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のんの
321
Rua✨🫧
108
2,024
ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
文化祭当日。
俺は、文化祭が嫌いだ。
人が多い。うるさい。
普段より知らない人と
話さないといけない。
そして――
💛「……なんで俺がメイド服なんですか」
💙「人手不足だから…」
💛「絶対嘘ですよね?」
💙「…………」
💛「今、目逸らしましたよね?」
💙「気のせいやって!」
絶対、太智が何か仕込んでる。
しかも。
俺が着せられたのは、
黒と白の猫ちゃんメイド服。頭には猫耳。
胸元には小さなリボン。
腰にもふわっとしたリボン。
鏡を見る。
💛「…………」
……最悪だ。
恥ずかしすぎる。
💛「文化祭なんて……嫌い……」
💙「まあまあ!似合ってるって!」
💛「嬉しくないです」
💙「ほら、ちゃんと接客してきてな〜!」
💛「ちょ、太智!」
そう言って太智は逃げていった。
……絶対あとで覚えてろ。
しばらくして。
ガラッ。
教室のドアが開く。
❤️「おー!ここが仁人のクラスなんや!」
💛「……あ」
俺は思わず隠れてしまう。
舜太。
そして、その後ろには――
🤍「メイドカフェなんだ」
🩷「へぇ〜」
柔太朗と勇斗先輩。
💛「…………」
なんで。
なんで今日なんだ。
俺はできるだけ三人と
目を合わせないようにした。
❤️「せっかくだし、入ろー!」
🤍「うん」
🩷「飲み物頼もうかな」
三人が席につく。俺は心の中で願った。
お願いだから俺のところに来ないで。
すると――
💙「仁人〜!」
💛「…………」
💙「この席お願いな!」
💛「…………太智」
💙「ん?」
💛「絶対わざとですよね?」
💙「え?なんのことぉ〜?」
……やっぱり。
仕方なく、三人のところへ向かう。
💛「……ご注文、お決まりですか」
三人が俺を見る。
🤍「…………」
🩷「…………」
❤️「…………え」
……全員止まった。
💛「……な…なんですか」
❤️「いや……」
舜太が俺の頭を見る。
❤️「猫耳やん!!」
💛「……そうですね」
❤️「よ…よう着れたな!」
💛「言わないでください……」
🤍「か…可愛い」
💛「だから!……って え?」
🩷「…………」
勇斗先輩は黙っている。
でも耳が真っ赤。
❤️「勇斗は?」
🩷「……え?」
❤️「勇斗は仁人のこと可愛いと思う〜?笑」
🩷「いや……」
勇斗先輩が一度目を逸らして
もう一度俺を見る。
🩷「……可愛すぎて、どうしようかなって」
💛「…………」
顔が熱くなる。
💛「ご……ご注文は?」
俺は勇斗先輩から視線を逸らした。
❤️「そうや!」
舜太がメニューを見て――
突然、ニヤッと笑った。
❤️「ねね!仁人!」
💛「……なんですか」
❤️「『ご主人様。萌え萌えきゅん♡』って言ってよ!」
💛「…………は?」
💛「嫌」
即答。
❤️「えー!!」
💛「絶対嫌です」
🤍「俺も聞きたい」
💛「柔太朗まで!?」
🩷「…………俺も」
💛「勇斗先輩まで!?」
三人とも期待した目で見てくる。
……やめてほしい。
でも。
❤️「一回だけ!お願い!」
🤍「一回だけでいいから」
🩷「……俺も聞きたい」
💛「…………」
俺はため息をついた。
3人に見つめられると
「嫌」とは言えなくなってしまう。
💛「……一回だけですよ」
三人の顔が明るくなる。
💛「……笑わないでくださいね」
❤️「もちろん!あっちゃんと手もつけてね!手はハートにして笑」
💛「はい。……って…は?」
❤️「じゃあ仁人よろしくぅ」
俺は顔を真っ赤にしながら少しだけ頭を
下げて、手でハートを作った。
💛「……ご主人様」
三人が固まった。
💛「……萌え萌え……きゅん♡」
…………。
沈黙。
💛「……」
返事がない。
恐る恐る顔を上げる。
🤍「…………」
柔太朗、顔真っ赤。
🩷「…………」
勇斗先輩、完全に固まってる。
❤️「…………」
舜太まで口を開けている。
💛「……?」
🤍「……無理」
💛「え?」
🤍「可愛すぎる……」
🩷「…………致死量」
💛「何言ってるんですか」
🩷「いや、本当に……」
勇斗先輩が顔を覆う。
🩷「今のは反則だって……」
💛「もう絶対やりません」
❤️「俺、もう一回聞きたい!」
💛「嫌です!」
🤍「俺も」
💛「嫌です!」
🩷「……俺も聞きたい」
💛「勇斗先輩まで!!」
俺は顔を隠した。
💛「……文化祭、嫌い……」
三人が笑う。
でも。
勇斗先輩だけは、ずっと俺を見ていた。
まるで、目を離したくないみたいに。
しばらくして先生から声をかけられた。
👤「吉田、悪いんだけど、この備品を空き教室に持っていってくれるか?」
💛「……空き教室?」
その言葉を聞いた瞬間。
胸がざわついた。
……あの教室。
前に、俺が閉じ込められた場所。
💛「…………」
手が止まる。
その様子を、勇斗先輩は見ていた。
🩷「……仁人?」
💛「……はい」
🩷「どうした?」
💛「……なんでもないです」
そう言って、荷物を持つ。
🩷「俺も行く」
💛「え?」
🩷「荷物持つ」
💛「でも…これくらいなら……」
🩷「仁人」
少しだけ真剣な声。
🩷「……もしかして、あそこ怖い?」
💛「…………」
図星だった。何も言えなくなる。
勇斗先輩は、
それ以上聞かなかった。
ただ。
💛「……怖い、です」
小さく言うと。
🩷「そっか」
優しく笑って。
🩷「じゃあ、一緒に行こう」
💛「……はい」
二人で廊下を歩く。
さっきまでの文化祭の騒がしさが、
少しずつ遠くなる。
そして空き教室の前。
💛「…………」
足が止まる。
扉を見るだけで胸が苦しくなる。
あの日のことが、頭の中に蘇る。
閉じ込められた。出られなかった。
怖かった。
💛「……っ」
息がうまくできない。
🩷「仁人」
勇斗先輩が隣に立つ。
俺の前には立たない。
逃げ道を塞がないように。
そして――
そっと手を差し出した。
🩷「……手、繋ぐ?」
💛「…………」
俺はその手を見る。
怖い。
でもこの人が隣にいる。
ゆっくり手を重ねる。
ぎゅっ
温かい。
まるでいつもの
勇斗先輩の優しさのようだった。
それだけで、少しだけ呼吸が戻った。
🩷「大丈夫」
💛「……」
🩷「俺、ここにいるから」
💛「……はい」
扉を開ける。中は静かだった。
怖い。
でも繋いだ手がある。
俺は無意識に、
勇斗先輩の手を強く握った。
🩷「……怖い?」
💛「……少し」
🩷「じゃあ、ゆっくりでいいよ」
一歩。また一歩。進む。
勇斗先輩はずっと隣にいてくれた。
その手は、一度も離れない。
💛「……勇斗先輩」
🩷「ん?」
💛「……手」
🩷「うん?」
💛「……離さなでいください」
言った瞬間。
恥ずかしくなって俯く。
🩷「…………」
勇斗先輩も真っ赤になった。
でも
ぎゅっ
少しだけ強く握り返してくれる。
🩷「……離さない」
💛「……」
🩷「今日は俺が一緒にいるから」
その言葉に胸がどきっとした。
怖いからなのか。
それとも――
勇斗先輩だからなのか…分からない。
ただこの人と手を繋いでいると。
ちゃんと大丈夫だと思えた。
備品を取って、教室を出る。
廊下に戻ると。
そこには柔太朗と舜太がいた。
❤️「お!おかえりー!」
🤍「大丈夫だった?」
💛「はい」
すると柔太朗が、
繋がれた俺たちの手を見る。
🤍「…………」
🩷「……なに?」
🤍「別に」
柔太朗は笑った。
🤍「俺も一緒に行けばよかったなって思っただけ」
🩷「…………」
勇斗先輩の手に、少し力が入る。
🩷「今日は俺が一緒に行ったから」
🤍「……うん」
❤️「え、なんで二人とも急に静かになったん?笑」
💛「……知らないです」
そして舜太が、ぱっと笑う。
❤️「そうや!」
💛「?」
❤️「このあと、五人で文化祭回ろうや!」
💙「お、ええやん!」
いつの間にか太智も戻ってきていた。
🤍「いいね」
🩷「俺も賛成」
二人が同時に答える。
そして俺に一気に視線が注がれた。
俺は一瞬帰ろうか悩んだ。
もうメイドカフェのシフトもないし…
と考えていたが、
どうやら俺に拒否権は無いらしい。
💛「まぁ。いいですよ。」
4人の目が輝いた。
少しくらい――
楽しんでもいいかもしれない。
コメント
1件
わあ、メイド服の仁人くん……反則すぎる(笑)。勇斗先輩が「可愛すぎてどうしようかな」って素で言っちゃうのもわかるし、柔太朗くんが「無理」って固まるのも舜太が大爆笑するのも全部納得。 でも一番胸にきたのは、空き教室のシーンだな。前に閉じ込められたトラウマがある仁人くんに、勇斗先輩が逃げ道を塞がずに手を差し出して「離さない」って言うところ。あの優しさが仁人くんの「怖い」にちゃんと寄り添ってて、すごく良かった。最後に仁人くんが「楽しんでもいいかも」って思えるようになった流れが自然で、読んでてじんわり温かくなりました。