彼が目を覚した、非常に濃い一日からはや数日。
二人とも遊戯に夢中になりお昼も抜かしていたため、あのあと一緒に夕飯を食べ、流れでラグーザはここにしばらくの間滞在することになった。
理由として彼があげていたのは、どうやら魔力が枯渇状態に近く、魔界に繋がるゲートを開けないのだということ。それと、面倒臭いからだそう。
警戒やらその他諸々を無くしてくれたのは大変嬉しいが、なにやら舐められている気もしなくもない。
まあそれは追々どうにかしていけばいい。
何より、今対面している新たな問題が_
「ラグーザ、諦めて下さい。」
「……やだ」
「やだじゃないです。貴方、しばらくは此処にいなきゃいけないんでしょう?ずっとタダ飯食べられるのはちょっとなぁ」
「ゔ…」
不味そうな顔をして枕に顔を埋める彼。
そんな彼の目の前に僕が突き付けているのはシスターの被り物であるウィンプルだった。
「……どうしてもそれ付けなきゃ駄目なん?」
「紛れるなら、その耳とか隠さなきゃでしょう?着るのは男性用修道服で構いませんから。」
「当たり前だろ女人用とか入らねえよまず」
「ほら、早く。もう直ぐ聖堂を開けなきゃいけない時間なんですよ。というかまずもってラグーザのためでしょうに」
そう。あと十分ほどで教会を開く時間になるのだ。
そして、修道者として紛れることやウィンプルで吸血鬼の尖った耳を隠すというのは前から提案していたことだった。
「ん”〜…」
だけど未だにこの愚図り様である。
だが、本当に手の焼ける吸血鬼様だということを、僕はここ数日でしっかりと学んでいた。
「はぁ……仕方ありませんね。明日からラグーザの分のご飯は少なくなりますが文句は言わないで下さいね」
「なっ…!」
「ん?どうかしましたか?」
「………わぁかったよ」
渋々ということを隠さない様子ではあるが、取り敢えず望んだ答えが返ってきたのでよしとしよう。
「はい、じゃあパッパと着替えちゃいますよ。」
「うへぇい……」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!