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#殺し屋パロ
空彩
246
けいか🎼
26
7月7日(火)
目覚ましの音で、こさめは目を覚ました。
こさめ「ふわぁ……」
まだ完全に開かない目で天井を見つめる。
朝は来ているのに、体だけが置いていかれているような感覚だった。
こさめ「学校行きたくないなぁ……」
そう思った瞬間、自分で少し驚いた。
いつもなら、そんなことは思わない。
(大丈夫、大丈夫)
すぐに元に戻るはずだった。
ちょっと昨日、変なことがあっただけ。
なつくんがちょっと怒っただけ。
それだけのはず。
そう考えたら、お腹が鳴った。
現実はいつも通りだった。
階段を降りると、台所の音が聞こえる。
こさめ「おはよう」
「こさめ、おはよう。今日も元気ね」
こさめ「えへへ、まぁね!」
その声に、少しだけ安心する。
まだ“普通の朝”はここにあった。
「今日の朝ごはんはフレンチトーストよ」
こさめ「やったー!こさ、お母さんのフレンチトースト大好き!」
「よかったわね」
パンの甘い匂いが広がる。
スプーンの音と一緒に、朝がゆっくり進んでいく。
こさめ「ごちそうさまでした!」
「もうこんな時間!行ってきます!!」
玄関のドアが開く。
「いってらっしゃい」
外の空気は少し冷たかった。
でも、それもいつも通りだった。
こさめ「あ」
視線の先に、捺がいた。
一瞬だけ目が合う。
すぐに逸らされる。
(まあ、そうだよね)
さすがに一昨日のことだしね
それくらいは分かる。
こさめ「気にしない、気にしない!」
小さく口の中で繰り返す。
走って教室へ向かう。
◇◇◇
こさめ「危なっ!遅刻ギリギリ!!」
教室に入った瞬間、空気が変わる。
音が一瞬だけ落ちる。
会話が途切れる。
(__あれ?)
何も言われていないのに、何かが違う。
こさめは気づかないふりをして席へ向かう。
捺といるまは、いつも通り隣にいる。
(みんな、いつも通り)
そう思おうとする。
でも“こさめ以外”がいつも通りだった。
◇◇◇
気づけば授業は終わっていた。
時間が飛んでいたような感覚。
こさめ「もう終わり?」
そんな軽さでこさめは立ち上がる
そのときだった。
背後から声が落ちる。
いるま「おい」
空気が一気に変わる。
教室のざわめきが止まる。
捺といるまが、こさめの方へ来る。
捺の声は低かった。
捺「今日、放課後話あるんだけど」
「このあと時間あるか?」
こさめは少しだけ笑う。
こさめ「別に暇だけど、なに~?どしたの?」
できるだけ軽く、いつも通りに。
その“いつも通り”が、捺の中の何かを刺激した。
捺「お前さ」
声が少し上がる。
捺「マジで調子乗んなよ」
教室が少しざわめく。
誰も目をそらせない。
捺「そういうとこがムカつくんだよ」
こさめは、まだ理解していない。
ただ驚いているだけ。
いるま「なつ、落ち着け」
いるまが間に入る。
そしてこさめにしか聞こえない声で言う。
いるま「とりあえず、今日放課後××公園な」
こさめ「う、うん……わかった」
こさめはうなずく。
教室の誰もが見ているのに、誰も止めない。
ただ見ているだけ。
(なんか、不安だな)
こさめの胸の奥に、初めて小さな違和感が落ちた。
◇◇◇
夕方の公園は、やけに静かだった。
教室のざわめきとは違う、音のない空間。
風の音だけが、妙に大きく感じる。
こさめはその場に立っていた。
捺といるまも、少し離れて立っている。
いるま「ここでいいよな」
いるまが言う。
なつは何も答えない。
ただ、こさめを見ている。
その視線が、朝までのものとは違っていた。
こさめ「ねえ、話ってなに?」
こさめが少し笑う。
不安を隠すための笑顔だった。
一瞬の沈黙。
次の瞬間だった。
捺が一歩踏み出す。
言葉より先に、距離が詰まる。
捺「お前さ」
低い声。
捺「ほんとムカつくんだよ」
こさめの表情が固まる。
こさめ「え……?」
答えは返ってこない。
いるまが横で一瞬だけ止まる。
けど、止めない。
こさめは後ずさろうとする。
けれど、逃げる前に距離がなくなる。
そのあと起きたことは、はっきりとした“言葉”にはならなかった。
ただ、繰り返されるのは一方的な動きと、止める声のない時間だった。
こさめは何度も息を詰まる。
呼吸がうまくできない瞬間が増えていく。
押される。
地面が近づく。
息が詰まる。
視界が揺れる。
こさめ「やめて……」
ようやく出た声は、小さすぎた。
でも、それすら届かない。
いるまの声が途中で一度だけ入る。
いるま「なつ、もうやめろ」
けれど、その声には“止める力”が足りなかった。
なつは止まらない。
捺「どうせまた被害者ぶるんだろ」
「お前は普通があるからいいよな」
感情のままではなく、何かが壊れて動いているようだった。
こさめは地面に崩れる。
痛みよりも先に、理解が追いつかない。
(なんで?)
(なんでこんなことに?)
答えは返ってこない。
しばらくして、空気だけが戻る。
まるで何事もなかったように。
捺は立ったまま、息を吐く。
いるまは視線を落としている。
こさめだけが、その場に残される。
こさめ「……なんで」
小さすぎる声。
誰にも届かない。
蝉の声だけが公園を揺らす
そして、いるまが静かに言う。
いるま「……もう行くぞ」
その一言で、終わっていない時間が無理やり切り取られる。
こさめは動けないまま、二人の背中を見ている。
その背中は、もう“友達”ではなかった。
next→♥200
コメント
3件
♡200にしといたー! どっちも悪い訳じゃない。でも、確実に傷つけてる。友情って脆いからね。何かあればすぐ壊れる。これまでがなかった事のようになる。 ここでは、あんまならないでほしい。 でも、それぞれの想いがすれ違ってる。 辛いねぇ
うわ……すごく重い空気の話だったね。 タイトルの「今日も」がもう切ない。朝はフレンチトーストの匂いで始まったのに、学校では周りの空気が変わってて、放課後にはあそこまで行っちゃう。なつくんの「調子乗んなよ」は、前回からの積み重ねが爆発した感じがした。こさめが「気にしない」って自分に言い聞かせてるのが余計に胸にくるよ。 いるまが止めようとしたけど、その力が足りなかったのもリアルだった。最後の「もう“友達”ではなかった」って一文が重すぎる。ただの言葉にできない暴力が描かれてて、読んでるこっちの息も詰まった。こさめの「なんで?」が誰にも届かないまま終わるのが辛いな……。