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のんの
321
Rua✨🫧
108
2,024
ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
――文化祭、開始早々。
俺はすでに疲れていた。
昼過ぎ。
ようやく少し落ち着いたところで、
五人で校内を回ることになった。
💙「よし!まずどこ行く?」
❤️「お化け屋敷!」
💛「…………え」
❤️「え?」
💛「……俺、お化け屋敷嫌です」
🩷「怖いの?」
💛「……別に」
🤍「顔に出てるよ」
💛「出てません」
💙「じゃあ行こか!」
💛「太智!?」
結局、
全員でお化け屋敷へ向かうことになった。
中に入ると、暗い廊下。不気味な音。
そして――
「わっ!!」
💛「っ……!」
思わず肩が跳ねる。
🩷「仁人、大丈夫?」
💛「……大丈夫です」
少し進んだところで、
また大きな音がした。
💛「……っ!」
今度は、
勇斗先輩の袖をぎゅっと掴んでしまった。
🩷「……仁人?」
💛「……すみません」
手を離そうとした、そのとき。
🩷「いいよ」
勇斗先輩が、俺の手をそっと握った。
💛「……!」
🩷「怖いなら、こうしてよ」
💛「……でも」
🩷「俺がいるから」
その言葉に、少しだけ安心した。
……なのに。
怖さとは別の意味で、心臓がうるさい。
💛「…………」
🩷「仁人?」
💛「……なんでもないです」
🤍「……」
少し後ろを歩いていた柔太朗が、
二人の手を見る。
🤍「……俺も手、繋ごうか?」
💛「え?」
🩷「いや、俺がいるから大丈夫」
🤍「……そう」
その声は、いつもより少しだけ低かった。
❤️「なんかこの空気おもろいなぁ笑次はなにが出てくかなぁ〜笑」
💙「えっよくこの空気を楽しめるなぁ。俺怖いんやけど」
❤️「楽しいよ!」
そんなやり取りをしながら、
五人でお化け屋敷を進んだ。
その後も、焼きそばを食べたり、
ゲームをしたり。
「誰が一番早く射的で当てられるか」
なんてくだらない勝負まで始まった。
💙「よっしゃ!俺が勝つ!」
❤️「太智、絶対下手やろ!」
💙「うるさい!」
🤍「勇斗、どう?」
🩷「……全然当たらない」
💛「先輩、下手ですね笑」
🩷「え、仁人笑った?」
💛「……笑ってません」
🩷「いや、今笑った!」
💛「知りません」
みんなで笑う。
気づけば、あっという間に
夕方になっていた。
文化祭が嫌いだったはずなのに。
今日は、不思議と楽しかった。
夕方。
五人で屋上へ向かった。
先生に借りた鍵で扉を開ける。
屋上から見える校庭では、
キャンプファイヤーの準備が進んでいた。
💙「うわ、めっちゃ綺麗やな」
❤️「もうすぐ始まるで!」
🤍「寒くない?」
💛「……ちょっとだけ」
すると、隣にいた勇斗先輩が俺を見る。
🩷「やっぱ寒い?」
💛「大丈夫です」
🩷「いや、大丈夫じゃないでしょ」
そう言って、勇斗先輩は自分が着ていた
ジャケットを脱いだ。
💛「……え?」
🩷「これ着て」
💛「でも、勇斗先輩が寒くなるじゃないですか」
🩷「俺は平気」
💛「でも……」
🩷「いいから」
勇斗先輩は、
俺の肩にジャケットをかけてくれた。
💛「…………」
ジャケットから、少しだけ勇斗先輩の
温かさが残っている気がした。
💛「……あったかい」
🩷「でしょ?」
💛「……ありがとうございます」
小さくお礼を言うと、
勇斗先輩が嬉しそうに笑った。
🤍「……俺の上着も貸そうか?」
🩷「いや、俺のあるから大丈夫」
🤍「……そう」
💙「また始まったで」
❤️「ほんま好きやなぁ、お前ら笑」
💛「……二人ともうるさい」
みんなで笑った。
やがて、キャンプファイヤーに
火がついた。
校庭が明るく照らされる。
俺たちは、買ってきた食べ物を
囲みながら、その光を眺めていた。
💙「文化祭、終わるん早かったな」
❤️「楽しかったなぁ!」
🤍「来年も五人で回れたらいいね」
🩷「……うん」
俺はみんなの顔を見る。
勇斗先輩。
柔太朗。
舜太。
太智。
今日一日、ずっと一緒にいた。
笑って。
騒いで。
くだらないことで言い合って。
……楽しかった。
💛「…………」
🩷「仁人?」
💛「……ずっと、これが続いてほしいな」
思わず、そんな言葉がこぼれた。
一瞬だけ、みんなが黙る。
でも――
❤️「もちろん!」
💙「当たり前やろ!」
🤍「約束ね」
そして。
🩷「……うん。約束」
その言葉を聞いて、俺は少しだけ笑った。
勇斗先輩といると、楽しい。
……もっと、こうして一緒にいたい。
そんな気持ちが、少しずつ大きくなっている気がした。
💛「……なんか、眠い」
🩷「疲れた?」
💛「……ちょっとだけ」
💛「でも……もう少し、ここにいたいです」
🩷「うん。じゃあ、もう少しいよう」
勇斗先輩のジャケットにくるまりながら、俺は空を見上げる。
キャンプファイヤーの光。
みんなの笑い声。
少し冷たい夜の空気。
……ずっと、このままだったらいいのに。
そんなことを考えているうちに。
だんだん、瞼が重くなっていった。
勇斗side
💛「…………」
🩷「仁人?」
返事がない。
🤍「……寝た?」
❤️「ほんまや」
💙「今日ずっと動いてたからなぁ」
眠っている仁人を見る。
肩には、
まだ自分のジャケットがかかっている。
🩷「……可愛いな」
🤍「……ほんと、好きだね」
俺は少しだけ黙ってから、
🩷「……うん」
と答えた。
柔太朗も、眠っている仁人を見る。
🤍「……俺もだけどね」
二人の視線が一瞬だけぶつかる。
けれど、今日は言い合うことはなかった。
ただ――
眠っている仁人を起こさないように、
二人でそっと見守った。
今日だけは。
文化祭が、嫌いじゃなかった。
――この五人と一緒だったから。
そして、この日を境に。
三人の気持ちは、
少しずつ変わり始めていた。
コメント
1件
お化け屋敷で袖を掴んだ瞬間と、ジャケットをかけてもらったあとの温かさがすごく好きです。「俺がいるから」って言葉が、仁人の小さな変化のきっかけになっていて、今日一日の積み重ねで勇斗先輩への気持ちが育っていく感じがじんわり伝わってきました。柔太朗が「俺も手繋ごうか?」って入ってくる距離感も絶妙で、三人の関係性がこれからどう動くのか続きがすごく気になります。