ーーー公園ーーー
黄「やっぱりここに来ると懐かしく思いますね」
青「だよねぇ」
桃「…………」
青「あ!桃くん!こっち来て!」(手を引く)
桃「…………っ!」
??)桃くん!早く!こっちこっち!
青「桃くん?大丈夫?」
桃「…………」
なんだろ……今のは…
青「桃くん、ここ見て」
(生垣の真ん中に小さな穴が空いてる)
青「ここね、よく桃くんと2人であそこの中に入ってお話してたんだよ」
黄「そうなんですか?」
青「そう!僕と桃くんの秘密基地!」
黄「僕見てもいいんですか?」
青「いいよ、だってもうこの成長した体格じゃぁ使えないしねw」
黄「確かに小さいですもんね、あの穴」
??)ここは桃くんと僕だけの秘密基地ね!
桃「…っ…」
またっ……
小青)青と、桃だから……桃青基地だ!
桃「………さと………ころ……基地……」
青「!!思い出したの!?」
桃「…………わかん…ない…でも……少しだけ……皆といた気が…する……」
黄「気がするじゃないです!居たんです!一緒に!」
青「僕達の昔話…信じてくれた?」
桃「………うん」
黄「良かった…」
青「…………桃くん…僕達のこと恨んでない?」
桃「…………?」
青「助けられなかった…近くにいたのに。約束も守れなかった…」
黄「っ…………」
桃「……わからない。……でも……昔の事……少し思い出して……苦しくなかった……」
青「………………」
桃「小さい頃の……記憶……冷たい……君たちの……記憶……は……暖かい……」
青「暖かい?」
桃「…………」コクン
青「そっか……良かった……」
黄「そろそろ帰りましょうか」
青「うん」
桃「………………」
青「帰ろ?桃くん」
小青)帰ろ?桃くん
桃「…………うん」
青……
ずっと…一緒に居てくれた…
そばに居てくれた……
こんな俺の傍に……
ーーーシェアハウスーーー
黄「ただいまです!」
青「みんな!聞いて!」
紫「なになに?どうしたの?」
青「桃くんが、少し昔と事思い出してくれた!」
橙「ほんま!?」
青「僕との秘密基地も思い出してくれたんだー!」
黄「桃青基地です」
橙「まんまやないか!!」
青「別にいいじゃんか!子供だったし」
桃「………………」
赤「俺のことも思い出してくれたの!?」
桃「………………」コクン
赤「やった!!」
紫「桃くんとの約束、これで続行できるね」
橙「せやな」
黄「頑張りましょう!」
赤「燃えてきたー!」
桃「…………なんで……そこまでするの?」
紫「桃ちゃんを助けたいからだよ」
桃「………………」
だから……なんで……
青「だからなんでって思ってるでしょ?」
桃「…………」
赤「前に言ったと思うけどみんな桃ちゃんの事だ大好きだから」
橙「桃ちゃんとの約束を果たしたいから」
紫「桃ちゃんのとびっきりの笑顔を見たいから」
黄「桃くんともっと仲良くなりたいから」
青「僕達は桃くんを幸せにしたいから」
紫「こんな理由じゃダメかな?」
桃「…………おれなんかの…ためじゃなくても…」
青「桃くんだからだよ。」
赤「そうだよ!桃ちゃんの事大好きだから!大好きな子を助けたい、幸せにしたいって思うのはこれこそ、普通なんじゃないかな?」
桃「……ふつう」
紫「そうだね、普通かもね。」
橙「俺ら全員思っとるからな!」
黄「普通です」
桃「………………」
青「桃くんはもう、ひとりじゃないよ。みんながいるんだよ?助け求めてもいいんだよ?苦しまなくていいんだよ?」
桃「…………たすけ…?」
俺は……助けて…欲しいのか?
何から……?
紫「うん」
桃「………………」
青「助けて欲しいとか、頼りたいって思った時に言ってよ。絶対に助けるから!」
桃「………………」
頼る…?何で……一人で出来るのに……?
一人で……普通に……
桃「…普通には、どうやってなるの?」
紫「え?」
桃「ずっと…普通になる為に頑張ったのに……普通になれない……勉強しても…調べても…普通になれない…どうしたら普通になれるの」
ガリガリッ……(腕をかく)
赤「普通か……桃ちゃん普通ってね。人それぞれ違うんだよ」
桃「……え?でも……辞書だと周りと同じって……」
橙「辞書だとそうやんな……でもな?俺ら全員同じだと思う?」
桃「……同じじゃないの…?」
橙「桃ちゃんは、俺らの事普通だと思う?」
桃「………おも…わない」
赤「なんで?」
桃「……生徒会…だから……」
青「そうだね、でもさ……生徒会からしたら僕らは普通なんだよね」
桃「……?」
赤「みんなの為に仕事して、より良い学園生活を送れるようにする。生徒会からしたら普通じゃない?」
桃「…………」
紫「だからね、人の目線から見たら普通じゃない事も普通になったりするんだよ」
橙「俺もあるわ、それ」
桃「………?」
橙「だって俺だけ関西弁やし、皆からしたらなんで標準語じゃないん?ってなるやろ?でも俺からしたら関西弁は普通なんよ。」
青「人それぞれ違う普通を持ってるの」
赤「だから……はっきり言うとね。桃ちゃんのお母さんが望む普通と…桃くんが思ってる普通が違う場合もあるよね?」
黄「だから桃くんは、桃くんのお母さんが思ってる普通にはなれないかも……ですね。」
桃「っ!!それじゃ駄目!!俺は母さんの……母さんの理想の普通にならないと駄目なんだ…」
ガリガリッ……(腕をかく)
青「桃くん……」
また腕かいてる……
桃「まだ……勉強が足りないんだ……勉強しないと……」
青「まって!なんでそんなにお母さんの理想になりたいの!?」
桃「……母さんに……認めて貰いたいから……」
橙「…………」
桃「母さんに認めてもらったら……俺は普通になれるから……」
紫「桃くん……ずっとお母さんに認めてもらいたかったんだね……でもね…桃くん。そのままだと桃くんはあやつり人形だよ?」
桃「……あやつり……人形?」
紫「お母さんの言うことを全部聞いて、自分がやりたい事、好きな事、全部捨てて。お母さんが作ったお人形の桃くんになっちゃう。桃くんは桃くんでしょ?お母さんが作った桃くんじゃない」
桃「………?」
黄「桃くんは好きなものありますか?」
桃「………」
赤「好きな色は?」
桃「………黒」
橙「なんでなん?」
桃「男の子は黒か好きなんだって……お母さんが言ってたから……」
紫「ほら……桃くんの意見じゃない。お母さんが決めてる。」
青「好きなものは桃くんが決めていいんだよ?」
赤「てか俺も男だけど、赤が好きだし!」
桃「……え?黒じゃないの?」
橙「俺はオレンジ好きやで?」
青「僕は水色!」
紫「俺は紫」
青「桃くん、ピンク好きでしょ?」
桃「違うっ……俺は黒がっ……」
橙「じゃぁ、なんでセーターピンクなん?」
桃「えっ……?」
紫「黒いセーターじゃないの?」
赤「確か……ここの学校黒いセーターないよね、何故か珍しい6色だけど」
橙「仕方なくピンクにしたん?」
桃「それは……」
青「男の子でピンクって勇気あると思うけど……」
桃「……そう…なの?」
黄「まぁ……ピンクって女の子の感じですもんね」
紫「男の人で着てる人もいるけどね、普通に」
桃「………」
赤「どうして選んだの?」
桃「………きれい……だったから……」
黄「お母さんに怒られませんでした?」
桃「……怒られた…何でピンクにしたのって。」
青「どうしたの?」
桃「黒が無かったからって…でもピンクは男が選ぶものじゃないって……」
紫「そんな事ないのにね」
赤「じゃぁ、なんで着てるの?着なくてもいいのに」
桃「……傷が見えちゃうから……あと……」
青「あと?」
桃「……ピンクのセーター…着たかった。いつも黒色ばっかりだから……」
紫「うん、今のが桃くんの気持ちだね。」
桃「……俺の……気持ち……?」
紫「桃くんすごいことしてるんだよ?」
桃「……すごい?」
紫「うん、お母さんにピンクは駄目って言われたのにピンクセーター着てるんだよ?自分で着たいって思って」
赤「それってね、すごい普通のことなの」
桃「……ふつう……」
黄「自分が着たいものを着るって普通なんですよ」
青「桃くん、普通じゃん!」
桃「おれが……?」
紫「そうだよ、桃くんは普通のこと無意識でやってるの。」
青「桃くん、普通ってね?無意識でやるものなんだと思うんだ。普通になりたいって思っても普通になれないし、人それぞれの普通があるから普通には正解がないんだよ」
赤「そうだね。女の子でも男の子の洋服着たいとか、男の子だけどメイクしたいとか、もっと色んなことあるよ。でも、その人にとっての普通だから。僕らはおかしく感じちゃうかもしれない。でもそれを気にして生きてるのつまらなくない?」
橙「確かに、周りにおかしいって思われるのは辛い……でも自分を押さえつけてまで周りに合わせて自分を殺す方がもっと辛いと思うねん」
紫「だからお母さんがいない間、桃くんだけの普通探そう!好きなものとか!やってみたい事全部やって!桃くんが思ったこと全部口に出してみてよ!そしたら見つかると思うよ!」
桃「俺の……普通……見つけたいっ…」
青「うん!見つけよう!」
紫「じゃぁ、明日から桃くんは、自分が思ったことを口に出してみようか」
桃「…………うん」
赤「今日は解散!」
橙「明日学校どうするん?」
青「やすむっしょ!」
紫「だーめ!行きます!」
青「えぇ!?だって桃くんのこと優先したいじゃん!」
紫「俺らは生徒会だよ?居なくてどうするの」
青「ぐぬぬっ……」
橙「まぁでも、一緒に住めてるし、時間はあるんやない?」
桃「…………」
赤「これは学校行くしかないね」
黄「明日も頑張りましょう!」
青「…うぇー…」
コメント
2件
桃くん良かった〜! 普通って人それぞれ違うもんね! だから周りと少し違ってもそれが自分の普通なら良いんだよ!