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タイトル:「ふたりと、ひとり」


第一話:午後三時、教室のドアの前で


 ジヨンは緊張するとき、無意識に指先を袖口に入れてしまう癖があった。今まさにその癖が出ていた。


 「中学校の参観日」

 アーティスト活動の合間を縫って、どうにか午後の時間を確保した。スケジュールを調整してくれたマネージャーには心から感謝している。だけど、問題は——


🐲「……教室、どこだっけ」


 スマホを見ながら中学校の廊下を歩く。廊下の壁には、美術の時間に描いたであろうポスターや、よく分からない委員会の掲示物。周囲にはちらほらとスーツ姿の保護者。場違いなのは、明らかにジヨンだった。


 パーカーにキャップ、無地のマスク。目元だけで正体をバレないようにしているけれど、それでもアーティストのオーラは隠しきれない。


 ようやく見つけた「2年3組」の教室。

 息をひとつ吐いて、ジヨンはドアをそっと開けた。


 中に入ると、生徒たちは既に自習のような形でノートを広げていた。教師は巡回中。教室後方には、数名の保護者が椅子に座って見守っている。


 スンリは、前から三番目の席で静かにペンを動かしていた。


🐼「……あ、ジヨンさん」


 誰にも聞こえないほどの小さな声で、スンリがジヨンに気づいた。うっすら笑って、ぺこりと頭を下げる。


 彼は家では敬語だ。

 「別にそんなのやめろよ」と言っても、変わらない。


 「うん」とだけ小さく返し、ジヨンは一番後ろの空席に腰を下ろす。


🐲「……あっ」


 その瞬間、誰かが隣の椅子に座った気配。

 横をちらっと見て、ジヨンは目を見開く。


🐲「……なんで、いるんだよ……」


🔝「お前ひとりじゃ不安そうだったから。俺が代わりに行ってもよかったけど、ちゃんと来たのは偉いじゃん」


 マスクもせずに涼しい顔で座っているのは、TOPだった。相変わらず器用で、余裕があって、なんでもこなしてしまう人間。


🔝「……変な目立ち方したら帰って」


🐲「もう目立ってるよ? 俺じゃなくて、お前が。ほら、キャップのつば曲がってるし」


 ジヨンはそっとキャップを直し、顔をそむけた。

 なのに、耳だけ赤くなっていることに気づかれていないとでも思っているのか。


 そんな中、スンリは一度だけ振り返って、ジヨンとTOPを交互に見て、すぐにまた前を向いた。

 彼の口元には、どこか安心したような、微笑みが浮かんでいた。




ほのぼの好きなんですよねぇ私

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