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3週目

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旅館に帰る途中、アスカがあることを言った。

「ねぇ、今日の夜、 部屋でみんなで飲まない?」

「え?」

こんな状況で?

レイナがそう言う前に、ソウが「いいんじゃないか?」とアスカの意見に賛成する。

「いいね。じゃあ、ツマミとかも買ってこっか」

ナギも乗り気だ。

「この状況で?」

レイナが3人に少々引きながら聞くと、アスカが平然と言った。

「ん〜…まぁ、僕たちは元々観光しに来たわけだし、この状況ループも何回かやってるからね。帰るまでの期間が伸びたって感じしかしないし」

「うん。そんな感じだよね」

「あそこの店で買うか」

ナギもアスカの言うことに共感し、ソウは早速酒とツマミを買う店を見つけている。

「いいね。じゃあ、それぞれ飲みたいやつとツマミ選んで個人で買お」

「りょーかい」

(マジか…)

レイナがそう感じている中、3人はテキパキとカゴを持って酒やツマミのコーナーに向かう。

レイナもカゴを持つと、アルコールの少ない酒を選んでカゴに入れた。

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「カンパーイ!」

旅館の部屋。机にツマミを広げた状態で、アスカが個人で買ったビールを掲げて言った。

『カンパーイ』

その声を合図に全員ビールを明け、飲み始める。

あの後、旅館に戻ると3人は温泉、アスカは部屋にある風呂に入り、あとは布団を敷いて歯を磨けば寝れるという状況にしてから飲み始めた。

「なんか面白いテレビとかやってないかな〜」

アスカがリモコンを操作してチャンネルを変えるが、面白い番組はやっていなかったようで、テレビを消す。

「そういえばこの間あった話なんだけどな〜」

ソウがツマミを摘みながら話し始めた。

「え〜何それ〜w」

アスカはソウの話しを聞いて笑っている。レイナは酒に弱いため、結構早いペースで飲んでいる3人の横でチビチビと度数の低い酒を飲む。

「そういえばレイナ、お酒弱かったね」

ナギがそんなレイナを見て言った。その手には、もう2缶目となった缶がある。

「うん。ナギはどんくらいのやつ飲んでるの?」

「ん〜中の上くらい」

「すご。私これ以上を飲む勇気ないわ」

「飲んでみる?」

ナギはそう言って、まだ開けてない缶を差し出す。

「いい」

「そっか。あんまり無理しないでね」

即答すると、ナギは苦笑しながら缶を元の場所に戻し、ニコリと笑ってそういった。

「ありがと」

その後も、レイナとナギは酒の話が続く。

ふとアスカたちの方を見ると、もう何本も飲んでいるようで、2人とも少々顔が赤くなっていた。

「飲みすぎて明日二日酔いにならないようにしなよ〜」

ナギもそんな2人を見て、そう注意する。

「だいじょーぶだよ〜w」

全然大丈夫じゃ無さそうな気がするが、本当に大丈夫なのだろうか。

「ほんとに大丈夫なのかなw?」

「ソウは強いから大丈夫だけど、アスカはどーだろうねw」

その時、アスカがソウの話しに机を軽く叩きながら腹を抑えうずくまって爆笑した。そして起き上がった時、浴衣が崩れて少し胸元が目に入る。

(あれ?)

そこに、普通の女性にはあるはずの膨らみがなかった。いくら小さいといえど、少しは膨らんでいるはずだ。そこでふと、アスカの喉に注目する。

(喉仏?)

喉が少し骨ばっているような感じに見え、レイナが思わず自分の喉に触れる。

(もしかして…)

ある考えが浮かび、即座にいやいやないないと首を振る。

「レイナ、大丈夫?」

隣にいるナギが心配そうに言う。レイナは即座に「大丈夫だよ」と言うが、目線はアスカの方にいってしまう。1度その考えが浮かぶとどうしても今まであまり気にしていなかったことにも注目してしまう。

手、声、もう一度首と胸を見るが、手は女性である自分自身の物と比べてみると少々骨ばっているように見え、やはり喉仏もあるように思える。

(でも、ハロウィンの時同じ更衣室で着替えた時は…)

まさかそうとは思っていなかったし、ジロジロと見るのは失礼な為あまり見ていなかったが、腕や手、首は女性のそれだった気がする。

(でも温泉に入りに来ないし…)

いきなり黙ったレイナを見て、ナギが本当に心配そうに言う。

「レイナ、本当に大丈夫?飲みすぎた?休もっか?」

「大丈夫」

「本当?無理しなくてもいいんだよ」

「ありがと。だけど私まだ1本目」

「それはそれで遅くない?俺もう3本目だよ?」

ナギと話しながらも、頭の中では悶々とアスカの性別について考える。

考えれば考えるほど男としか思えない。その後も、ナギが心配そうにしている中レイナは考え続け、考えるのをやめた。

(うん、これは本人以外がどうこう考えたり口出ししたりしない方がいいよね。アスカが男でも女でも私はぶっちゃけどっちでもいいし)

そう考えるのをやめた時、ふと初日にアスカが部屋の風呂に入ると言った時のソウの反応を思い出す。

(ソウは何か知ってるんだろうな。ナギもなんにも言わなかったから、もしかしてナギも…2人にはカミングアウトしてるってこと??なんで私にはなんにも言ってくれないのかな?)

やはり他2人に比べるとまだ関係が浅いからだろうか…

また別のことでレイナは悶々と考え、何故だか無性に苛立った。

「レイナ!?いきなりどうしたの!?」

苛立ちを抑えるため、今までチビチビと飲んでいたビールを一気飲みする。

「ナギ、度の強いやつ挑戦してみていい?」

ビールを一気飲みして少しクラクラする頭で言う。

「いいけど…本当に大丈夫?さっきから様子がおかしいけど」

「大丈夫。全然問題ないから。なんか飲みたくなってきただけ」

「それならいいけど…気持ち悪くなったらすぐ言ってよ?吐かないでよ?」

ナギが心配そうに渡してきたビールの缶を受け取ると、それを開けて躊躇わず飲む。

「あんま一気に飲まない方がいいよ!?」

「お、レイナも飲む気になった?いいねぇ〜w」

悩みの原因が楽しそうにそう言うのを見て、何故だか無性に腹が立つが、そのまま飲み続ける。

すると、体が温まる感覚がして、少し頭がボンヤリとしてきた。

「レイナ、だいじょ「マジでなんなんだよ…」

心配そうなナギの横で、本音が思わずポロリと漏れた。

「なんなんだよって、何が?なんかあったなら話聞くよ?」

「なんでもない。それより同じやつちょうだい」

一気飲みしたので、すぐに中身が無くなった。

レイナは自身の顔が真っ赤になっていることにも気づかず、ナギに次の酒を要求する。もうレイナは、自身のムシャクシャが収まるようにすることしか考えていなかった。

「もうダメ。レイナ飲みすぎ。そこ2人もそれでストップ!飲みすぎ!」

レイナ程では無いが、顔を赤くさせたアスカにもナギは注意した。

「え〜いいじゃん」

「まぁ、それもそうだな」

「やだ飲む」

まだ酔いが回っていないソウは現在飲んでいるものを最後に止めたが、もう既にかなり酔っているレイナとアスカはまだ飲み続けようとする。

「ダメ。ほら、アスカとレイナ2人は歯磨いてきて。俺たちは布団敷いてるから」

ナギはそんな2人にそう言いながら、レイナを立たせる。

「え〜まだお酒もツマミも残ってるよ?」

「それは明日飲むか。今日はとりあえず寝るぞ」

ソウも、立ち上がろうとしないアスカを立たせて、布団が入っているタンスを開けた。

「…わかった」

「はぁ〜い…」

レイナとアスカは渋々といったように歯ブラシをカバンからだし、洗面台に向かう。

「レイナ、珍しく飲んだね〜。前飲んだ時はあんまり飲まなかったのに」

アスカが歯磨き粉をつけた歯ブラシを口に入れながら言った。

「アスカのせいだよ」

「僕?なんで?」

レイナも歯ブラシを口に入れながら、ムスッとした表情でアスカの目を見て言う。

「なんか隠し事があるなら言って」

「え」

レイナがそう言うと、アスカは歯を磨く手を止めてレイナを見た。

「じゃ、私はもうあっちでナギたちの手伝いするから」

アスカが驚いたようにレイナを見る中、レイナはテキパキと歯を磨き終えナギの手伝いへと向かう。

「隠し事…、か、…」

レイナが居なくなった洗面台で、アスカは酔いが覚めたかのような暗い表情で呟いた。




はい、今回はナギが一番苦労した回です。

最後辺りちょっと不穏になりましたね。

それでは、さよなら( ᐙ)/

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