れば、どこにも行かないから!」
「(吹き出す)ボーイズッ…神聖な場所を汚してはいけない、さらばだ。戦兎ちゃん」
「あ、ま、またお願いしまーす」
…
「じゃあ、今日もお邪魔させてもらおうかな。マスター」
「はいよ、ちょっと俺、後ろで作業しなきゃいけないもんができたから、戦兎は相手してやって」
「イエスマスター!」
…気になる
「…戦兎、さっきの」
「忘れて」
ですよねー
「戦兎はさ、俺みたいな客でもいいの?」
「忘れてって言って忘れるバカほんとにいたんだ…」
「え?」
「なんでもない!」
…俺が居れば、どこにも行かない…か。
「…ねぇ、大悟。明日、ちょっと、一緒に。なんでやねん鑑定団行かない?」
「なんだ、あんなとこ、どうしていくんだ?」
「ラビブラって、結構前じゃん。ならさ、中古なら安く買えるかと思って。けど、僕中学生だし、変な大人怖いし。」
なんだよかわいい…な…可愛いって、なんなんだよ。
「仕方ねぇな、行ってやる。ただし!俺を財布かなんかと勘違いしないこと!」
「…バレちゃった?(ニコッ)」
くっ…俺は、平凡に暮らしたいのに。
「…マスター、今良いか?」
(カウンターの奥から出る)
「はいよ、なんだ?」
「サイドメニューの…カルボナーラを、2つ」
「おじさん、大食いだね」
「期待した目でこっち見るな、隣座れ」
「やたー!」
最近財布の紐がゆるすぎる…まぁ、別にいいけど。カメユーチェーン店、結構時給高いからな
「今日ね、親が帰ってこない日だからさ!冷蔵庫に入ってるご飯で凌ぐ予定だったんだ!」
「…帰ってこない?」
「えーっとね!お父さんは青い服の人に連れてかれたっきり、帰ってこなくてさ。お母さんはなんか毎週土曜日はお母さん知らない男の人とどっか行くんだ!」
「…それは本当か?」
「?うん、そだけど」
何聞いてるんだ、俺になにかできるわけでもないのに
「けど、やっぱり悲しいな。お父さんは、僕に、いっぱい叩いてきたけど。楽しかった、お母さんも、よくビンタしてくるけど笑その後は抱きしめてくれるんだ」
「…クソ…」
…胸糞悪…
「おい、戦兎。今の生活、嫌か?」
「ん?別に、普通じゃないの?」
(カウンターを叩きつける)
「普通じゃねぇ!普通じゃねぇんだよ!」
「…だい、ご?怖いよ…?」
「あ、いや。違う、違うんだ。ごめんな、怖がらせるつもりはなかった…」
「怖い、よ。だいご、怒ってるときの、お母さん、みたい」
何やってるんだ俺は、だめだ、だめだろ。
「ごめん、ごめんって」
「…お母さんは、ギューしてくれた」
「え?」
…確かに、戦兎は。そう育ってきたんだ
(強く抱きしめる)
「ごめん、怖がらせてごめん」
「…大悟…」
(いたずらっ気な笑顔をする)
「ありがと、大悟♡」
これでいい、これでいいんだ。戦兎が、今泣いてるのか、笑ってるのか。わからなくて良い、戦兎が、幸せになるために…
「イチャコラつくな、カルボナーラだ」
「マスター、空気読めよ」
「あ!来た!」
「…これが、かるぼなーらかぁ…!」
…やばい、胸痛いな
「…ちょい、マスター!なにこの麺!白いじゃん!スパゲッティーは赤いのが相場じゃん!マスターは客にインク入りのスパゲッティーを食わせようってのかぁ?!」
「ちょちょちょ、これはそういう味付け」
「味付け?」
「カルボナーラってのはな、濃厚でクリーミーな味わい、けど、そこに絶妙な塩加減が入った結構パンチの効いた、スパゲッティの中で、一番好きなんだ。これに卵を入れるととても美味しくなる…って言おうとしたが」
「なに?」
「人が説明してるときにズルズルと食べるんじゃァない!」
「だって、これうまいんだもん。大悟も、冷めちゃうよ?」
…食べるか
(一口食べる)
まさにこれだ、マスターは酒だけでもなく、サイドまでこだわる。プロ並みと言うほどでもないが、例えるなら実家の肉じゃがのように、3日目のカレーのように。口に馴染む、とても美味い。卵の絶妙な麺との絡み具合も最高だ
「大悟、ずっと黙り込んでどうした?」
「あぁ、なんでもない」
「っていうか、大悟ほっぺにソース付いてるじゃん」
「あぁ、そうか(ハンカチを取り出す)」
(ペロッ)
「やっぱソースもうまいね、また食べさせてよ!」
「…お前ってやつは!//」
(その後、戡定を済ませ、連絡先を交換する二人であった)
「自分から送ったらなんちゃらハラスメントになるんじゃ…」
(ピコン)
「うわっ?!来た?!」
#らだぺん
トラォ
61
#毒☆あきお
コメント
1件
第2話、一気に重いトーンが顔を出してきましたね…。戦兎の「普通じゃないの?」という台詞が本当に胸に刺さりました。彼が育ってきた環境を思うと、あの飄々とした態度が逆に痛々しい。でも、大悟が「普通じゃねぇ」と叫んで抱きしめるシーンは、ちゃんと彼の側に立ってる感じがして良かった。カルボナーラ論争からの連絡先交換の流れも、気持ちの切り替え方が自然で好みです。この先、二人の関係がどう動くのか、とても気になります。