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kurara
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みぅです、読ませていただきました。 「あの夏、恋をしていた」って言葉、すごく刺さりました……。 卒アルの写真をなぞる指先とか、気づかないうちに返信が来てるのに気づかない感じとか、あの瞬間の温度が伝わってくるようでした。昔の気持ちって、思い出そうと思って思い出せるものじゃないけど、写真や音や季節でふわっと蘇るんですよね。若井くんに対する想いが、もう忘れたって言い聞かせてる感じがまた切なくて……。 続き、めっちゃ気になります。
夏は嫌いじゃない。
言葉のない時間も蝉時雨が埋めてくれるから。
火照った心も、熱を持った肌も、全部夏の暑さのせいに出来るから。
七月二十日。
とある一冊を見つけたのはその日の午前。
「うーわ、懐かし…」
何となくデスク周りの片付けを始めてみたら、いつの間にか範囲が部屋全体に拡大していた。
そこで見つけたのが学生時代の卒アル。
思わず片付けを中断してその中の一冊を手に取った。
仕方ない。こういうのを見つけると片付けなんて中断してしまうのが人間の性。
ページを開くと見覚えのある面々が記憶に浮かんでくる。
そういえばこの子、転校したんだっけ。
こいつは意外と良い奴だったかも。
あれから長い年月が経っていても案外忘れられないもので。
片付けは完全に難航し、代わりにページを捲る手の動きだけがペースを上げていた。
ふと、あるページで手が止まる。
見慣れた、あまりにも見慣れすぎた姿が映っていた。
「え、うわ、若井だ」
しっかり陽キャやってて思わず笑ってしまう。
スマホを取り出してその写真に画面を向けた。
部屋に小さなシャッター音が響いて、すぐにそれを若井に送信する。
スマホをポケットにしまいながらもう一度その写真に視線を落とした。
制服は夏服で半袖。いつぞやの夏の写真。
「…………夏、ねぇ」
誰に向けるでもなくぽつりと呟いたその言葉は部屋に落ちて溶けた。
特に意味は無く、指先でその写真の輪郭をなぞる。
写真の中の彼は今と変わらない眩しさを持っていた。
皆を惹きつけるような明るさがあって、誰も置いていかないような優しさもあって。
そんな所に。そんな若井に。
あの夏、恋をしていた。
恋と言ってももう何年も前。今はそんな気持ちどこかへ無くしたし、忘れた。
きっと若気の至りだったのだろう。
恋を知らなかったあの頃の自分は心のどこかで憧れやらなんやらを持っていたんだと思う。
だからかな。だから、一番自分の近くに居てくれた若井を好きになった。
まぁ大人になるまでに忘れてしまったんなら、抱いていた気持ちはそれまでのものだったのかもしれない。
ただのメンバーとして、親友として接するようになった今を別に後悔していないしあの頃の気持ちを思い出したいと考えたこともない。
初恋なだけあって好きでいた事は記憶にある。
だけど恋愛感情としての「好き」はとうに忘れているから。
なんて、頭でそう考えていてもアルバムは閉じられないまま。
視線は親友の写ったその写真だけを見つめていた。
先程送ったメッセージの返信通知が来ている事に
気付かない程。