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タイトル:はじめての「怒り」

 月曜日の朝、リビングに差し込む朝日は白くまぶしかった。

 スンリは制服の上に薄手のカーディガンを羽織り、玄関でぴんと背筋を伸ばしていた。

🐼「行ってきます。……あの、いろいろ、ありがとうございました」

🐲「……遅刻すんなよ。あと、変なヤツに絡まれても、黙ってんなよ」

 ジヨンは壁にもたれながら、手を振った。無精ひげにシャツ一枚、相変わらず“親らしく”はなかったけれど、目だけは真剣だった。

 スンリがエレベーターに乗ると、ジヨンは小さくため息をついた。

🐲「……あんな顔、まだガキなのにな」

 午後――ジヨンは作業台の前で筆を止めた。リビングの方から、ドアが開く小さな音がしたのだ。

🐲「……おかえり?」

 返事はなかった。

 ジヨンが顔を上げると、玄関にスンリがうつむいたまま立っていた。右の袖が、少し破れている。

🐲「……どうした?」

 スンリは小さく🐼「転んだだけです」と言った。だが、それにしては表情がこわばっていた。

 ジヨンは黙って近づき、スンリの腕を軽く引いた。

🐲「……これ、殴られたんじゃねぇの?」

 スンリは驚いたように顔を上げ、それから目を伏せた。

🐼「……からかわれただけです。転校生ってだけで……。僕が気にしなければいいだけですから」

 ジヨンの中で、何かがカッと熱くなった。

🐲「はあ? 気にすんなって、殴られてんだろ?」

🐼「……いいんです、こういうの、前にも……」

🐲「”前にも”って、……おまえさぁ!」

 声が荒くなった瞬間、スンリがビクリと体を震わせた。ジヨンは自分の声が、怒鳴り声に近かったことに気づいて、慌てて口をつぐむ。

 沈黙が落ちた。スンリは、怯えた目でジヨンを見つめている。

 ジヨンは、ぎこちなく視線をそらした。

🐲「……ごめん。怒ったんじゃない。オレが……下手なんだよ。言い方」

 そして、そっとスンリの頭に手を伸ばした。けれど、途中でその手が止まる。不器用に指先が宙を泳ぐ。

 そのとき、代わりに背後からぬっとTOPが現れた。

🔝「何があった?」

 事情を聞いたTOPは、ふっと息を吐いてから、スンリの肩に手を置いた。

🔝「大丈夫。明日、担任にオレが電話してやる。お前が悪くないってことは、ちゃんと大人が証明してやるから」

 スンリが、ポロリと小さな涙をこぼした。

 その横でジヨンは立ち尽くしていた。ただただ、自分の情けなさに胸が詰まる。

🐲(泣かせたくなかったのに、なんでうまく言えねぇんだよ……)

深夜。ベランダにて

 冷たい風が吹いている。ジヨンは一人、ベランダで煙草に火をつけていた。

 🔝「……あいつ、ちゃんと寝た?」

 後ろからTOPが声をかける。ジヨンはうなずく。

🐲「……子どもって、すげえな。殴られても、泣いて謝る。……オレだったら、相手ぶん殴って終わりだ」

🔝「ジヨンが不器用なのは知ってる。でも、ちゃんと“守ろう”って思ってる。それが伝わってるだけで、スンリには十分だよ」

🐲「そう見えるか?」

 TOPは静かにジヨンの横に立ち、肩を並べる。

🐲「見えるさ。……だから、あいつあんなに泣いたんだよ」

 ジヨンは煙を吐きながら、どこか遠くを見る目をしていた。

🐲「……こんなに必死になったの、初めてだ」

🔝「だろうな」

🐲「オレ、アイツには俺と同じ思いさせたくねえんだよ。……置いてかれるとか、怖いとか、そういうの」

 その言葉に、TOPはしばらく黙っていた。

 そして、ぽつりと呟く。

🔝「……もし、おまえが倒れたりしたら。オレ、スンリのこと代わりに守るよ。……だから、おまえも、自分のこと捨てるなよ」

 ジヨンは、ほんのわずかに顔を歪めて笑った。

🐲「……そのときは、ちゃんと頼むわ。タプ」

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