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『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎へ
都道府県擬人を見かけたら⬛︎⬛︎に電話して下さい。ただちに⬛︎⬛︎が向かいます。
「市で、都道府県擬人保護課が設置させました!市民の皆様のご期待に応えられるよう…」
「都道府県擬人たちは国民の生活を危険に晒している」
「それを踏まえ、政府が保護する」
そんな馬鹿げた風潮が始まったのは、先月頃だったろうか。
ある政府の発言が新聞の大見出しを飾った。
「都道府県擬人たちは政府が保護する」
そもそも、都道府県擬人とは何か、を説明しようか。
都道府県擬人とは、その名の通り、都道府県を模したニンゲンだ。
姿形はニンゲンと全く同じで、一般人に紛れて共存しているため、見分けがつかないだろう。
しかし、本来はニンゲンとはほど遠く、それぞれの都市能力を持ち合わせている。
愛知県で言えば、車関係の能力、
奈良県で言えば、古都としての能力など、、、
ご当地ならではの術が使える、といったところだろうか。
聞いただけでは、その能力とやらには魅力を感じるだろう。それを利用して町おこしなども使いようにはなるはずである。
だが、その『能力』が、今、問題視されている
なんと、『能力』の原動力は、その都道府県に在住している人々だったのだ。
擬人たちが能力を使えば、それに比例して、人々の安全が心配される。
具体的には、人々の生命力、富などが能力発動権を担っている。
つまり、都道府県擬人たちが能力を悪用し、何かに攻撃するなどした場合、その都道府県に住んでいる人々の安全が脅かされる。
安全が脅かされる……直訳としては、死や喪失。
政府は以上のことを国民に全て伝えた。
無論、すぐには信じない者も出てくるだろう。何故今まで黙っていたのだと政府を批判する者も現れるはずだ。
このような混沌とした日本国内で、擬人保護活動を促進させるような事件が起こった。
20××年に××県で県民が大量死する事件が起こったのだ。
死者1000人、行方不明者20人
不可解なのが、被害者の身体が刺された痕も絞められた痕もないことだ。
ただ、一貫しているのが、全員、カラカラに干からびて死んでいたこと。
小さな子供すらも、しわくちゃの皮のような無惨な姿と化していた。
前例のないこの大量死に、鑑識課も警察も、お手上げの状態であった。
捜査本部長は、メディアの前で、事件についてこのような発言をした。
「被害者の皆様に共通していたのは、干からびて亡くなられていたことです。
まるで、精力を吸い取られたかのように。」
後から分かったことだが、大量死事件の前日に、**県の都市力(GDP)が大幅に低下した。
政府はこれを、××県と**県の間でトラブルになり、××県が能力を発動し、攻撃したことで、××県民が犠牲となったと見当した。
今後、二度と大量死事件を起こさないためにも、都道府県擬人たちを保護しなければならない。私たちが安全に暮らすために。
そのような考えが国民に根強くついてしまった。
最近は47都道府県全てを急速に確保するため、懸賞金も追加された。
最低でも500万、東京にでもなれば、5億はくだらないだろう。
ここまでつらつらと説明してきたが、理解していただけただろうか。
最後、最後に伝えたいことがある。
政府は、僕らのことを“保護する”と言っているが、それを真に受けないでほしい。
隠語のようなものだ。
“保護する”は、
“殺す”
という意味だと、
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎より』
何重にも折られた跡がある便箋。
ふと、裏に何かが書かれていることに気づく。
『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎…』
「…これはさすがに見せれませんね」
油性マーカーで黒く塗りつぶしていた。