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1991年、夏。どしゃ降りの雨が降る街の中の駅の待合室に、今日も彼女は、この場所を訪れる。彼女の名前は、本川さなえと言う。能瀬工業株式会社に勤める27歳の女性従業員である。今から、7年前の1984年の春に、彼女は結婚する予定だった。
お互いの家族に会って、結婚の挨拶をしたり、新婚旅行の予定を立てて、旅行会社に予約を入れたり、ウェディングドレスのサイズをきめたり、結婚指輪を用意したり、当日に着る白のタキシードを決めるなど、準備ややることは、山程あったが、結婚式の期日には間に合わせる事が出来た。しかし、結婚式の当日!式場に来る筈の彼が、姿を現さない。彼の携帯に電話を、掛けても、繋がる事はなかった。
さなえは、慌てて、彼の家に行くも、彼の姿は
なかった。玄関を出て、「木加」と、かかれた
表札を、茫然とみつめるさなえは、「あらた….
どうして….」と、呟く事しか、出来なかった。
それから、3日後に、さなえの親族である叔母が「さなえ、警察に捜索願いを、出した方がいいわ。素人じゃ限界があるもの」と、言うので
、さなえは、大阪府警に木加あらたの捜索願いを、出す事にした。そして、木加あらたが、大阪の自宅から、いなくなって、1週間が過ぎた頃から、やっと、警察の捜索が始まる事となった。しかし、警察の捜索も虚しく、木加あらたは、神隠しにでも、あったかのように、忽然と、その姿を、消してしまったのである。唯一