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桜の花が堕ちるまで

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桜の花が堕ちるまで

13 - Episode O③

♥

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2025年03月28日

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───────────────────


︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎

・ご本人様方には一切関係がない

・捏造、妄想要素が激しい可能性あり

・特徴を捉えきれていない部分が多々あり

・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない

・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語

・投稿頻度がノロマかつ不定期


───────────────────




また間が空いてしまいましたね·····( ˊᵕˋ ;)

行ってらっしゃいませ!





「い”ッ·····イタイ!?」


鈍い音とともに聞こえたか細い悲鳴の主は、パトカーに潰された牢王くんだった。試乗のため”レダー”さんがパトカーを出してくれたのだが、運悪くその下敷きとなってしまったらしい。近くにいた俺とレダーさんとで、すぐに彼を救出する。


「ごめん大丈夫!?怪我とかしてない?」

「ちょっと掠ったくらいなんで大丈夫っす!」

「一応包帯とか渡しとくけど、無理そうだったらまた言ってな?音鳴くんもありがとね。」

「ありがとうございます····!」

「うす·····。(ちょっと足引きずってる気がすんねんけど、気のせい····か?)」




パトカーの試乗を終えた後は、ヘリに乗って街の把握(座学)をすることになった。全員合わせて6人のため、ヘリ内はすし詰め状態である。サーマルの説明とかもあったが、俺がヘリに乗ることはまぁないだろう、と軽く聞き流していた。というのは建前で、先ほどから隣にいる美女”芹沢”さんから目が離せないでいる。退屈そうに欠伸をして潤んだ瞳を窓に向ける姿は、余計に俺の目を引いた。会話の手札を用意し話しかけようとしたところ、ちょうど良く窓の反射越しに目が合った。思わず顔が綻ぶと彼女はドン引きしたような表情に変わり、目線を逸らされてしまう。俺からしたら彼女はまるで猫のようだった。

(てかそもそも俺、野良猫とかに好かれたこと一度もないねんな〜、ツラッ。)




「すいませ〜ん、急患の治療お願いしますぅ。」


そう言う成瀬さんの後に続いて、ずり落ちそうな牢王くんを俺は担ぎ直す。ヘリでの座学中に誤って落下してしまい、こうして救急隊の元へ駆け付けた。つくづく不憫な彼に励ましの声をかけようとするが、どうにも言葉が定まらない。すんませんマジですんません、という俺にギリ聞こえるほどの謝罪は、それをさらに加速させる。



治療を終え警察署に向かっていると、無線の激しさに気づいた。宝石店強盗の対応が山場を迎えているようで、その牢屋対応をしようかと成瀬さんに提案される。しばらく牢王くんを安静にさせる必要もあり、俺ら2人は署内での待機を命じられた。犯人たちが護送されてくるまで、罪状や切符の切り方、プリズンへの送り方を軽く説明してあげる。牢王くんは俺の説明に必死に食らいつき、分からない部分を何度も聞き返してきた。傍から見れば素直で聞き分けの良い、優秀な子とでも思うのだろう。しかし俺には、繰り返されるミスにただ怯えているようにしか見えなかった。パトカーの下敷きになった時の怪我を隠していたことも含め、何か訳アリな感じはしていた。

(どうにかしてやれんかな、俺。)

とは思うものの、期待通りメンタルケアなんて大したことは出来ず、ヘラヘラと会話を続けるしかなかった。








コンビニ強盗の対応に3人で来たわけだが、店舗前のベンチではとんだ茶番が繰り広げられている。少し離れた所からそれを眺めていたが、かなり楽しそうではあった。恐らく傷心気味の牢王くんに対して、成瀬さんなりに考えたことだろうな、と感心する。前から思っていたが、牢王くんは年齢には相応しくないほどの技術を持っていた。大型犯罪の対応では、経験のある俺でさえ何度助けられたか数えきれないし、刄弐も珍しく褒めていた。  加えて、運転免許なんて少し前に取ったばかりだと言うのに、ちょっとアドバイスしただけで早々ものにしてしまう。そんな才能を持ちながら、本領を発揮出来ずに体験を終えるなんて、こっちが悔しくなってくる。




「おいコラァァ!待たんか〜〜い。」


そんなこんなでチェイスが始まり、俺と牢王くんは後ろにビタ付けで犯人を追っている。街中で曲がる回数が多いにもかかわらず、彼はしっかり目視したまま食いついていた。やはり、中々やれる奴なのだ。条件であった3分が経過し、ついにアタックを開始する。犯人のバランスを何度か崩すことに成功し、最終的には狭い路地へと追い込む。

(おっと····そっちは行き止まりちゃいますのーん?)

逃げる術はもうないと判断し、つかさずパトカーから降りてテーザー銃を構える。


「おいおい犯人さんよぉ〜、もう観念しッ」


テーザー銃の反動は、自分の身体をも浮かすほどだっただろうか。いや、今俺は強い衝撃を受けて空中を舞っている。逆さまになった世界の中で見えたのは、牢王くんの青ざめた顔とそのパトカーに付いた俺の血痕だった。地面に叩きつけられるまでに、全ての状況が理解出来てしまうほど冷静になれた自分が怖い。


「…スゥー音鳴さん、あのマジですいませッ。」

「こぉれぇぇい、牢王ぉぉなーんしてんねーーん!」

「いや、ほんっとに(笑)」

「ワロてる場合ちゃう!待ってまずいッ、出血がやばいッ!!!」

「包帯巻いて、早くッ(笑)」

「分かってんねん!…待って、包帯ない忘れたハハッ(笑)」

「何やってんだよ!(笑)」

「てか、牢王運転めっちゃ上手かったやん!」

「今じゃないってそれ、ほら病院行こう。(笑)」


別に本気で怒っている訳ではなかった。ただ、俺の情けない怒鳴り声で笑う彼は、普通の無邪気な少年だった。この姿が牢王くんの素であることくらい、俺でも分かった。

(こいつのミスは俺が笑い飛ばしたんねん。)

この出来事を機に、俺の方が笑われるようになってはしまったが悪い気はしない。気を許せる仲間だから、お互いを信頼しているから出来ることだと思う。そして、あいつらを”仲間”と言う日が来るなんて、この時の俺は想像もしていなかった。

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