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「こっちだよ。ミノル~」
ウキウキとした様子の新之丞に俺は、されるがままだった。
気付けば弓を放す場所から離れ、どこか分からない寺のような所に辿り着いた
相変わらず腹が立つけれど、新之丞を見てると胸が痛む。何だろうか……
そんな事を考えていると、新之丞はこっちを向いた
「ずっと思っていたんだけれど、呪い受けてますか」
新之丞のウキウキした様子はとまり、真剣な眼差しを俺に向けてきた。どん底に落とされた気分になった。
怖い。 新之丞にそう初めて思った。
「…俺を見つけてしまったら、貴方は消えてしまう」
小さい頃から言われていることだった。本当には信じていないけれど、この事は言っておこうと思った。
きっとこれで最後、少しの間だったけれど、新之丞と居るのはとても楽しかった
少し間が空いて、新之丞は俺にクシャっとした笑顔を見せた。吐息混じりでこう、言ってきた。
「…神様は、時には残酷なのですね」
「では、あなた様のことは、この伊能新之丞が、守り抜いてあげましょう。」
一礼をする、新之丞をみた俺はとても狂い出しそうな気分になった。
あぁ、俺はこの人が好きだ。
心のそこから好きだと自覚した。
「目を見るな、死ぬぞ……」
「えぇ、光栄です」
新之丞は、あははと笑っていた。
俺は出てくる涙を堪えて下を見詰めた。初めて守ってくれると、言ってくれる人間に出会えた。