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短編集!『あの日の約束』
学校に行けなくなった。分かってた。いつかこうなるって。教室に響く僕に向けられた笑い声。どんどん自分が分からなくなってく感覚。学校という存在が大きな黒いモヤになっていった。
午前9時駅前広場、天気は雨、湿度は58%
今日、電車に乗れなかった。足が自分の足じゃないみたいだった。
家にも帰れず、ただ街を歩いた。裏道に行って、目頭が熱くなった。
ぼやけた視界に1つの灯りが見えた。中から目が痛くなるほど、眩しい人。
僕の前に現れた。「俺の店においで」びっくりするほど優しい声。手を引かれて、灯りの中に入った。
何も言えずに、席につくと、何も言わずにコーヒーを出してくれた。
「あ、えと、」
「お代はいいよ、ゆっくりしてってね」
コーヒーからは湯気が立ちのぼり、照明は暖かな色だった。
コーヒーは今までで1番美味しいコーヒーだった。
彼は何も聞かなかった。事情も名前も。
他のお客さんが入ってきても、僕にはここにいるように促した。常連さんばかりのお店で、年齢層も性別もバラバラだった。
彼は寡黙に料理をしたり、コーヒーを淹れたり、言葉のない優しい雰囲気を纏っていた。
落ち着くと、隣に座って、やっと話すことができた。
「俺はサニー。君は?」
「アルバーンです…」
にっこり笑って、僕の頭を撫でた。
「いい名前だね」
何を聞かれるのか、どこから話さなきゃいけないのか、騒ぐ胸を言葉で諭す。
でも、出てきた一言は驚くものだった。
「親は知ってるの?」
責めでもなく、心配でもなく、ただ単純な疑問。誕生日を聞くのと同じ。そんな感じだった。
「行ってないことは、知らないと思います…」
「そっかぁ」
それ以上は何も聞かない。こんなの初めてだ。
「何も聞かないんですか…?」
さっきとは別のザワザワに目が泳ぐ。
「何となく分かるでしょ」
いたずらに笑う。
「道端で泣いてる少年、大きなリュックを背負って、制服を来ている。しかも、登校時間はすぎている。ね?」
言われてみれば、そうだ。胸が沈み、黙ってしまう。
「怖がらないで、大丈夫だよ」
彼はエプロンから1つの鍵を取り出した。
鍵が暖かな光を反射して、金色に輝いていた。
「これ、君にあげるよ」
「ここの上の階に住んでるんだ」
僕は両手を差し出し、鍵を受け取った。
小さくて重たかった。
「今日はこれから忙しくなるから、上にいてもいいし、ここにいてもいい。どうする?」
「ここに…いる」
「わかった」
笑顔で頷き、頭を撫でる。こんな暖かいの久しぶりだ。
昼時は彼も忙しそうだった。カウンターの1番奥で、彼を眺めた。気づいた時には、席を立ち、キッチンにいた。
彼は意外にもすんなり頷いた。
彼の指示を受け、調理は苦手でもできることを精一杯頑張った。
「ありがとう、助かったよ」
汗だくでも爽やかな笑顔。その笑顔で胸の奥に詰まっていたものが流れ出た。
「あの、ありがとうございました。部屋もお店も、…」
喋るのが苦手な僕は、途中で途切ちゃったけど、きっと彼なら分かってくれたはず、そうだといいな。
「大丈夫、明日も待ってるから。何時でも。約束ね?」
大きく頷いた。
とあるカフェ午後3時、天気は晴れ、湿度は51%
明日、きっとまたここに来るだろう。自分の足で、自分の意思で。
なんか、没か…
もっと上手く書けるように頑張ります…!
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