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〝さんにんぐみ〟
どうしてこんなことになったのだろうか
学校の床のギシリと板を踏む音と皆の悲鳴が私の耳を刺激した。
私は今、自分の首にナイフをたてていた_
私の名前は「八宮 華音」[ヤミヤカノン]十二歳で今年から中学1年生。新しい人が沢山いてどきどきする。私は友達の「赤坂 瑞羽」[アカザミズハ]と、その友達の「神代蓬」[カミダイヨモギ]とクラスが同じになったから3人組になった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が狭い教室に響き渡った。
「起立。礼。着席。」
静まり返っている教室にただ委員長一人だけの声が聞こえる。その声が消えた瞬間にガタガタッと椅子の引きずる音が聞こえてきた。
「では授業を始めます。」
キーンコーンカーンコーン
終わりのチャイムがなると広い廊下に扉を開く音や話し声、歩く音が鳴り響いていた。
「やっほー。どこいくの?」
私はビクリと肩をあげる。
そう陽気に話しかけてきたのは蓬だった。
「あ、蓬か~!びっくりした…」
ごめんと言うように蓬はベロをちらりとだす。
「二人とも何してるの?」
二人でふざけ合っている時に喋りかけてきたのは瑞羽だった。
「なんでもないー!てか次理科室!移動だよ!いこいこ!!」
と蓬が走って教室に戻っていった。
「蓬まってー!」
瑞羽はそう叫びながら蓬の背中を追いかけていった。
私は一人で先に理科室に向かおうとゆっくり、のんびりと歩いていたら後ろから叫び声が聞こえてきたのとどうじに凄まじいスピードで走り去っていった。
「あ、浩也だ」
ポツリとつぶやいた。「田島浩也」[タジマヒロヤ]は私の幼馴染だ。
「すまん!」
そういいさっていった。
「なにが、?」
何に謝っていたのか分からなかったが後ろをみたら理解した。そこにはとても怒っている「志治神晴哉」[シジガミハルヤ]がいた。
「ひろやてめェェェェ!!まてごらァァァァァ!」
叫びながらまた私の隣をかけていった。
私はそんな二人の背中を見ながら髪を耳にかける。
そんなこともありながらも、無事理科室についた。すると
「ねぇ」
と瑞羽に声をかけられた。
「どうしたの?」
「なんで先に行くの?」
「え、あーごめん。蓬ちゃんと行くかな~って」
「そうだけど、3人で行きたかったじゃん?」
「あ〜…今度から気おつけるね」
別に先に行ったっていいじゃないか。どうせ2人になるんだから。そう心のなかで叫んだ。
キーンコーンカーンコーン
「蓬~いこっ!」
瑞羽の高い声が私の耳に入った。
「あっ、まって華音ちゃんも!」
「あ、そうだった」
ほら、どうせ忘れているじゃないか。
私は不貞腐れている顔をした。
そんなこともありつつも、給食の時間になった。
この時間が、私は一番苦手だ。
「蓬~っ!私の給食作っといて!」
「りょ!」
瑞羽は蓬に遠くから大きな声でそう頼んだ。
蓬はぐっと親指を突き出していた。
「華音げんきないな?」
「えっ、何。急に」
配膳に並んでいたら後ろから[相馬宗谷ソウマソウヤ]に声をかけられた。
宗谷とは5年生からの付き合いだ。
「いや、別にそういうわけじゃないけど…」
「そう?ずぅっと上の空だからよ」
「あっそぅ、ありがとう」
ずっとかまってくる。
意味はわからない。
私には好きな人がいる。
その人と話したいのに、
「「さぁ、あいさつをしましょう。」」
「頂きます」
皆が同じことをしている。
私は食べれない分を戻す。
ずるり、とお皿から食べ物がおちる。
びちゃっと音がするのがまた不快だ。
「草食だね」
瑞羽だった。
「いいでしょ。それに野菜を食べないだけで草食ではないから」
私はそう吐き捨て自分の席に座る。
箸をもち、今日のメインメニュー…
唐揚げを持ち上げる。
ぱくり
一口食べる。
唐揚げの脂が口に、じゅっ…とでてくる。
ぐちゃ…ぐっ、
頑張って噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。
そしてやっと飲み込む。
ご飯を口に含む。
ぐち…ぐち…
また、噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。噛む。
喉を通る時にはみな液体になっている。
給食の時間は三十分しかない。
こんなことをしている間に皆は食べ終わる。
一人でずっと、食べているのが…
悲しい。
「おっそいなーお前」
隣の席のひろやくんに声をかけられた。
その一言が私のプレッシャーになった。
食べなきゃいけない、と言う言葉が頭の中をぐるぐると回る。
まるで私に言い聞かせているように。
「いいでしょ…」
そんな声にもならない声をふるわせた。
箸を持つ手は微かにだが震えていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
すって…はいて…すって…はいて…
自分に息の仕方を教えていた。
頭の中はそれでいっぱいいっぱいだった。
「ごちそうさまでした!」
元気な声が私の頭の中に入り込んできた。
すってはいてご馳走様でした食べなきゃすってはいてご馳走様でした食べなきゃ。
一斉にその言葉達が暴れ始めた。
「ゔっ…」
喉の奥から何かが押し込んでくるのが分かった。
あ、これ…でる。
そう分かった瞬間私は牛乳を喉奥に流し込んだ。
「おまえ…牛乳好きなんだな」
何も知らないひろやくんは呑気な声で話しかけてきた。
私は今、それに対応できる状態ではなかった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなった。
「、仕方ないから戻しなさい」
明宏先生[アキヒ]がまた残すのか、勿体ないなぁ…と言う顔で食缶に給食を戻している私を見てきた。そんな顔をされてると、戻すのが…とても辛くなる。
私は…別に、食べたくても、食べられない。
お腹だってすくし…
「かーのーんっ!」
「わっ!蓬ちゃんかぁ…またかよぉ!」
「へっへーん。てか顔色悪。大丈夫そ?」
「あ〜…保健室行こっかな~って」
「私も行こっか?」
私は意外な返答で目がぎょっとした。
「蓬ー」
そう近くから読んだのは瑞羽だった。
「あ…瑞羽よんでるからいけないや、ごめん!」
「大丈夫だよ」
ごめんと手を合わせ、蓬ちゃんは瑞羽の方へ走っていった。
保健室につくとコンコンと手で保健室のドアを叩き…失礼しますと言いながら入る。
「こんにちは」
保健室の先生の和葉先生[ナズハ]がいた。先生は優しい顔でこちらをみた。
「あ、えっと…」
私は休みに来た、なんて言えなくて
「絆創膏…貰いに来ました。。」
そう誤魔化してしまった。
「あぁ、絆創膏ね、はいはい。」
「どうぞ」
「ありがとうございました。失礼しました…」
そう言いドアをゆっくり閉める。私は教室まで歩く。階段から響く他の階の人たちの笑い声…叫び声。私は聞こえる度にぎゅっと下を向く。
「あ…蓬ちゃんだ、」
蓬ちゃんをみつけた。
話しかけようか迷ったが、
楽しそうに話しているのに話を遮断して話しかけるなんてことは私にはできっこなかった。
「はぁぁ、っ」
私は自分の机で溶けた。ヒンヤリと冷たくて…またそれが心地よかった。教室は静かで、そこも良かった。
「あ、トイレ行こ」
することがないので私はぽつぽつと歩きトイレへ向かった。すると、
「はぁ、マジでだるい」
そんな声が聞こえた。何か聞き覚えのある声だと思い、耳を立てた。
「マジで…めんどくさいんたけど。あいつ」
「そうなんだー、へー。」
愚痴を吐いていたのは瑞羽だった。
蓬ちゃんは鏡の前で前髪をいじりながらそう反応していた。
「給食食べられなくて少食アピールかよ」
「きもっ」
「ふぅーん…」
[きもっ]その言葉が私の頭の中でリピートしている。蓬ちゃんは口をへの字にしている。
私…きもいんだ。
午後の授業はその…トイレでの会話で頭がずっといっぱいだった。
「蓬ちゃーん!部活一緒にいこっ」
「ほいほい。ちょいとお待ちを」
そう言いながらせっせと自分のカバンに物を詰め込む。丁寧に入れる…というよりぐしゃりと押し込んでいるので、詰め込むと言う表現が正しいと思った。
「じゅんびかんりょ!」
「蓬ーちょいまち」
瑞羽が蓬ちゃんを止めた。
あ…トイレに行きたいな。
一人で行くのはあれなので蓬ちゃんを誘ってみることにした。いわゆる連れションってやつ。
「蓬ちゃん、トイレ行かない?」
「私もめっちゃトイレ行きたかったwいこ!」
「瑞羽ーちょっとトイレしてくるねー」
蓬ちゃんが瑞羽にそういう。
行こっ!と言わんばかりに蓬ちゃんは私の手を引いて走っていった。
「ふぅ〜」
じゃーっ、じゃわじゃわじゃわ、じゃーっ、
「完了!」
私たちは濡れた手をみて笑い合った。
「そろそろ準備終わったかな?早く行かないと遅刻するんだけど…」
「だね。教室みにいこ」
私が提案し教室を覗きに行った。
「瑞羽ー?」
と声を掛けるが返事がない。
机にもいなかった。
「あっれ〜…?」
蓬ちゃんは首をかしげる。
「先に行っちゃったんじゃない?」
「そうかもね、行こっか」
私と蓬ちゃんはたわいない話をしながら部活へ向かった。
「あ…いた!」
瑞羽は私たちよりも早く来ていた。
「なんでー?」
蓬ちゃんが瑞羽ちゃんに問いかけた。
「蓬たちが先にいったとおもったの。なんで??なんでトイレいくの?わからないじゃん。」
瑞羽はキレ始めた。
「えぇ…?だって…尿意は誰にでもあるでしょ?私も…華音も行きたかったからトイレに行っただけ。」
「ならトイレ行くって言ってよ」
「言ったよ?」
はぁ、と呆れため息をはき瑞羽は離れていった。
私が悪いんだ。
蓬ちゃんをトイレに誘ったからだ。なんで私はこういうだめなところがあるのだろうか。
私がトイレに誘わなかったら仲良しのままだったのに。いっっつも、私は仲を悪くさせる。こんな自分に嫌になって…胸が重くなる。