テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
今回は怠慢な聖職者青さん×自信家(?)悪魔桃さんのお話
地元じゃ負け知らず(地元?)なちょっとイキリ桃さんが、青さんに分からせられて大人しくなったら最高にかわいいですよねって話です。
「腹へった……」
木製の椅子に後ろ向きに座り、背もたれに身を委ねて全力でもたれかかる。
そんな俺の口から漏れた言葉に、いむは片方の眉を持ち上げた。
テーブルの上に積んだチョコレートの山から一つを手に取り、「食べる?」なんて尋ねてくる。
「腹がへった」の言葉が、そういう意味ではないことは分かっているはずなのに。
「そういうことじゃないんだよ。…最近、ちゃんと『食事』ができてない気がしてさ」
そう呟いた俺の後ろでは、伸びた尻尾がへたりと萎れる。
尻尾が主の感情に呼応するとは紛うことなき真実だ。
悪魔である俺達の「食事」…。
それは人間のように食物を体内に取り込むことではない。
そちらはどちらかというとポーズのようなもので、本当にエネルギーとして取り込みたいのならもっと別のものが必要。
…たとえば、人間の生気や命なんてものがそれだ。
「ないちゃんこの前、人間の生気吸いに行ってなかった?」
「吸ったよ、吸った。だけどまずい生気吸ったところで、満足感と充足感は得られないわけ」
最近、欲深くて薄汚い人間が増えた気がする。
何なら私欲のために俺達悪魔を召喚して願いを叶えようとする連中も後を絶たない。
その割に生命を差し出すのは嫌だという身勝手さで、生気の一部を吸う「契約」しかできない。
そんな私利私欲に溺れた人間から得られるものなんて、まずいに決まってる。いくら喰ったところで腹は膨れない。
俺はどちらかと言うと、心根のきれいな人間の方が好きだ。
おキレイな人間が、泣いて赦しを乞いながらもこちらの力に敵わず絶望したときの魂の方がよっぽどうまい。
なのに最近はそんな純な人間自体がなかなか見つからないから、腹が満たされることがない。
人間の世界も随分荒んだものだ。
そんなことを口にしたら、いむは「クズだねぇ」と苦笑いを浮かべた。
「僕はどちらかと言うと、薄汚い人間が私欲に溺れた醜い顔でこっちの言いなりになるしかなくなるような、そんな生気を吸う方が満たされるけど」
「…お前も十分クズでドSだよ」
テーブルの上のチョコレートに、俺もゆるりと手を伸ばす。
それをぽいと口に放り入れると、ため息まじりに椅子から立ち上がった。
口内にぬるりとした甘さが広がるだけで、充足感はやはり得られない。
「…ちょっと喰ってくる」
「いってらー」
笑いながら見送るいむが、「…ないちゃんはそうやってドSぶってるけど、本当はどうなんだろうねぇ」なんて呟きを一人漏らしたことまでは、俺の耳には届いていなかった。
人間の住む下界に降り、ぷかぷかと空を舞う。
月明かりが明るく照らす夜の闇に溶けこみながら、上から本日の餌を物色した。
この状態の時は、人間から俺の姿は見えない。
めぼしい奴を見つけてから人間の姿に擬態し、地上に降りる。
そうして初めて人間側も俺を「認識」することができる。
声をかけてからは割と早い。
願いを叶えてやると嘯けば、大抵の強欲な奴は二つ返事で生気を差し出してくる。
…そう、食事自体に苦労はしない。
それが満足できる餌になるかどうかは、結局こちらの問題なんだ。
繁華街で夜遊びを繰り返すような連中なら、こちらの要望を飲み込んでくれやすい。
…だけどそういう連中こそ俺にとってはまずい食事しかさせてくれない。
だから今夜は、少し都会から離れた場所を訪れた。
背中では、ばさりと真っ黒な羽が音を立てる。
上から地上を見下ろすけれど、賑やかな都会から離れた場所を選んだせいで夜は人気が無かった。
……やっぱり、無理か。
そう思って繁華街の方へ戻ろうとした時だった。
「……っ?」
視線を感じて、思わず勢いよく振り返る。
方向転換しかけていた体を戻し、その視線の先を追った。
見下ろした場所には、一人の人間が立っていた。
さらさらの青い髪。年は20代後半といったところだろうか。
まっすぐこちらを見据える瞳もきれいな青だと、宵闇の中でも分かるくらい煌めいて見える。
悪魔の姿の俺を見ることができる人間なんてそうそういない。
そのはずなのに、その男は確かにこちらを見上げていた。
だけどすぐに、興味がないようについとその視線が逸らされる。
そのまますぐ目の前にある建物に入っていった。
……こいつの家だろうか。
もう一度、背中で漆黒の羽がばさりと音を立てる。
ゆるりと羽ばたかせて、俺はぐいんと高度を下げた。
だんだんと近づくその建物の上には、大きな十字架が飾られている。
「……教会……?」
そう言えばさっきの奴は、真っ黒の神父服を身にまとっていた。
腰に巻いたチェーンの先のロザリオがきらりと光っていた気がする。
「…神父…?」
俺を視認できるほどの力を持っている人間?
俄然興味が湧いて、俺はその建物にゆっくりと降り立った。
一応人間の姿に擬態して、コンコンとその建物の扉をノックする。
時刻はもう夜遅い。今祈りを捧げに来ている信者もいないだろう。
恐らく教会の中に一人でいるだろうその神父は、長い沈黙の後にやがてキイと音を立てて扉を開いた。
人間に擬態した俺は175センチくらいの身長で、踵が厚めの革靴を履いている。
それでもその俺より背が高く、青い瞳がこちらを見下ろす。
空から見下ろしていたときよりも、至近距離で見るその目はとてもきれいだった。
思わず小さく息を飲む。
「…どちらさま?」
低く、透き通るような声。
目の前の男が発したそれは、俺の両の耳の中で響いた。
それと同時に腹の辺りがずくんと疼くのが分かる。
まだ喰らってもいないのに、こいつの生気が美味いだろうことが予感される。
「……」
言葉と共に、ごくりと息を飲みこんだ。
こういう時、取り繕うように言葉を並べ立てるのは得意な方だ。
喰らうためなら相手を言いくるめるのも日常茶飯事。
なのにこの時、この男を前にした途端に言葉が出なくなった。
不自然な間が空いたことに一度深く瞬きをしたその男の方が、仕方なく先に言葉を継ぐ。
「…悪魔が、こんなとこに何の用?」
……やっぱり、さっき悪魔のままの姿だった俺のことが見えていたらしい。
人間にしては優秀。力を持った者の魂は無能者よりも美味い。
そう思い、内心でぺろりと舌を出した。
「驚いた。視える人間がいるんだ、俺のこと」
感心したように言うと、男は俺の頭からつま先までをぐるりと見回した。
その無遠慮な視線が不快じゃないのは、きっとこの男の徳みたいなものなんだろう。
「力の強い人間を探してたんだよね。…入ってもいい?」
「悪魔やのに教会に入ろうとするん?」
「俺にはこの場所程度の『聖なる力』なんて効きもしないから」
ふふんと少し得意げに応えると、その男は押さえていた扉を更に大きく開いた。
中へ入ることを許されて、俺は一歩踏み入る。
真正面の奥には大きな十字架が壁にはりつけられていたけれど、俺くらいの悪魔にもなれば、あんなオブジェに恐怖する理由もない。
こちらのことを悪魔だと認識しているなら話は早い。
擬態を解いた俺は、通常通りの悪魔の姿に戻る。
黒い羽と尻尾、それに頭には角。
現実の姿を見せたにも関わらず、その男は涼しい顔をしていた。
驚くことも何らかの感想をもたらすこともない。
「単刀直入に言うけどさ」
教会の広い講堂は、長椅子がずらりと並んでいる。
男は俺の言葉を聞きながら、その一つに腰をかけた。
ただし敬虔な聖職者にあるまじき姿勢で、足を組み背もたれに腕を置くという尊大な態度で…。
こつこつと革靴の音を響かせ、ゆっくりとその男に近づく。
すぐ前に立ち、無遠慮に顎を掴んだ。
くいと目線を上げさせると、あの青い瞳がまっすぐ怯むこともなく俺を見上げてくる。
「俺と契約してよ。望むものを何でも叶えてあげる。その代わりあんたが死ぬときは、その魂は俺にちょうだい」
あ、あと、死ぬまで何もなしに待つのもだるいからちょくちょく生気を吸わせてもらえると助かる、なんて付け足す間も、男は黙ってじっと俺を見上げていた。
「何が望み? 女? 金? それとも名声? 何でもいいよ」
乞え、今すぐに。そのきれいに整った顔を欲望に歪めて見せろ。
愉悦に満ちた笑みを浮かべて見下ろした俺を、男は尚も黙って凝視していた。
そしてそれからふっと唇を緩める。
「ないよ、望みなんて」
芯のある低い声が、少し揶揄するような響きで答えた。
「もし欲しいものがあるとしたら、自分で獲りに行くから。悪魔との契約なんて必要ないんよな」
続いたそんな言葉に、俺は思わず両の瞳をこの上ないくらいに大きく見開く。
それにくっと笑みを漏らし、男の顎を掴んでいた指に少しだけ力をこめた。
長い爪が、そいつの首に刺さりそうだ。
聖人っぽいこと言うじゃん…なんて思ったけれど、そうだこいつは聖職者か。
物語にでも出てきそうな模範解答を得て、俺は嘲るように笑った。
「随分おキレイな心をお持ちのようで。…でもさ、俺はそういう人間の魂こそ欲しいんだよね。きれいなはずの心が、結局欲望に勝てずに媚びる姿が見たい」
「悪趣味やな」
呟いた男の前髪がさらりと揺れる。
それから落ち着いた動作で腕を上げると、そいつは俺の手首を掴んだ。
手を、男の顎からすっと離される。
「さすが悪魔。…やけどさ、俺の職業分かっとる?」
問われて再び男に視線を落とせば、さっき視認した通りロザリオがぶら下がっている。
そんなこと聞かれるまでもない。
「なに、俺のこと退治でもする気? 無駄だよ、俺強いから」
目を細め、にやりと笑ってそう切り返してみる。
これでも自分たちの棲む世界ではそうそう対等に渡り合える奴はいない。
自惚れるわけでもなく、それが現実だと認識している。
「確かにこの姿のときに視認できる人間はそうはいないけど、視える力を持ってるくらいで自惚れない方がいいよ」
そう続けた俺の手を、男は掴んだままだった。
何も言葉を返さずに…それどころか怯みもしないその態度が気に入らない。
掴まれた手を、自分の手首ごとぶん、と乱暴に振り払った。
「あんたにとっても悪い話じゃなくない? 望みを何でも叶えてあげるって言ってるんだからさ」
ただほんの少し、生気を吸われたせいで死ぬまでの与えられたはずだった本来の時間が短くなるだけだ。
あと、死んだ後に天国になんか行けずに俺に喰われるだけのこと。
たったそれだけのことで生きている間の願いが叶うなら、互いにWin-Winなはずだろ。
俺の言葉を黙って聞いていた男は、そこで唇を持ち上げて笑んだ。
だけどそれは、「微笑み」というよりは嘲笑に近かったように見える。
小さく息をつくように笑って、尊大な態度で組んでいた長い足を下ろした。
「…退治なんてするつもりはないけど、その感心できん考え方はお仕置きが必要かな、とは思うかな」
長身を前かがみにして、ゆらりと長椅子から立ち上がる。
「お前こそ、力に溺れて人間を下に見ん方がいいよ」
男がそう続けたとき、ドンと大きな音を立てたような衝撃が走った。
びりと痺れるような感覚…そしてそれから、全身に重くのしかかるような圧力。
背中から叩きつけられるような衝動に、俺は思わず前へと倒れ込む。
「…な…っ」
「おっと、危ない」
前方に傾いた俺の体を、男の腕が支えた。
神父服からすらりとのびる手が俺の肩を強く掴む。
大きく瞠った目で、その男の顔を仰ぎ見たいのにそれすら叶わなかった。
首を動かすことすらできない。
まるで金縛りにあったかのように微動だにしない四肢。
そのまま崩れ落ちるように、俺は男の腕の中にその身を落とした。
くるりと態勢を入れ替えられ、さっきまで男が座っていた長椅子に押し倒される。
背中を打ち付けて思わず眉を寄せたけれど、その間も体は固まって動かない。
瞳だけが空を泳ぐようにぎょろぎょろと挙動を許される。
それ以外は一切自分の思い通りにはいかない。
「なにす…っ」
「なぁ、生気ってどうやって吸うん?えろいことしたら吸えるん?」
「ば…っ、単に『活力』とか『寿命』の一部を吸い上げるだけだよ…! 淫魔じゃないんだからえろいことする必要なんてねぇわ!」
「ふーん…じゃあどうやって吸うん?」
こう?なんて呑気に続けたと思った瞬間、男の唇が俺のそれを塞いだ。
ぐいと押し当てられた唇がゆるりと食む。
「…ふ…っ」
動かない体の下で、尻尾がくたんと萎れるのが分かった。
抵抗できずにされるがままになっていると、じゅっと音を立てて唇を吸われる。
そのまま俺の上に乗り上げてきた。
…くそ、今体が動くならその首を爪で掻っ切ってやったのに。
唯一動く目でぎろりと睨み上げると、男は「ふふ」と笑った。
「いいね、その顔。唆られる」
屈辱をもたらすかのようなそんなセリフを寄越したかと思うと、男は再びキスを落とした。
そしてそのまま大きな手が、俺のシャツの裾から中に差し込まれる。
「ふざけ…んな…っ」
抗議しようとしたけれど、冷たい手のひらが腹部を這うものだから「ひぁっ」と自分のものではないような声が上がった。
その間にも手のひらはすす、と上へと上がってくる。
胸の突起をきゅっと摘まれたときは、より一層甲高い声が上がりそうになって必死で抑え込んだ。
「悪魔ってさぁ、尻尾も性感帯なん?」
唇を貪りながら胸を弄ってきたかと思うと、不意に男はそんな言葉を継ぐ。
「…っ言うわけないだろ、そんなこと…っ」
「『言うわけない』って、それ言うとるようなもんやん」
ふーんと嘯いた男のもう片方の手が、俺の後ろへと回された。
垂れ下がった尻尾を掴み上げ、その先端の部分を人差し指と親指で挟むようにして撫でる。
「ひゃ…っ」
こらえきれずに上がった俺の声に、愉悦に満ちたような笑みを浮かべて男の目が細められた。
「かわいい声で啼くやん。イキリ悪魔の割に」
うるさいうるさいうるさい…っ!!
胸と尻尾を同時に弄られたりしたら、動けない体も、より力が抜けていく。
脱力したようにだらんと俺の手が垂れ下がったのを見て、男はもう一度笑ったようだった。
舌を絡め合い、吸い上げられるとこの先の快感まで予期したかのように自身の中心が持ち上がってくる。
人間ごときにこんな好き放題されるなんて屈辱と、それに反する気持ちよさに視界が熱く潤んでいく。
だけど、その目で男を見上げたのがいけなかった。
俺を見下ろして笑っていた男の表情からも、さっきまでのような余裕がなくなっていくのが分かる。
呼吸は荒くなり、頬が紅潮する。
俺の体を貪ることでその余裕をなくしているのだと思うと、体の奥底が疼くような悲鳴を上げたのが分かった。
「…んぁ…っ」
男の指が、今度は俺の後孔にあてがわれる。
かと思うと、ずず、と中を押し広げるようにして侵入してきた。
顎が跳ね上がり、びくんと足が震える。
その頃には俺を押さえつけていたはずの聖なる力みたいなものは効力を失ったのか、指も手も動くようになっていた。
殴って止めるなら今だ。何ならこの場で殺してやってもいい。
頭ではそう考えたはずなのに、気づくと俺の手は男の腕を掴んでいた。
中のイイところを撫でるように押してくる指に、自然と腰が持ち上がる。
それと同時に自分でも信じられないような言葉が口から漏れる。
「も…っと…っ」
しがみつくように手に力をこめると、目の前の男と再び目が合った。
向こうの目も興奮に潤んでいるように見えたのは気のせいだろうか。
余裕のなくなった荒れた呼吸で肩を上下させたかと思うと、ごりと硬くなったものを押し当てられる。
俺の後ろから引き抜いた指の代わりに、その勃ち上がったものを宛がった。
ぐぐ、と押し入るように奥へと進んでくるそれに、目の前がちかちかする。
最奥まで突かれたい衝動に駆られたせいで、俺は広げて持ち上げた両足を男に絡めると同時に、黒くて長い尻尾をその男の腰に強く強く巻き付けた。
「…っ」
引き寄せられるようにしてより深く繋がったそこに、今度は相手の方が息を飲む。
きゅっと後ろを締めるようにして体を小刻みに揺すると、木製の長椅子がぎしぎしと品のない音を立てた。
コメント
3件
品行方正の悪魔の次は高慢ですか…最高すぎました、!!立場が変わることで見方が少し変わって楽しく読んでしまいました…、!✨✨ 毎回のように幸せ気分にさせてもらってます😭💕 最後は欲しがっちゃう桃さんが可愛くて堪らないです…💕
桃くんが最初は煽ってたのに、最後には余裕がなくなるとは…どれほどすごいんだ(?) これからコメントがおくれなくなるかもです!送れたとしても短いのしか‥😭陰ながらの応援になりますが、これかたもがんばってください!
久しぶりのコメントですね…、書き方変わってたらごめんなさい🙏💦 桃さん余裕そうにしてるのに 、結局は欲しがっちゃうの可愛すぎますね💕︎👼 あおばさまの作品を見れただけで本当に癒されますね✨ あおばさま大好きです.ᐟ.ᐟ🌀🪄💫 頑張ってください🔥🔥💪 応援してますꉂꉂ📣 私が活休終わったらまた沢山見に来ます…、その時も続いてれば🍀