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月明かりだけが頼りの路地裏。
そんな路地裏から明るく輝く月を見上げる。
あー、だりぃ…。
呻き声に視線を下げると、地面には苦しそうに蹲っている不良が五人。
高校教師のつまらない生徒指導から解放されてやっと帰れると思ったら喧嘩をふっかけられ、帰るに帰れなくなり今に至る。
情けねぇー、自分から来たクセに…。
「はあ、帰ろ…」
学校指定の鞄を持ち直し、路地裏から立ち去った。
ふと、視界の端に青色の花がチロチロと映る。
「!!…はぁ……」
殆ど反射的に花の方を向く。
それは俺が思い浮かべていた“蒼色”ではなかった。
ここまで来ると病気レベルやなぁ…。
今でも忘れられない。
俺がまだ12歳の夏に見たあの蒼炎。
それに、あの“青鬼”にはそれ以降会えていない。あれから 異形…所謂“妖”達に襲われることも滅多に無くなった。
前方からズルズルとモヤがやってくる
「まぁたおるで、妖…」
なるべく息を殺してなんでもない風を装ってすれ違う。すれ違いざまにミエてル?、なんて聞いてくるから恐ろしい。
ここまで言えばわかるかもしれないが、俺には妖が見える。
大抵が恐ろしい見た目をしていて、こちらが“見える”ヤツだと分かると殺しにかかってくる。
追いかけられている最中は生きた心地がしない。物理攻撃は効かないし、壁抜けするし。
「…」
「オイッ!挨拶もナシか!?何年お前を育ててやってると思ってんだ、あ??」
「…ただいま」
「チッ!さっさと失せろ!!」
なんとか家に帰ってもリビングから聞こえてくるのはクソ親父の怒鳴り声だけ。
明日から高校は夏の長期休みに入る。
それまでずっとこうか、ああ。 気が狂いそうだ…。
部屋の入り口には、親父が置いたであろう俺宛の郵便物が散乱していた。
「…ん?」
その中の一つに白い手紙が入っていた。
中を見れば、祖父母から久しぶりに遊びに来て欲しいといった内容。
そう言えば“あの夏”以来祖父母の家に行くのを親父に止められてそんな機会も無かった。
「久しぶりに…行こうかなぁ……」
コッソリ家出作戦。
あの親父は金曜の夜に酒を飲むくだらないルーティーンがある。その次の日は昼過ぎまで寝ているから、その時がチャンスだ。
「ふぅ…」
スマホを取り出し曜日を確認すると、今日は運の良い事に金曜日。リビングを覗けば親父は酒の瓶を開けていた。
ヨシ、いつも通りやってるな…。
机の上から紙とペンを取り出して殴り書き、テープで部屋の扉に雑に貼り付ける。
「はあ、はよ寝るとするか…」
泊まりに行くために必要な物を揃えてデカい鞄に詰め込み、 制服のままベッドに飛び込んだ。
どうも、チェシャで御座います。
ハートつくのが早くて驚いております。
コメントも是非。タメで構いません。
妖(あやかし)がテーマです。
展開は…ぼちぼちですね。
また次回。