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太宰は体調が非常に優れなかった。仕事柄怪我などで貧血を起こし、頭痛や吐き気に苛まれることはあるが今回はそういう物ではないような気がしていた。ズキズキと痛む腹に太宰は無意識に手を当てていた。

「太宰君、何処か痛みますか?」

うなじから汗を滲ませている太宰に声を掛けたのは、年中不健康そうな顔つきのフィヨードル・ドストエフスキー。太宰はこの世界で彼と森鴎外だけには嘘をつかない。

「少し腹が、、」

するとドストエフスキーは太宰に一杯の白湯を出した。

「きっと冷えたんでしょう。貴方は何時も布団を掛けませんから」

薄っすらと湯気が立ち上る湯呑を片手に持ち、適温に冷まされた白湯を口の中に流し込む。


「甘い、、」


太宰の超人的な五感が感じ取った其の甘さはとても美味しかった

「よく気付きましたね、蜂蜜を少しだけ混ぜたんです。」

ドストエフスキーは優しく微笑んだ。すると手を伸ばし太宰の蓬髪に長く細い指を絡めた。

「おやすみなさい。太宰君」

「フェージャ、、、」太宰は小さな声で囁き、重くなるまぶたをゆっくり閉じた



目が覚めると太宰の体は柔らかいベットの上にあった。部屋の空気感を重たくする紺色のカーテンは閉め切られ、ベッドテーブルの上にあるランプだけが幽けき光を放っていた。

太宰は喉が酷く乾いていたので体を起こそうと力を腹にぐっと込めた。其の瞬間

「う゛っっ」

腹部に途轍もない激痛が走った。あまりの痛さに太宰は悶絶。乱れた息を整えようと深呼吸をしても声にならない悲鳴が上がる。ベットの上でもがく太宰をドアの向こうから眺めていたドストエフスキーの眼は、悦びで充ち満ちていた。

「苦しそうですね。太宰君」挑発的な声で太宰を嘲笑う。


「なにっを、、、した」太宰はあえぐような声で話す。するとドストエフスキーは眼を丸くした。


「貴方が悪いんですよ?真逆心当たりは無いんですか?」


太宰は小さく首を縦に振った。


「全く。謝ってくれたら此れを渡そうと思ってたんですが、用済みですね」


ドストエフスキーはズボンのポケットから注射器を取り出し床に落とす。そしてぺきっと音を鳴らして割った。絨毯には薬のシミがしっかりと残っている。


「心当たりがないのなら仕方在りません。教えてあげます」

「先週貴方は夜の繁華街で女性と歩いてるのを見ました。それだけ?って思いました?ええ。其れだけです。貴方は言い訳をしなかった。謝らなかった。僕という人間が在りながら、女性の側を歩いた。」

「だから僕は怒りました。昨日の夕飯に毒を混ぜました。先程の白湯にも。解毒剤はもう有りません。少なくとも半年はその状態でしょう。長くて二年ですね」

「毒はお仕置きと戒め。そして僕からの愛と独占欲です」


太宰の瞳が微かに揺らいだ。


「愛しています。太宰君」


優しく狂気を含んだドストエフスキーの一言を最後に太宰は深い眠りに就いた。

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