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「ああー、やっとついたぁ…」
電車に揺られる事、三時間。
自然で溢れるのどかな村の畑が続く道を歩き、祖父母の家のインターホンを鳴らす。
「あら、いらっしゃい!!」
「あ、えと…これ」
手土産を手渡すとそんな気ぃ使わなくても良かったのに!、とコロコロ笑って入るように勧められる。
「…失礼します」
縁側に腰掛けてしばらくぼうっとしていると、子供達のはしゃぐ声が聞こえた。多分中学生くらいなのだろう。
「なあなぁ、おまえら“青鬼と炎”の噂知ってるだろ?今日の夜見に行ってみようぜ!!」
「ぇぇ、怖いからやだよ…」
青鬼…青鬼って言ったか?
聞き覚えのある単語に、思わず外に出て声をかける。
「そこのガキども!!」
「は、はいっ!?」
驚いたように返事をする二人の男子中学生。
一人はハンドボールを、もう一人はサッカーボールを手に持っていた。
「今、青鬼って言ったか…?」
「な、なんだよ…教えてやらねーぞ!」
サッカーボールのガキが大声で喚き始める。
「どうせバカにしに来たんだろ!!コイツはユーレイだって見えるんだぞ!!」
ハンドボールを持ったガキの肩を掴んで辺りに響くほどの大きな声で威嚇してくる。
その一方で話よりも周りを気にし始めたハンドボールのガキ。
「ね、ねぇ…もういいよ、教えてあげて早く家に帰ろうよ」
雲が太陽の光を遮り少し薄暗くなったこの場所に生ぬるい風が吹いた。
薄いモヤがふわふわと不規則に動き近づいてくる。
「ひっ…」
怯えた顔で目を瞑るガキの頭を撫でると、横に広げた手のひらを打ち合わせる。
ぱんっ、と音が鳴ると同時に、薄いモヤは消えていった。
「今のは“柏手”あーゆーのにはちょ〜っとだけ効くから覚えといた方がええで?」
「あ、お兄さんも…??」
「ん?ああ、まあな…それより話聞かしてもらってもええか?」
「あのね…」
曰く、昨日の五時ごろに東の山で蒼炎が上がったのが見えたので、大人を引き連れて慌てて様子を見に行った。
しかし、山に炎で焼けた跡はどこにも無くいつも通りであった。が、しかし。 帰り道の途中に、複数人が青い鬼の面をつけた人物を見たと言う。
話を聞いてすぐに祖父母の家に帰る。
祖父母に出かけてくる、と置き手紙を残して一度部屋まで戻る。
部屋の隅にある懐中電灯を手に取って、お気に入りのパーカーを着て家を出た。
東の山の裏には寂れた神社がある…表側しか見に行っていないと後から聞いた。
アイツに会うなら、きっと今だ…!!
五時を告げるチャイムが村に響いた。
どうも、チェシャで御座います。
あー…皆様、高校を選ぶのであれば私立はお勧め致しません。大変窮屈で苦しいです。
はあ。唐突にすみません。
次回は神社へ向かいますよ。
また次回。