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< rdside >
誕生日から3週間と少しが経過してあっという間に気温は下がり景色の全てがこれから来る冬を感じさせた。
ぺいんとが寒くならないように暖房をつけている。俺一人なら絶対に付けないけどぺいんとが寒い思いをしたら嫌だから。
rd「ぺいんと、寒い?エアコンの温度上げようか?」
pn「うん…」
部屋の温度自体そこまで寒くないはずなのに毛布を2枚かけてソファに横になっているぺいんとを見て何故か胸がざわついた。
そんな気持ちを打ち消すようにぺいんとに熱いスープを作って差し出す。
rd「はい、どーぞ」
pn「ありがとう」
だるそうに体を起こしてソファの一段下に降りる。毛布はかけたまま楽な姿勢で座ってスープに手を添える。
俺は隣に座ってぺいんとの背中を優しくさすってあげながら机の上に置かれてる水と薬を見つめた。
rd「もう12月かぁ…時間ってほんとあっという間だね」
pn「….うん、」
rd「….ぺいんと?」
pn「….」
pn「ん? なぁに?」
rd「…今日もあんまり食べれてないね」
ぺいんとに出したスープの湯気は段々と少なくなってきた割に量はほとんど変わらない。
pn「食べたいんだけどね、体がついてこないや…. 笑ヾ 」
rd「…この間まで一緒にご飯作れてたのにね、」
pn「.. また作れるよ。 … いつか」
そう俺に声かけてくれるぺいんとの声は弱く細い声だった。
最近、12月に入ってからは体調が良い日の方が少ない。
急に熱が出たり目眩でふらついたり…苦しそうな咳を聞くことも多くなった。
ぺいんとが苦しそうにする姿を見る度に過去に彼に言われた台詞が頭の底から掘り起こされる。
「1月が精一杯だから」
誕生日に貰ったメッセージにも書いてあったし医者にも言われている。
ぺいんとはもともと4月の段階では余命1年と言われていた。
けれど良くないことに病気の進行が早く、本来なら来年の4月までは生きられたはずなのに今では1月が持つかどうか。
最低なことを言うけれどきっとぺいんとより俺の方が不安だし心配している。
ぺいんとを失いたくない。離れたくない。そんな気持ちが膨らんでいくばかりで。
いつもぺいんとを不安にさせないように強気でいようと決めていたのに最近は不安が押し寄せてくるせいでぺいんとにもきっと気持ちが伝わってしまっている。
俺が1番そばに居るのになにも言葉をかけてあげられていない。
rd「最近調子悪いね」
pn「大丈夫だよ…?」
rd「そんな訳ないでしょ、無理しないで」
pn「うん…ありがとう」
rd「ぺいんと」
pn「ん?」
夜になっても不安は消えない。というか夜の方が不安が大きくなる。
眠れないのだ。俺が眠ってしまったら…もし眠っている間にぺいんとが…なんて考えてしまう。
寝る時にいつも抱きしめる彼女の体と手は以前より少し温度が下がった気がしてまた不安になる。
pn「らっだぁ…?」
rd「ん?どうしたの?」
pn「好き…?」
rd「うん。大好きだよ」
pn「んへ …. 俺もだいすきだよ 笑ヾ」
ぺいんとはそう言いながら俺の腕の中で眠った。
その顔はあまりにも幼く可愛く彼への気持ちが大きくなるばかりだった。
俺はぺいんとが寝た後、必ず日記を読み返している。
しかしどうしても最後のページ、ぺいんとが俺へ書いてくれたメッセージのページだけは胸が締め付けられてしまう。
所々紙が濡れていたようだったから。
ぺいんとは泣きながら書いたんだ。俺は初めて見た時から分かってた。
ぺいんとはいつも明るく言ってくれるけど実際辛い思いをしているのを知ってるしそもそもそんな事誰でも想像できるだろう。
本当の気持ちが聞きたい。ぺいんとの。
pn「ん〜〜 ….」
ぺいんとの首元がキラキラと光る。
俺があげたペンダント。一緒にあの景色を見れるように…なんて俺の願望でしかないのに。
俺の願いを押し付けられた時ぺいんとはどんな気持ちだったんだろう。
もうすぐクリスマス。今年の思い出を振り返るとそれはぺいんとで染まっていた。
いつから図書館に行かなくなったっけ。
隣でpnは静かに眠っている。
毛布の中から微かに聞こえる呼吸は、規則正しいようで少し乱れているようにも感じた。
眠りについているはずなのに眉間には皺が寄っていてその様子は夢の中でも少し苦しそうに見える。
手を伸ばして髪を撫でても反応はなくて、それが当たり前なのだけど その静けさがかえって胸をざわつかせた。
_ このまま時間が止まってくれたらいいのに
そう思うのに どこかで何かが終わりに近づいている感覚が離れない。
言葉にできない不安が胸の奥で重く沈んで、 呼吸を合わせるように目を閉じても眠れやしなかった。
コメント
1件
えぐい普通に泣いちゃいそう、、